第一話 トンネルを抜けたら異世界だった
趣味で書き出した小説です。
プロットなど何も知らずに、
行き当たりばったりで書いています。
拙い文章ですが、よろしくお願いします。
その世界は剣と魔法の世界。
らしいのだが、
俺は何故かそんな異世界で家を造ってる。
『らしい』というのは、そこまで剣と魔法に触れる機会は、今のところはまだ無かったからだ。
「なぜこうなった?」
俺はこの世界に来てからの事を振り返る。
俺の名は佐倉大作。
53歳独身。職業は大工。
今から遡る事2年前。
一軒の家を作り終え、
愛車のワンボックスで帰路についたはずなのに、高速道路のトンネルを抜けたら知らない土地、知らない場所に来ていた。
パニックだった。
最初は死後の世界かと思った。
昔、俳優で今は亡くなっている、
丹羽哲郎さんが、臨死体験した事で、
『死後の世界はある』と言い出して話題になって、
映画まで造って公開されてたのを思い出した。
俺は高速道路で、
自分が気が付いてないだけで、
実は事故で即死でもしたのだと結論付けた。
多分トンネル事故。
それしか考えられなかったからだ。
俺は車のルームミラーで、
自分の顔を見た時に、やっぱり死後の世界なんだと再確認したしな。
丹羽哲郎さんの言う死後の世界では、
子供以外はみんな20歳前後に若返ると言っていたからだ。
現に俺も、多分20歳くらい?
それにしちゃ童顔だが、
若返っていた。
ま、俺は死んでしまったんだな。
現世ではやり残した事はあるけども、
天涯孤独の俺には何も無かったし、
仕事から解放されたと思うと、
妙な開放感があった。
大した人生じゃなかったな。
むしろ不幸に分類される人生だったかな。
俺に両親はいない。
施設で育った。
そのせいで、かなり世間には迷惑かけてしまった。
バイクで暴走しちゃ喧嘩してたっけ。
喧嘩に負けたくない一心でボクシングをやった。
ボクシングはプロテストまで合格しちまうくらいにはなった。
成人式で暴れて、
それを最後の『我が儘』にした。
それからは大工の親方に着いて仕事を学んだ。
学歴なんてないし、
会社でヘコヘコするのもムカつくからだ。
親方は気さくな人で話しやすかった。
俺がアニメ好きになったのも親方の影響だ。
親方は相当なオタクだったな。
高橋美紀さんはアイドル声優の元祖だと今も信じている。
空手も習った。
未成年で暴れてたからか、ボクシングをしてたからか分からないが、
身体を格闘技で動かしたかった。
3年で黒帯になった。
いろいろと覚えて成長できるのが楽しくて、
合気道や剣道まで習った。
それぞれ数年で初段までいってしまった。
それからは、特に何もなかったかな。
ほんとは結婚したかった。
綺麗な嫁さん貰って、
娘に囲まれたかった。
子供は好きだ。
特に女の子は可愛い。
娘と手を繋いで歩きたかった。
男の子なら、空手を教えて組手をしたかった。
そんなささやかな夢を持ってたが、
出会いも無く50歳を迎えて諦めた。
生まれ変わったら、
結婚して、
五つ子の女の子ができるように祈ろう。
何も無かった人生は終わったのだ。
そう思っていた。
いや、思い込んでいたのだろう。
なんの疑いも無しに、
俺は愛車のワンボックスを走らせて、
街を発見した。
なんの疑いも無く、
ワンボックスで街に行った。
みんな死んだ物同士で仲良くやってるのかな?なんて、
そんな事を思っていた。
街の入り口には鎧の兵隊みたいな人がいた。
車の窓を開けて話しかけたが、
全く言葉が通じなかった。
物凄く驚かれてるのだけが解った。
身振り手振りでなんとかしたかったが、
敵意はなかったのに、
何故か剣を突きつけられた。
『剣』だった。
訳がわからない。
ここは平和な死後の世界じゃなかったのか?
しかも剣て、
何かおかしい。
時代が間違ってる?
