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グラビィティ家


「うええええええええええん」

 その場で泣き出す金髪の美少女……。


「いや、でも……仕方ないっていうか……」


「酷い、最低、死ね!」

 助けてあげたのにこの言い種、僕は少しだけこの娘を助けた事を後悔していた。


「ご、ごめんなさい」

 何を言っても聞かない……でも仕方ないので僕は何度も謝り続けた。


「……あんた名前は?」

 ようやく泣き止むと金髪の美少女は僕のバックパックの上に座り僕を睨みながらそう聞いてくる。

 商売道具にって怒ろうとしたけど、そもそも最初に乗っけたのは僕だった。


「ヨーク……」


「ヨークね、私はジェシカ」


 お互いファーストネームのみ教え合う、まあ僕はお金持ちとか凄い家柄でもないから言っても良いんだけど……基本的にファミリーネームは初対面で信用出来ない人には教えない。

 

「それで、ヨーク……これからどうするの?」

 ジェシカは少し不安な表情で僕にそう言った。


「とりあえず森を抜けないと……そろそろ日が沈む」

 僕は空を見上げそう言った。


「そうね……」

 ジェシカも不安そうに空を見上げる。

 森の恐ろしさは誰でも承知の上……それにしてジェシカは何故一人で森に……。


「ジェシカ、さん……とりあえずそのまま捕まってて貰えます?」


「え?」

 僕はそう一言断ると、ジェシカごとバックパックを背負った。


「きゃあああああ!」

 いきなり高く持ち上げられ悲鳴を上げるジェシカ。


「大丈夫ですかあ?」


「大丈夫……よ! ふん……いい眺めね」

 バックパックの上、後ろ向きに腰掛けたジェシカは悲鳴を誤魔化す様にそう言う。


「えっととりあえずゆっくり歩きますからしっかり捕まっててくださいね」

 僕はそう言ってゆっくりと歩き始めた。

 かなりの距離を走って来た為、もう森の淵にたどり着いている。

 いるが……森を抜けても町まではかなりの距離がある。

 当然森の周囲にも魔物は数多く出現するため村や町は存在しない。


 野宿になるけど……二人っきり……。


「ねえ……あんたのこれって魔法でしょ」

 そんな事を考えていると荷物の上からジェシカがそう話しかけてくる。

 

「え?」


「とぼけても駄目よ、あんたグラビィティ家の者ね……」


「なんでそれを……」


「ふふん……私はなんでも知っているのよ~~♪」

 グラビィティ家と言ってもしがない村の長、今は村ごとないので没落した家。

 ジェシカは鼻歌でも歌う様に僕のファミリーネームをズバリ当てた。

 そして僕の秘密も……。

 綺麗なドレスを身に纏った金髪の美少女ジェシカ、一体この娘は何者なんだ?


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