2-8 【精霊の友】
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フェリアが【エレメンタルリンク】を覚えたことで、狩りの効率が非常にアップした。
そのおかげで、【エレメンタルリンク】を覚えた翌日にはレベル20に到達し、転職準備状態に入った。
カイトがベビースライムだけで上げていた時と比べたら大違いである。
「ね、転職しちゃってもいいよね?」
転職準備状態になれば、あとは自分の意思で転職することが可能だ。
例外は【平民】の自動転職と、上級職だ。上級職には転職先が用意されていない。
「もちろん。ただ能力が下がるから転職直後は気をつけてくれよ?」
「分かってるって!じゃあ、転職!!」
転職するのに声を出す必要はないが、フェリアのテンションは振り切っているらしい。
数日前の絶望はすでに振り切ったようだ。
「【精霊の友】っていうジョブに転職したよ!スキルは【精霊視】だって!」
本当に嬉しそうに報告してくる。
【精霊視】は名前の通りなら精霊が見えるようになるのだろう。今までは何となくいると感じるのと、要領の得ない声が聞こえるだけだったのだから、見えるだけでも大きなメリットになるだろう。
「あ!精霊たちが見える!・・・ただの光ってる球体だけど・・・。え?・・・そうなの?」
精霊はただの球体のようだ。
何かしら精霊たちがフェリアに伝えたようではあるが。
「精霊たちはなんだって?」
「『小さい』『これから』『まだまだ』『楽しみ』なんだって!」
まだ小さいから、これから姿が変わるということだろう。
「ねぇカイト。【エレメンタルリンク】が切れちゃった・・・。」
「あーレベルが1になったから最大魔力量が減ったんじゃないかな。ある程度はすぐに戻るだろうし、大丈夫だよ。」
「そっか。やっぱり無理に同化させなくて正解だったんだね。」
あれからも新しい精霊が近寄ってきては同化を求めてきていたらしいが、それはカイトが止めていた。
転職後のレベル低下を懸念していたからだ。そして、それは正解だった。
「それじゃあとりあえず【精霊の友】について調べてみるね。」
「あ、お願い。」
そうしてカイトは【職業情報】に【精霊の友】を指定する。
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【精霊の友】
特殊【感応士】系統2次職
転職条件
【感応士】をマスターする
成長条件
特になし
レベル上限:30
習得スキル
【精霊視】(1)
【精霊契約】(20)
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カイトは表示された職業情報をフェリアに説明しながら考える。
成長条件に、【フリーター】にはあった『【遊び人】系統スキルを使用する』が存在しない。
モンスターを討伐することに特化した職業・・・とは考えにくいが、この中途半端な感じが希少職の所以だろうか。
「とりあえず、今まで通りにモンスターを狩ってレベルを上げていくしかないな。」
「この子達と契約したいし頑張るわ!この子達も【精霊契約】があるって分かって喜んでるみたい!」
「ほとんど契約してるような気がするけど、やっぱり違うんだろうな。【精霊契約】も楽しみではあるけど、まずは俺の【職業体験】だな!」
「付き合ってくれてありがとう。それに・・・数日前まで絶望しかなかった私を救ってくれて・・・改めてありがとう。希少職の私が【2次職】になれるなんて夢にも思わなかったわ。」
「フェリアと組み始めてから効率が上がってるんだ。お互い様だよ。」
「いいえ、貴方が手を差し伸べてくれなかったらきっと私は死んでるわ。」
「精霊のお導きだろ。」
「変わった表現ね。でも確かに精霊がいなかったら・・・。貴方達もこれからもよろしくね!」
この世界にはなぜか宗教というものが存在していない。
日本のほとんどのゲームで回復役である【僧侶】は存在せず【回復魔法士】であるし、孤児院も教会ではない。
そのせいでカイトの【職業情報】もなかなか候補が見つからない。
ちなみに現状狩りで得た収入は全てカイトが管理している。
孤児院で生活しているし、武器や防具も孤児院からの貸し出しだ。
カトレアに支払うと言っても受け取ってもらえないため、今後のためと【職業情報】に使うために貯蓄している。
カイトとフェリアが組んでから効率が上がっているため、この数日で所有マナゴールドは3000を超えた。
「とりあえずフェリアの第一目標は達成したし、ちょっと【職業情報】で最上級職でも探してみるかな。」
「外れたらお金だけ減るんでしょ?全部使うことはないと思うけど、本当に最上級職なんてあるの?」
「あると思うよ。さらにその先も。なんで失われたかは分からないけど。そうじゃないとランク4以上のダンジョンが攻略されている理由が分からないから。」
「そう言われてみればそうね・・・。なんで誰も疑問に思わないのかしら?」
「そこも不自然ではあるね。俺の【職業情報】でも転職条件なんてものが出るから、最上級職はあっても難しい条件なんじゃないかな。」
「でも分かれば狙えるかも知れないわね!」
「それもあるし、【職業体験】なんだ。名前が分かれば体験できるかも知れないじゃん?」
「なるほど。だから探そうって言ってるのね。精霊の言葉の汲み取りといい、その発想といい、カイトは本当に変わってるわね。」
「そんなことないと思うんだけどなぁ。」
カイトが転生者であることは誰にも話していない。
でも、転生者であるからこそ、色々なことに疑問を持つのかも知れない。
実際、『失われた最上級職』という言葉はあるが、一部の学者気質の人を除いて誰も気にしていないのだ。
「とりあえず3回、思いつくものを試してみよう。戦士系・魔法士系・斥候系でちょうど3回だし。」
という訳で候補を考えてみる。
戦士系で言えば、【魔法戦士】や【騎士】、【バトルマスター】などが考えられる。
魔法系で言えば、【賢者】【魔導師】、【黒魔道士】などの色系。
斥候系で言えば、【忍者】【シーフ】【アサシン】だろうか。
これらのうち【賢者】はすでに試して失敗している。
戦士系は【騎士】は除外。【ナイト】かも知れないし。そうなると【魔法戦士】か【バトルマスター】だ。ただ、【バトルマスター】は出来ることが漠然としていて想像しにくい。
というわけで【魔法戦士】に決定した。
魔法士系は【賢者】一択なのだが、存在しない。上級職に存在するのは【攻撃魔法士】【回復魔法士】【補助魔法士】。【魔道士】でも【魔導師】でも【魔術師】でもない。カイトには想像も出来なくなっている。保留である。
斥候系は逆にどれもありそうだ。【忍者】は日本では代表的だが、ここは異世界だ。存在するか怪しい。
【シーフ】と【アサシン】は【盗賊】と【暗殺者】と言い換えられる。これも自信がない。
「んー、前々から考えてたし、今改めて考えて見たけど、魔法士系はやっぱり保留にするよ。戦士系1つと斥候系2つ試してみる。」
「まぁカイトに任せるけど・・・。駄目でも落ち込まないでね?」
フェリアからしてみれば最上級職の存在自体眉唾ものなのだ。
「まぁ賭けみたいなものだしね。とりあえず1つ目!」
そう宣言して、【職業情報】に【魔法戦士】を指定する。
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【魔法戦士】
基本4次職
転職条件
【軽戦士】をマスターする
【攻撃魔法士】をマスターする
成長条件
特になし
レベル上限:70
習得スキル
【マジックウェポン】(1)
【マジックスロー】(30)
【バーストストライク】(60)
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カイトのパーソナルカードにそんな表示がされるのだった。
そしてこれが、カイトの中だけであるが、『失われた最上級職』が確認された瞬間だった。