俺はパニックで、
車を走らせて逃げた。
バックミラーを見ると、
馬で追いかけて来ていた。
それからはパニックでよく覚えていない。
本気でどうにかなりそうだった。
なんとか冷静になり、俺には一つの答えが頭に浮かんだ。
ここは『死後の世界』ではない。
そもそも、
話してる言語が聞いた事もない言語だった。
英語とかフランス語とか、
聞けば何語かの憶測ができると思うが、
まるで聞いた事のない発音の言語だった。
それに死後の世界なら、
こう、何というか、
対応があるはずだと思う。
うまく説明は出来ないが、
死後の世界にしては違和感を感じた。
あとは、時間が経つにつれ、
『生きてる』と感じた。
腹は減るし、喉も乾く。眠くなるし、転ぶと痛いし、擦り傷もできた。
屁も出るし、いろいろ出る。
これは生きてる証拠ではないだろうか。
では、この世界はなんなのだろう。
疑問が疑問を呼び、
何も解らなかった。
きっかけは、とにかく自分の寝床をどうにかしなきゃと思って、
街から離れた人目の付かない場所に、
転がってた木材やその辺の木を使ってほったて小屋を造ってた時だった。
人目の付かない場所だったはずなのに、
たまたまそれを見かけた人が、
興奮気味に声を掛けて来たんだ。
最初は警戒したが、
敵意は感じなかった。
言葉が解らないから、
何のこっちゃか戸惑ったが、
どうやら俺の持ってる技術や道具が今までに見た事がない物で驚いていたらしい。
そりゃぁそうだろ。
今思うと、
充電インパクトドライバーや、
充電丸鋸、
木を縫い付けるビスなんかは、
この世界には無い物なんだから。
しかしそこからはその人の計らいで、
街に入れてもらい、
宿を用意してもらったり、
建物の修繕工事などの仕事をさせてもらえるようになった。
言葉も覚えた。
そして、家まで造るようになった。
言葉が理解できるようになってから、
俺に話しかけてきた人はこの世界の商人だという事も分かった。
そんな感じで、
元の世界でも、この世界でも、
俺は大工としてやっている。
『なんでこうなった?』
よくそんなふうに考えるようになった。
そもそもどうしてこの世界に来たのだろうか?
そんな答えのない疑問ばかり自問自答していた。
しかし、それでも時間は過ぎる。
2年も経てば、この世界の事もだいたい解ってきた。
まず科学というものは無い。
電気もないしガスも無い。
当然、自動車がある訳も無い。
俺が乗って来たワンボックスを見たら、
そりゃぁパニックにもなるわな。
現代日本に例えるなら、
UFOがいきなり目の前に現れて、
窓が開き、
変な言葉で話しかけられたら、
誰でもパニックになるだろう。
未知との遭遇だった訳だ。
そして、科学が無い代わりに、
この世界には魔術が存在する。
初めて見た時は何かの手品かと思ったが、
タネも仕掛けも無かった。
そりゃぁ驚いたもんだ。
生き物も多種多様で、
人間のように知恵がある獣族や魔族、
魔物がいる。
俺は獣族以外にはまだ会った事はない。
魔物も下等な魔物から人語を話す魔物、
とんでもなく長生きな者も居るという話だ。
普通の動物もいる。
驚いた事に猫や犬といった、
元の世界と同じ動物も数多くいる。
当然、牛や豚といった家畜もいた。
元の世界の想像の中の世界が、
そのまんまこの異世界なのかもしれない。
俺はそんな事を考えつつ、ふと作業の手を止めて、外を眺める。
子供が走り回って、
親がそれを見守る。
通りにはたまに馬車が走り、
冒険者が歩いていたりする。
ここ2年で見慣れた景色だった。
最初は戻れるものなら元の世界、
日本に戻りたいと思っていた。
自宅アパートに残したフィギュア達や、
自作パソコンの中のエロ動画が気になったものだが、
2年も経てば諦めもつく。
あー、アニメが観たい。
アーニャやラムちゃんに会いたい。
しかし、この異世界にも良い事はある。
まずは自分の年齢だ。
死後の世界に来たお陰で若返ったのだと思っていたのが、
どうやら死後の世界ではないと考えをあらためた。
生きたまま若返ったんだと思ったら、
なんだか凄く嬉しくなった。
今でも、俺は若返ったんだと思うと、
ついニヤニヤしてしまう。
家〜いだぜ
異世界に来てしまったとは言え、
若返った事でいろいろと希望が持てた。
一つは結婚。
俺は結婚願望が強かったが、
元の世界では50歳で諦めた。
しかし今は違うのだ。
