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俺はまだ思い出にしたくないからそれしか言えないんだ

作者: 沙華

俺の片想いの彼女には、好きな人がいる。


自慢じゃないけど、俺だってそこそこモテる方。

今年に入ってもう2人に告られたし、リアルに自信過剰とかじゃない。

告ってきた奴らだってそう悪くない。

なのに俺は、あの子が片思いをしていると知っていて好きになった。

とんだ愚かものだ。



「さとしっ」



彼女のことを考えているとき(もちろんエロいことじゃあない)決まって声をかけられる。

1日は24時間あるから確率的には……かなり低いのか??

てことはこれってテレバシー?意思疎通?じゃなくて以心伝心だっけ??

いやいや、俺が常に彼女のことを考えてるってトリック。



「大木くんと話しちゃったあ!」



ああそしてこの言葉。

もう俺的には2日に1回は聞いてる。

同じ図書委員らしいし、話すことだってあるだろう?

しかも片方は想いを寄せてる。図書委員の活動は毎日。そりゃ話すわな。



「しかもね!大木くんって文化祭の実行委員なんだって!

 どーしよー実行委員すら同じって、これって宿命?じゃなくて運命?!」



なんで大木なんかがいいんだか。

用はガリ勉。成績が学年トップクラスなかわりに他人と会話はほとんどしない、

女子に興味なさそうだけど妄想的は俺よりエロ(そうな)いムッツリスケベ。

女子は勉強にしか興味なさそうとか言ってるが男の俺から見たらありゃ完璧なムッツリだな。

正直なんであんな奴がいいのかさっぱりわからない。

俺の方がモテるし(勉強の方は皆無だけど)、背も高い。



「知るか。大木がなりそうな役員を片っ端から立候補してただけだろ」



俺はもっとあいつと話したいくせに、傷つくのを怖がって逃げるようにはあいつから離れた。

いまさら傷つくも何も、あいつには好きな奴がいるんだ。

待ってよーなんて声も聞こえるが、俺はまだ思い出にしたくなくて。



「待ってってば!」


「…知るか」


「あたし、こっ、告白するから!」



……ほら来た。

お前のことならなんだってわかる。ずっと相談相手してきたしな。

だから告るタイミングだってわかるんだよ。思い出にしたくなんかなかったのに。





だからわかるんだよ。

このあとお前がどんな顔して俺のところに来るかだってよ。



「……バーカ」


「っそれなくない?大事な友達がフラれたんだよ?」



だからわかるんだよ。

笑ってるお前を無理させずにしてやる方法だってよ。


俺自身が、

傷つくことを

恐れなければ。



「…俺なんてずーっと失恋状態だぜ?」


「はぁ?あんたゆかりと付き合ってるんでしょ?」


「あんなもン4日で別れた」


「ちょっ…なにそれゆかりかわいそうじゃんッ」


「好きな奴がいてもいいから付き合ってって、泣いて言われたんだよ。

 4日も我慢してやたんだぜ、そのあとは俺の自由だろ」


「好きな人、いたの?」


「高1でいねえと思ったか?」


「ちょ…待って失恋て……」


「ずーっと何か月も今のお前みたいな気分の奴がいるんだぜ?だから…」


「ちょっと待ってって…」


「お前も無理すんなよ…」



まさに何かが切れたように涙があふれてくるらしい。

まったくブサイクになりやがって。

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― 新着の感想 ―
[一言] 文章は分かりやすく、スラスラと最後まで読めました。ただ、女の子の描写が、ほとんど台詞のみだったので、もう少し説明があっても良かったかなぁと。 ストーリーは、これからの展開に続くような終わり片…
2009/08/07 16:38 退会済み
管理
[一言] 初めまして。 タイトルに惹かれて拝見させていただきました。 いいところで終わっちゃいましたね。 短編じゃなくて、この先の二人のお話も読んでみたいと思いました。 せっかくタイトルにも『思い出に…
[一言] 男性視点の物語ですが、作者様はおそらく女性ですよね? 着眼点がおもしろいと思いました。 ただ、言葉遣いが少し乱れている箇所があります。 「リアルに自信過剰じゃない」や「俺的に」は、 直した…
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