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2-10 【職業体験】

3/3 本日はここまでです。

 フェリアが【精霊の友】となってからしばらくは、と言っても2日だが、時間を掛けてフェリアのレベルを上げていった。

 やはり2次職になると経験値5倍効果が失われるため、特に序盤は時間がかかった。【エレメンタルリンク】も失われていたからだ。

 レベルが10になると精霊たちとの【エレメンタルリンク】も再開できたので、休日を挟んで、その翌日から9階層での高効率な狩りを再開した。


 スライムダンジョンはランク1のフロア型ダンジョンということもあって、非常に簡易的な作りをしている。

 1階層から9階層まで全て同じ作りで、階層始めと階層終わりの小部屋を上下に配置し、その間に8個の小部屋が回廊を形成している。

 階層始めを南、階層終わりを北と仮定すると、階層始めの小部屋に1つだけある通路に出てすぐが南の小部屋、そこから時計回りで、南西・西・北西・北・北東・東・南東の小部屋が続く。北の小部屋の北には階層終わりの小部屋がある。

 それぞれの小部屋は15m四方程度の小さい部屋で、階層に応じてモンスターが配置されている。小部屋は30mほどの通路で繋がっており、歩くだけなら1周5分程度である。

 9階層は直径30cmほどの属性ベビースライムが1部屋に4匹配置されていて、1匹ずつ戦うのに苦労はしない。


 フェリアがレベル10になって【エレメンタルリンク】が復活すると、精霊たちが他の小精霊たちとの同化を求めた。

 フェリアの成長を待っていたらしい。

 その間、フェリアを煩わせないように静かにもしていたようだ。中には自分の意思を伝えられないほど小さな精霊もいるようだが。

 さらに力を得た精霊たちとフェリアの攻撃は、それまでになく強力なものとなった。

 カイトの【ものまね:マジックボール】とフェリアの【精霊弾】(そんな風に名付けた)のそれぞれ1発ずつでどんな色の属性ベビースライムだろうと倒すことが出来たのだ。


 【精霊弾】の威力はカイトの【マジックボール】の大体4倍である。カイトの【マジックボール】であれば属性ベビースライムは4〜5発で倒せるので、恐らくぎりぎり倒せない威力なのだろう。

 

 カイトとしては少々複雑であった。効率が爆上がりしたのは嬉しいが、そのほとんどをフェリアが担っている。

 最初は手助けしたはずなのに、今は助けられている気分だった。

 もちろんフェリアはそんな風に感じていない。

 【感応士】の力を引き出したのはカイトであるし、カイトと一緒だからこそ楽しみながら戦えているのだ。


 それは経験値分配にも表れている。与えるダメージ量は明らかにフェリアの方が多いのだが、二人とも順調に成長している。

 恐らく等分なのだろう。

 

 もちろんカイトがファーストアタックを加えて、フェリアの安全に配慮したり、その為にわざわざ木製の小型の丸盾、某ゲームであれば「鍋の蓋」と言われてもおかしくないくらいのものを持って、ベビースライムたちの攻撃を防いでいるのだ。

 最近は盾の出番はあまりないが。


 とにかく二人はかなりのハイペースで狩り進んでいく。

 9階層のリスポーン時間は20分であることが判明するくらいのスピードだ。

 お互いの一撃で撃破できるため、一周10分ほどで一部屋4匹、合計32匹を倒し切る。

 カイトの消費に関しても10分の休憩で回復し切る程度のものだ。


 そんな狩りを続けていると、当然レベルアップも早くなる。

 高効率狩りを開始してからわずか2日でその時が訪れた。

 カイトがレベル20になって【職業体験】を覚えたのだった。


 「よっしゃー!【職業体験】覚えたぜ!!」


 「カイトおめでとう!私もレベル16まで上がっているわ!」


 「やっぱ早いなぁ。俺はそこそこ苦労したのに。」


 「カイトのおかげよ。先手を担ってくれてるおかげで、精霊への指示も慌てずに出来るから。」


 「まぁ俺もフェリアと精霊の攻撃の威力に助けられてるけどな。」


 「だからお互い様でしょ?それで、【職業体験】ってどんなスキルなの?」


 「とりあえず使ってみるよ。」


 そうしてカイトは【職業体験】を使用する。

 案の定パーソナルカードが出現し、いつもの文言が表示される。


 『体験するジョブを指定してください。』


 「相変わらず不親切だよなぁ。ジョブを指定するらしいけど候補とかはない。」


 「何か考えはあるの?」


 「マナゴールドの消費があったら怖いし、とりあえず無難そうな【攻撃魔法士】にしてみようかな。」


 そう言って【攻撃魔法士】を指定する。

 どうせなら上級職を試したいという考えからだ。


 ところが【職業体験】は発動せず、パーソナルカードの表記だけが変わる。


 『ジョブの情報がありません。』


 「【職業情報】を使っていないジョブにはなれないみたい・・・。」


 恐らくそういうことだろう。

 上級職はよく知られている。


 そして、【職業体験】に【職業情報】が必要なことは、カイトに再度強い衝撃を与えた。

 もし最上級職が153職あれば、その全てをマナゴールド500使用して確認しなければならないと言うことだからだ。


 カイトは気を取り直して、仕方なく【攻撃魔法士】を【職業情報】に指定して発動する。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【攻撃魔法士】