ここ異世界では結婚適齢期は16歳くらいから20代前半くらいらしい。
成人に成るのは16歳で、
10歳くらいから働きに出る者も珍しくない。
生きるのに厳しい世界では、
子供のうちから働かなければならないのかと思うと、ちょっと切ない。
とは言え、
見た目からして若返った俺には、
またとない結婚のチャンスが訪れた訳だ。
産まれてくる子供には苦労はさせたくない。
すでにこちらに来て2年が経った。
いったい俺がいくつの年齢に若返ったのかは分からないが、今は53歳。
若返った見た目の適齢期を過ぎる前に、可愛い嫁をゲットだぜ。
しかし、何をするにも先立つ物が必要だ。
どこの世界も金が無いと何も出来ない。
幸いな事に、俺の持ってる技術がこちらの世界でも認められて、仕事にありつける事ができてる。
今造ってる家も、俺を世話してくれた商人の新しい家を新築させて貰っている。
報酬も日本にいた時よりもかなり良い額だ。
ほんとにあの商人には頭が上がらない。
感謝感激である。
そうそう、その商人の名前は、アルバと言った。
ちなみにこの世界のお金は、
マネと言う。
初めて聞いた時は、
英語のマネーじゃねーか!
と突っ込みたくなった。
流通しているのは、貨幣のみ。
紙幣は印刷技術がまだまだ進んでいないこの世界には無い。
1マネが鉄銭1枚
10マネが穴あき銅貨1枚
100マネが銅貨1枚
1000マネが小銀貨1枚
10,000マネが大銀貨1枚
10万マネが小金貨1枚
100万マネが大金貨1枚
である。
さらに1000万の白金貨なんてのもあるけど、
見た事はない。
物価に関しては、物の価値が違うので、何とも言えないが、一般的な家庭において、
ひと月4万マネあれば普通に生活はできるらしい。日本の10分の1程度と考えれば良いと思い、自分の中の目安としている。
あと、不思議に思ったのは、1年が元の世界と同じ365日であり、カレンダーもちゃんとある。時間の概念もあると言う事。
この世界の年号は、龍暦と言う。
今は龍暦1845年6月19日。
時刻は街にある『時計塔』の『時の鐘』が、
朝7時から、夜21時までを1時間毎に知らせてくれている。
元いた世界が地球なんだけど、
この世界は一体なんなんだろう?
一年が12ヶ月で閏年があり、時間の概念まで同じ。
太陽は登り、青い月があり、夜空には星も浮かぶ。
月が青い事を除けば、まるで地球ではないか。
アニメ好きな厨二的に考えるならば、
もしかしたらここは世界線の違う地球なのではないだろうか。
科学の代わりに魔法がある地球もあるかもしれないし、
異世界転移というのは世界線を渡る事なのかもしれないと仮説を立ててみる。
俺の場合は、世界線を越える時に、
時間も遡ったのではないだろうか。
そう考えると、若返った理由も分かる。
でも矛盾してる事も多いんだけどね。
まぁ考えても仕方ないんだけども。
兎に角、俺はこの異世界転移を、
新たな人生のスタートとして、
53年の経験を生かして生きていこうと思うのである。
最初の2年はこの世界に慣れる為に費やしてしまったが、今後は日本では果たせなかったいろいろな事を叶えたい。
おらワクワクすっぞ!!
というわけで、
家造りを再開するとしよう。
今使っている道具は、
手道具と言われる、ノコギリや玄能。
持って来た充電工具は、とっくに充電切れ。
実は車にはインバーターという家庭用100v電源が取れる機器を積んでいるので、
道具の充電も出来るんだが、
まずエンジンをかけてからの充電じゃないと、バッテリーが上がってしまう。
エンジンをかけるという事は、燃料であるガソリンを使う。
この世界にガソリンはない。
どこかに原油はあるかもしれないが、
それを蒸留してガソリンを作る技術なんて無いだろう。
車には燃料こそ残ってるけど、
ガソリンが切れたら終わりなのだ。
今、車は町外れにこっそりと隠してある。
バッテリーが心配なので、
たまにエンジンをかけているけど、
実際、車の扱いをどうしたものか決めあぐねている。
捨てるのも勿体ないし忍びない。
いずれにしろガソリンが無くなればただのスクラップなので、その時には諦めもつくだろう。
さてと、今日でこの仕事もお終いだ。
快適な家に住みたいというのは、
どこの世界も一緒だ。
俺は持てる技術を出し惜しみせずに披露している。
なので他の職方に関心されたりもしていた。
世話になった商人アルバは、
異国の建築技術が我が家に使われているのだ!
