俺の厨二病体験
これはノンフィクションです。
小学校3年生の時に始まりました 幽霊の影が待ち遠しいので、他の能楽の子供とは違うと思い始めました。
ことの始まりは小学3年生のときだった
幽白の飛影に憧れ、俺は他の能天気なガキどもとは違うと思い始めた
それまで明るく社交的で友達も多かったが、
他人との関わりを全て絶ち、小学校にいながらにして丸1日何もしゃべらない日も珍しくなかった
そして意味もなく眼帯をしたり、人目につく場所で突然胸を押さえて苦しむフリをしたりと、
周囲の人間からは完全に痛い奴という目で見られていた
俺の厨二病体験はここから始まる
中学に進学し、俺の学力はメキメキと伸び、
学年で1位は当然のこと、県の学力調査テストでも県内でベスト10に入る程に成長した
部活にも入らず相変わらず他人との接触を極力避けていたが、
そんな俺にもエンジェルが現れる。
厨房の頃、伝奇小説に影響されてた俺は自称吸血鬼の末裔だった
日の光が当たったら灰になる設定でいつも黒いフードを被ってた
右腕にはいつも包帯巻いて、マジックで黒い模様中に描いてた
弁当の時間はガラスの容器にいれたトマトジュースを飲み、「鉄の匂いってソソるよな」とか言ってた
口癖は「俺死にたいから誰か殺して」
死にたくなるな
ある女子が俺と話してくれるようになったのだ
今にして思えば『君ってすごいね、頭いいんだね!』という中身の無い会話ばかりだったが、
当時の俺はただ一人話しかけてくるその女子をエンジェルとして意識するようになる。
とは言っても当然女子に免疫がなかったので、
自ら話しかけることはなく、
主な活動は放課後の教室で夕日を見ながら
エンジェルのリコーダーをチュパチュパする程度の活動だった
エンジェルの住所は尾行によって突き止め、
登下校の際わざわざ遠回りしてエンジェルの家の前を通り
念を飛ばしたり洗濯物を眺めたり
周りに立ち小便をひっかけて
マーキングを行うのが日課になった
そして厨二病のピーク、
中学2年になったときに事件は起こった
エンジェルのスクール水着(使用後)
が盗まれるという事件が起こったのだ
エンジェルは気丈に振る舞っていたが、俺の心中は穏やかではなかった
もちろんスク水を盗んだ奴が羨ましかった(先を越された)というのもあるが、
エンジェルを守る騎士気取りだった俺には赦すことのできない事件だった
これは早くエンジェルの騎士(彼氏)にならなければと思った俺は、
すぐに行動に出た
朝イチで登校し、エンジェルの机の中に
俺のメールアドレスを書いた紙(匿名)を忍ばせ、
エンジェルからの連絡を待つことにした
匿名にしたのももちろんちゃんとした理由がある。
この頃デスノートにハマりきっていた俺は、
Lのような正体不明の探偵に憧れていて、
エンジェルにスク水盗難事件の犯人捜査の助言を
正体を明かさぬまま行おうとしていたのである
そして事件解決後に全て打ち明け、正体はあなただったのね…好きっ///
という展開になるだろうことは容易に予測できた
案の定、その後すぐに
『誰ですか?もしかして高橋くん!?』
というメールが届いた。
高橋とはクラス最高のイケメンのことである
それに対する俺の返信
『親愛なるエンジェルへ
私はあなたのホーリィ・ナイト(H・K)です。(高橋じゃありません^^;)
エンジェルのスクール水着を盗んだ犯人は必ず私が捕まえます。
私はあなたやあなたの周囲の人間の行動パターンや自宅の位置を把握しているので、
容易く犯人を割り出せます。
あと私は表向き存在しないことになっており、
極秘の捜査を行うので他の人間には私のことを話さないようにお願いします。
H・Kより
(チェスのナイトの画像を添付)』
返事は来なかった。
翌日、一時間目が潰れ、
視聴覚屋にて学年集会が開かれた。
そしてあろうことか視聴覚室のスクリーンに俺が送ったメールが映し出され、
周りから『きめぇwwwwwwホっwwーリィwwwナイトww』
という声があがったが、俺の耳には入らなかった
このとき重大な過ちに気づいたのだ
俺のメールアドレスは
【俺の名前】.xxxx@~(xxxxは俺の誕生日)
となっており、疑いの目が俺に向けられたのだ
俺は周りの人間が高笑いするなか、
一人膨大な量の汗を流していた