基本3次職

転職条件

 【魔法士】をマスターする

 【マジックボール】を300回使用する

成長条件

 特になし

レベル上限:50

習得スキル

 【マジックアロー】(1)

 【マジックバースト】(20)

 【属性変換】(40)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 そして続いて再度【職業体験】に【攻撃魔法士】を指定して使用する。


 すると今度はカイトのパーソナルカードの表示に変化が訪れた。


 カイトが最初に予想した通り、他人にも見えるジョブ欄は【攻撃魔法士】に変化している。

 マナゴールドが減っていないことにほっとするカイト。

 そして、自分しか見られないスキル欄には【職業体験:攻撃魔法士:0:59:59】の表示が。

 【ものまね】と同様1時間のクールタイムがあるようだ。

 それ以外にも見逃せない表記があった。

 【攻撃魔法士】が習得できるスキルが全てスキル欄に記載されているのだ。


 【攻撃魔法士】が習得できるスキルは3つ。

 レベル1で【マジックアロー】。これは【マジックボール】よりも強力な魔法で、貫通力に特化している。

 レベル20で【マジックバースト】。これは自身を中心にその周囲にダメージを与える魔力の波動を放つ魔法。

 そして最後にレベル40で覚える【属性変換】。【マジックボール】【マジックアロー】【マジックバースト】の『マジック』部分を、火属性の『ファイア』、水属性の『ウォーター』、土属性の『アース』、風属性の『ウィンド』に変化させ、実際にその属性のダメージを与えられるようにするパッシブスキルだ。


 「パーソナルカードの表示が変わった。可能性は考えていたけど、実際になると嬉しいもんだな。これで管理局に登録できる。俺たちのドロップも売却出来るぞ!」


 「それは・・・すごいわね?表示が変わるだけ?」


 「いや、本当に凄いのはここからだ。再度変更するには1時間必要だけど消費はない。そして・・・レベルに関係なく、そのジョブが習得するスキルを全部使える・・・と思う。多分。」


 「多分って。とりあえずファイアボールでも使ってみたら?」


 上級職のスキルはよく知られている。熟練の【攻撃魔法士】は多彩な魔法を使って戦うことで有名なジョブだ。


 「それもそうだな!【ファイアボール】!」


 無事火の玉が射出される。

 火の玉も言っても実際に燃えているわけではなく、視覚的なものでしかない。属性ダメージを与えることは出来るが、火をつけて継続ダメージに期待するなどは出来ない。


 ちなみに属性には火・水・風・土が存在し、それらは【基本属性】と言われている。

 『基本』なのだから、他にも属性があるのだろうとカイトは考えているが。


 「本当に使えるようになったのね・・・。反則じゃない?」


 「んー多分【職業情報】を使ったことがあるジョブじゃないとだめだし、1時間は変更できない。他にも制限があるかも知れないし、恐らく能力の変化はないから多用はできない。これは【ものまね】と一緒かな。」


 「確かに強力なスキルでも数が使えないと意味ないもんね。」


 そういうわけでもない。

 カイトとフェリアの狩り方が異常なだけである。

 通常はやや強いモンスターと強力なスキルを使用しながら戦うのである。


 「検証しなきゃだめだけど1時間に1回だしなぁ。普段は中級職くらいにしておいて、管理局でも不自然じゃないようにするくらいかな?」


 「それでも十分に助かるわね。パーティで一人でも登録できればドロップの売却はできるし。」


 「ソロってのも珍しいはずだから何かバックストーリーは考えないとかもだけどね。とりあえずいい時間だし今日は帰ろうか。マザーとも相談しよう。」


 「それがいいでしょうね。管理局に登録できれば孤児院にこれ以上お世話にならなくても済むし。」


 「そうなんだよなぁ。そろそろ独り立ちしないと・・・。いや、二人なんだけど。」


 「私が言うのも何だけど、順調なんだから心配しなくていいんじゃない?」


 「ま、それもそうか。相談して今後を決めようか。」


 「ええ、そうしましょう。」


 そうして二人は帰途に着くのであった。


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