などと喜んでいる。
ちなみにこの商人アルバには、
俺が異世界から来たこと、ほんとの年齢など、全部話してある。
どこまで信じてくれたか解らないが、
打ち明ける前と比べて、
よりフレンドリーになってくれた。
良い方に取ってくれたみたいで何よりだ。
この商人アルバは、
実はかなり成功した大商人だ。
大商人に相応しい豪邸をと言う事で、
かなり頑張った。
1年近くかけていよいよ本日完成だ。
やり残しはないか全て確認する。
無いな。
完璧だ。
この達成感をまた味わえるとは、
こっちに来た当初は思いもしなかった。
感謝。
これに尽きる。
商人アルバが今住んでいる自宅に行き、
完了報告をする。
すると家族全員で新築を見たいと言うので、
俺も同行する事にした。
商人一家は大家族だ。
大人子供含めて19人家族である。
と言うのも、
この世界では一夫多妻が許されていて、
この商人アルバには妻が6人もいる。
そしてその子供が12人。
最初、上の子が赤ちゃんを抱っこしてるのかと思ったが、
抱っこしてるのは新妻だとか。
第一子より若い第六夫人だそうだ。
なんとも裏山ぁだな。
俺はそんな賑やかな家族を案内して、
新築の中を廻った。
たくさんの感謝の言葉を貰ったけど、
俺の方こそ大変世話になった事で感謝している。
これで少しでも恩返しになれば幸いだ。
ま、お金は貰うけどね。
一通り案内が終わって、
俺は商人アルバに呼ばれて話をする。
アルバ「今回はこんな素晴らしい家を建てていただき、ほんとにありがとう。特にあの和室という部屋は派手さはないが、繊細な美を感じる。ほんとに素晴らしい。このような建築技術があるとは、さすがは異世界の技術だ。今のこの世界のどこを見ても、このような素晴らしい家はありますまい。」
和室を気に入って貰えるか少々不安だったけど、
杞憂だったようだ。
こんなに気に入って貰えるとはね。
和室を造るのに、
材料集めに相当苦労した。
特に畳は苦労した。
さすがに畳までは俺でも造れないから、
ゴザの職人に頼み込んで、あれやこれや試行錯誤の末に出来たのだから。
この世界にゴザがあって良かったよほんと。
アルバ「家の入り口で靴を脱ぐというのも新しい。これなら家の中が泥で汚れる事もない。目から鱗が落ちるとはこの事ですな」
他にも台所やトイレ、浴室なんかも、
文化が違うから戸惑うことが多かったが、
靴を脱ぐと言う日本の文化が受け入れられて良かった。
いろいろ苦労したけれど、
これほど喜んでもらえたら、
苦労のしがいがあったというものだ。
顔が緩みっぱなしですよ。
アルバ「では、これを」
商人アルバはそう言って俺に皮の袋を差し出して来た。
今回の手間賃だね。
大作「はい、ありがたく頂きます。」
ん?ちょっと多くないか?
