2-9 最上級職
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「フェリア!!!表示されたぞ!!」
「え?ホント?!なんていうジョブなの?」
「【魔法戦士】だ!」
カイトは驚きのあまり、フェリアに詳細を伝えようとしない。
「え?・・・精霊たちが『【魔法戦士】』『強い』『すごい』って言ってるわ・・・。本当にあるのね・・・。」
精霊たちは最上級職を知っているようだ。
「え?精霊たちは最上級職を知ってるの?」
「知ってるって。すごく楽しそうに喋ってるよ。」
「他にどんなのがあるか分かるのか?」
「えーと・・・。『いっぱい』『たくさん』『覚えてない』だそうよ。」
もしかしたら情報が得られるかも知れないと思ったが期待外れのようだ。
「えーと、【シーフ】【アサシン】に聞き覚えは?」
「・・・。『【シーフ】』『【アサシン】』『知らない』『怖い』『隠れる』・・・らしいわよ?」
「・・・。」
聞き方が悪かったようだ。
ただ、【シーフ】か【アサシン】は存在するようだ。
「考えるのもいいけど、とりあえず【魔法戦士】について教えてくれない?」
「あー、そうだな。まず転職条件は『【軽戦士】をマスターする』と『【攻撃魔法士】をマスターする』だ。スキルは3つあるけど、名前だけじゃどんなものか分からない。」
この転職条件の時点で、転職が存在するのは確定である。その方法は不明だが。
「どうやって達成するのよ。その転職条件。」
「恐らくだけど・・・、昔は転職方法が存在したんだよ。それがなぜか失われた。そして、その疑問さえも封じられたんじゃないかな。」
「確かにそれくらいしか考えられないけど・・・。カイトがその発想に至ったのが不思議だわ。」
「昔からジョブを調べるのが好きだったんだよ。その時に疑問を持って、それで希少職を得てからは尚更な。どうにか転職できないか考えてたから。」
フェリアの疑問に対して予め用意してあった回答を口にする。
「なるほどね。でも最上級職に転職が必要って分かったのは大きいわね。今でこそこの希少職も誇らしく思えるけど、出来ることが増えるなら転職も考えたいし。」
フェリアはまだ役に立つために何かできないかを考えているようだ。
すでにカイトにとっては欠かせない人材であるのだが。
「あー!!分かってる!転職しないから!!ってか出来ないわ!!・・・ごめん、転職したいって言ったら精霊たちが・・・。」
精霊が転職するとは何事だ!と騒いだのだろう。
「ところで精霊たちは転職方法を知らないのか?」
「あー・・・。知らないって。」
「そっか・・・。」
そう甘くはないようだ。
「とりあえずあと2回やってみよう。」
精霊たちは当てにならないので、当初の予定通り【シーフ】を指定する。
『その職業は存在していません。』
失敗したようだ。
「うーん・・・。」
「どうしたの?」
「【シーフ】を指定して失敗したんだけど、何か違和感が・・・。」
「・・・見れないから分からないわ。というか【シーフ】ってどんな意味なの?」
確かにフェリアには意味のわからない言葉だろう。
「えーっと・・・、斥候系の中でも素早く動いて相手を翻弄しながら攻撃するタイプかな?ゴブリンとかにも確かいたような?」
盗賊とは言えないので曖昧に答える。
「そういえば『ゴブリンシーフ』だとか『コボルトシーフ』なんてのがいるわね。」
追求されたらまずかったが、何とかなったようだ。
(うーん、一人でこっそり調べる方がいいかな?)
そんなことを考えるが、お金の管理が一括の時点でそれは出来なかった。
「まぁいっぱい調べたから、どこで見かけたかは覚えてないなぁ。」
「それで、あと一回やるんでしょ?今度は何にするの?」
「【アサシン】にしてみようと思う。【暗殺者】と悩むけど。」
「随分物騒な名前ね・・・。」
「まぁジョブだし。それに精霊たちも『いっぱい』って言ってたしね。もし想像通りなら・・・考えたくもないな。」
「想像?何か気づいたの?」
「まぁそれはもう1つ2つ最上級職を見つけてからかな?」
「そう?じゃあ待ってるから続きをお願いね。」
「分かった。」
そうして三度、【職業情報】を使用する。
指定するのは【アサシン】。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【アサシン】
基本4次職
転職条件
【道具士】をマスターする
【鑑定士】をマスターする
成長条件
モンスターを討伐する
職業に関連した行動をする
レベル上限:70
習得スキル
【カモフラージュ】(1)
【不意打ち】(30)
【鑑定阻害】(60)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
無事表示されたようだ。
「うわぁ・・・うわぁ・・・。」
思わず繰り返してしまうカイト。
「どうしたの?ダメだった?」
「いや表示された。んだけど・・・さっきの想像が現実味を帯びたから・・・。」
転職条件に再度上級職ふたつのマスターが表示された。
しかも予想もしていない前提職である。
「説明・・・してもらえる?」
頭を抱えて混乱しているカイトに遠慮がちに説明を求めるフェリア。
「えっと、『基本4次職』として【アサシン】が表示された。転職条件は『【道具士】をマスターする』と『【鑑定士】をマスターする』。スキルは【魔法戦士】と同じで3つ。」
「転職条件が違うだけで【魔法戦士】とそんなに変わらないのね。それで何に気づいたの?」
「【魔法戦士】が【軽戦士】と【攻撃魔法士】、【アサシン】が【道具士】と【鑑定士】。上級職ふたつのマスターが条件なんだ。まだ確定ではないけど、【アサシン】が戦闘職と生産職を前提としてるってことは・・・。」
「戦闘職と戦闘職、戦闘職と生産職、生産職と生産職ってパターンがあるってこと?」
「いやそれだけじゃなくて、全部で18職ある上級職、その全てから2つがパターンなのだとしたら、最上級職は153職あることになるんだよ。しかも基本4次職だけで。」
「どうやって計算したの・・・。【算術】もないのにとんでもない計算力ね。」
18種類から2種類の組み合わせである。18×17を2×1で割ればいい。
日本で大学生くらいの知識を持つカイトには当然可能な計算だったが、この世界ではそうも行かない。
「昔から計算は得意だったからね。で、可能性として153職存在するんだ。なのに【職業情報】で全然当たらない。つまりそんなにあるのに想像すらつかないってことなんだよ。」
「それで、それに何か問題があるの?」
カイトが絶句する。
確かに問題なかった。
「転職できないんだし、確かに問題ない・・・な?」
「でしょう?カイトはジョブが好きって言ってたから気になるんでしょうけど、私にとっては自分に関係ないなら問題ないわ。」
「あーうん。確かに。」
カイトの興味がジョブにあるからこそ生じた衝撃だったようだ。
「転職方法が分かったら気にしましょう!最上級職の存在が分かってもカイトのスキルだけだし、証明できない。つまり存在しないのと変わらないわ!」
フェリアの言う通りである。
本当に153職存在するのか。
そもそも『基本4次職』になる方法はあるのか。
それが確立しない限りは証明できず、存在しないも同等だ。
「そう・・・だなー。」
「カイト!早く【精霊契約】を覚えたいから、気を取り直して頑張りましょう!」
「あーうん。よし、切り替えた。まずは俺の【職業体験】だけどな!」
【職業体験】の効果が今回調べたことと関わってくることで、再度同じ衝撃がカイトを襲うのはもうちょっと先のことである。