俺は当然のように呼び出しされ、
『これは高橋が私を陥れるための罠だ』という苦しい言い訳も通らず、
みんなは俺をH・Kだと断定した
そしてなぜか俺がスクール水着強奪の犯人ということにされたのである
数日後、保健室登校もやめて
失意のうちに引きこもり、
ネットで学校の裏サイトを発見するが、
これがまた事件を呼ぶことになる
裏サイトの一番上に『【俺の名前】 総合スレ』というスレがあり、
開くとそこには驚きの事実が書き込まれていたのである
『あいつがスク水を盗んでいるところを見たと先公に言ったったったwwwwww』
『mjdwwww乙wwwwww』
『うはwwうはww冤罪wwwwwwwwwメシウマwwwwww』
というようなレスで溢れ、
なんと俺のエンジェルまでもが俺をディスっていたのだ
そのスレは基本的に
エンジェルが俺と話す
↓
話の中で仕入れたネタ(燃料)をエンジェルがスレに投下
↓
祭り
という流れだった
信じていたエンジェルに裏切られた俺はエンジェルを堕天使と呼び改め、
復讐の準備を始めた
まず、脅迫メールを送ることにしたが、
これはあまり良い方法ではなかった
なぜなら堕天使は携帯を持っておらず、PCでメールをしているため、
『すぐにメールに気付かなかった』という理由で無視される可能性があるのだ
無視されては脅しも要求もクソもないので、
メールでの脅迫は手詰まりのように思えた
しかし、ある悪魔的発想が俺の脳内に生まれた
最初に俺の携帯アドレスを変更し、匿名にて
『例え相手が不審者っぽくても思わず返信したくなってしまうようなメール』を送る
そして堕天使から返信が来た瞬間に脅迫メールをカウンターで送れば、
堕天使がPCの前にいることが既に証明されているので、
脅迫メールに気付かなかったという言い訳が出来なくなるのである
この天才的発想に身震いしたのを俺はよく覚えている
俺は思わず返信したくなってしまうメールを三日三晩考え、ついに
『すみません、私のところに毎日空メールを送ってくるのをやめてください。
あなたは誰なんですか?
気味が悪いのでこれ以上続けるようなら警察に相談します』
というメールを送り、
計画通り堕天使から返信が来た瞬間に脅迫メールを送った
俺の脅迫メール
『私との約束を破った罰だよ。
聖地イェルサレムを追放された堕天使は
ホーリィ・ナイト(H・K)によって討ち滅ぼされるだろう。
ちなみに、君が友人に密告するのを防ぐために、
“裏切りの使徒ユダ”(つまりスパイ)を君の友人の中に潜ませてもらったよ。
君がこのことを友人に漏らし、スパイの耳にそのことが入れば、
H・Kは君を殺すだろう。
先生方に密告したとしても、捕まる前に君を殺すだろう。
(後半へ)
この無間地獄から逃れる方法はただ一つ、
聖騎士ホーリィ・ナイトの永遠の伴侶になることを誓うのだ』
俺はエンジェルを諦めきれていなかったことが、
メールを打っていて気付いたのだ
もちろんスパイの話もデタラメだし、
脅すネタも犯罪クラスだったが、
当時の俺は本当に自分を騎士だと思い込んでいたので
当然赦されると思っていた
次の日、休みの日だというのに親に連れられ、
俺は学校に連行された
そこには校長・教頭・学年主任・担任が揃っており、
両親と俺を併せた7者面談が始まった
まずトーチャンカーチャンに、
昨日送った脅迫メールがコピーされたプリントが配られ、
カーチャンが泣き出した
なぜ泣いているのか俺にはさっぱりわからなかった
別に悪いことはしてないと今でも思う
面談の内容は主に、
・立派な犯罪だが堕天使とその家族が警察に通報しないという方針だということ
・しっかり反省して謝罪すれば事を大きくしないこと
・一度精神科に診てもらうこと
というようなものであったが、
警察に連絡しないのは裏サイトとかのイジメがばれないようにするためだろうと
容易く読めた俺には納得できるようなものではなかった
どうせイジメが露見するのを恐れて
通報しないだろうと踏んだ俺は強気の態度をとった
『私を誰だと思っているんだ。
新世界の聖騎士(H・K)だぞ。
そっちだってスクール水着盗んだのを俺のせいにしたじゃないか、
なのに俺だけ捕らえられるなんて、
それはお前らのエゴじゃないか?