中身を確認するまでもない。
明らかに多い気がする。
大作「ちょっと多くないですか?これじゃ貰い過ぎです。」
そう言う俺に商人アルバは、
アルバ「最初から多く渡すつもりで用意してたのですが、実際に出来上がりを見ると期待以上の出来で、これでも少ないと思っています。後で追加をお渡ししたい。」
大作「いやいやいやいや、とんでもない!ただでさえ相当お世話になってるのに、これじゃ恩返しにならないですよ。最初の手間賃だけで結構ですから。」
アルバ「いやいや、恩ならこの家を建ててくれただけで充分返して貰いました。報酬は見合った物をお渡ししないと、商人としての誇りが許しません。」
くっそう来たか。
さすが商人だ。
大作「では、この報酬は遠慮なく頂きますが、追加を頂く訳にはいきません。恩返しをしたいと言う、僕の気持ちが許しません」
アルバ「そう来ましたか」
俺と商人アルバは笑い合い、折り合いを付けた。
後日、引っ越しを済ませた後に新築祝いを盛大にやるから是非来て欲しいと言われ、
断る理由もなく約束を受け入れてから、宿へと帰ってきた。
部屋の扉に鍵をかけて、
備え付けの丸テーブルの上に皮袋を置く。
椅子に座って皮袋の中身を出して、
いくらあるのか確認した。
なんと100万マネ入っていた。
大商人気前良すぎ。
日本の場合、
一軒の家を建てると○○円というように金額が決まっている契約方式がある。
これを請け負いと言って、
個人事業主の大工は大概この契約で仕事をしている。
しかし家を建てるのにはそれなりに期間が掛かる。
数ヶ月かかる事もあるこの期間、収入がゼロだといろいろと問題があるので、
月に一回、進捗に合わせて手間賃を貰うようにする。
そうしないと貯金の無い大工は仕事を請けられなくなるからだ。
もちろん例外もあるし、工務店規模になるとまた話は変わってくる。
この世界に来たばかりの俺には当然貯金などないし、そもそもこの世界のお金すら持っていなかった。
なので、商人アルバの家を建てるのに、毎月の生活の為に4万マネずつ頂いていた。
1年近くかけて建てていたから、
48万マネをすでに貰っている。
そして今回の手間賃100万マネ。
さらに追加を考えていたと言うが、
どんだけ破格なんだよ。
大商人ぱねーな。
そもそも一人暮らしの俺が、
異世界でひと月に4万マネも使う事はなかった。
精々2万マネあれば充分だった。
先に頂いていた48万マネの内、
30万マネが残っている。
俺の手元に130万マネ。
日本の価値にしておよそ1300万円。
銀行ってこの世界にはまだないよね…
どうせなら堅実に投資信託したいです。
まぁこれで俺は10年は戦える。
そんなわけないけど。
冗談はさておき、明日からどうしようかな。
商人アルバのところの仕事が終わってからの予定は特に入ってない。
これが日本だったら次々に仕事を入れていたけど、この世界ではそこまで大工仕事があるわけではないようだ。
と言うか、これが日本なら、知り合い関係で仕事紹介して貰ったり、ネットで探してたり。いろいろと仕事の探しようはあったが、
この世界じゃどうやって仕事を取ってくるのかよく分からない。営業でもした方が良いのだろうか?
今いるこの街は、ヴァスレイアー王国のギオールと言う街。
ここ、ギオールの街は治安も良く、周りに魔物も出現する事はほとんどない。他の街と比較しても豊かな街だそうだ。
農業が盛んで静かな街だ。
そう言えば人口はどれくらいなんだろう?
この2年間は自分の事で必死で、
周りの情報を得る事はあまりしなかったな。
今度、機会があれば、商人アルバに聞いてみよう。
この街の建物は、
アルバ邸を建てる時に参考にしようと、
この街の建物を見て廻った時に思ったが、
この世界の建築は多分だいぶ『遅れている』
地球の歴史的建造物に比べるまでもなく、
住む為だけの建物が多い。
貴族の建物は塀に囲まれており、建物の全体は見れなかったが、
垣間見た限り、外観の造形美のような物は感じなかった。
どの建物も基本的には石造りで、内部は所々に木材を使うが、全体的に温か味は無い寒々しい印象をうける。
商人アルバは、他の街も似たような物だと言っていたが、
他の貴族の住まいや、王城なども見てみたいと思った。
日本にいる時は世界遺産の建物を見て周りたいな、とは思っていたが、叶える事のないただの願望だった。
この世界にはどんな建築物があるのだろう。
若返った今なら、本気で行動すれば見て回る事も可能だろう。
当分、食うに困らないだけの資金はある。
ここは思い切って旅に出るのも悪くないかもしれないな。
【読者の皆さま】
読んでいただきありがとうございます。
小心者の私に、
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よろしくお願いします!
白村
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