冤罪が露見するのが怖けりゃ俺を見逃すんだな』
このころの俺はデスノートにしゃべり方も影響されていた
面談は平行線を辿ったまま数時間にも及び、
このまま出口の見えない論争が続くのかと思われたそのとき、
ある意外な出来事によって状況は一変することになる
なんと堕天使から学校に連絡が入ったのだ
教師によると、
『あの子のことを陰でみんなで馬鹿にしてた私が悪いんです
彼はなにも悪くないんです、
私が彼を狂わせてしまったんです』
と泣きじゃくりながら話していたらしい。
このとき、長かった俺のナイトメアが漸く消滅していくのを肌で感じた
俺は糸の切れた操り人形のようにその場に崩れ落ち、
涙と鼻水を垂れ流しながら土下座してようやく赦してもらえた
俺は晴れやかな気分だった
これで俺のエンジェルと一緒に
一からスタートが切れると思っていたのだ
解放された俺はいけないとは思いつつ、
あの裏サイトを開いてみた
そのスレには俺の脅迫メールのコピペの他、
俺の顔写真を使ったコラまでたくさん貼られていた
堕天使の罠と演技にまんまとはめられた俺は、
さらなる復讐を誓った
このとき、厨二病末期症状が見られていた俺は、
ネットでバタフライナイフとスタンガンを購入していた
もはや堕天使を殺すことだけしか頭になかった
この日から俺の訓練が始まった
バタフライナイフをヌンチャクのように振り回し使いこなす動画を見た俺は、
そのかっこよさに惹かれ、
毎日のようにバタフライナイフを振り回して練習した
このころの俺は、
バタフライナイフを上手に振り回すクールな俺をエンジェルに見てもらえれば、
きっとエンジェルも俺に惚れるだろうと考えていた
俺はまだエンジェルを嫌いになりきれていなかったのだ
しかし中学生などに扱いきれるような代物ではなく、
しだいに手が傷だらけになっていったが、
むしろバキみたいな傷だらけの主人公に憧れていた俺は、
喜んで目立つところに傷をつけた
しかしバイ菌がナイフについていたらしく、
気づいてみれば俺の腕はグロテスクな感じになってしまっていた
このころから俺の通院生活がスタートする
もちろん精神神経科に連れていかれた俺は、
二週間ごとに精神科に通い、
精神安定剤や睡眠導入剤を処方され、
本格的な厨二病の治療に乗り出した。
学校には保健室の他に相談室という部屋があり、
不登校より一つレベルの高い池沼たちが通っていて、
俺も出席日数ギリギリになるように相談室登校を続けた
精神科や相談室の先生は俺の話を真面目に聞いてくれた
それからというもの、
俺は憑き物が落ちたように真人間になり、
勉強に精を出した
もちろんエンジェルのことも諦めてなかったが、
バレないように上履きの匂いを嗅ぐ程度に行動を抑え、
時は過ぎていった
受験シーズンになり、
ぜひともエンジェルと同じ高校に進学したいと思っていたが、
先公が情報規制をしいたらしく、
エンジェルどころか他の奴の受験校もわからなかった
俺は仕方なく適当に受験を終えた
エンジェルもそこまで馬鹿ではなかったので、
もしかしたら俺と同じ高校に行くかもしれないと期待した
結果は残念だったものの、
今ではこれでよかったのだと思える
もし同じ高校に通っていたとしたら、
お互いに嫌な思いをしていたかもしれないのだ
そして俺は、
持ち前の頭脳で某国公立の医学部に進学した
こうして俺は永きにわたる天使と騎士の悪夢から解放されたのだった
終わり
中二病には気をつけてね★