表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/23

世界を終わらす事さえ


 僕が地面に彼らを下ろすと、恐怖に満ちた顔で村から逃げる様に出ていった。

 多分何をされたかわからないのだろう……一切反撃する事なく逃走した。


 僕は彼らを黙って見送った後、無駄だとわかっているが、一応ジェシカにきっちり注意をした。


 いくら相手が喧嘩腰でも、煽る様な事は駄目だって。


 「ハイハイ気を付けるわ、それより私の言ってた事わかった? あんたの魔法の力がどれ程なのか」

 ……と、これである……全然反省の色が全く無い……。


 先が思いやられる……これでは、こんな喧嘩腰ではいつか命を……。


 僕はジェシカのあの目が忘れられなかった。

 大剣を振り落とされる瞬間のあの目……あの全てを諦めてしまった様な目が……僕は忘れられなかった。

 まるで、僕に見せつける為に、僕に何かをさせる為に、自らの命を落とそうとした様な、そんな目。

 僕は危ういと思った、ジェシカが怖くなった。


 だから……僕は決めた……ジェシカを……守るって、彼女を死なせないって。

 大事な人だから……僕にとって大事なって……、ち、違うよ? 恋とかじゃない、そうジェシカはスポンサー、(ゴールド)を出して貰った大事なスポンサーって意味だから、そうこれは仕事……仕事なんだ。


 なんだかんだ言って村は出来つつある。

 メインの家、3人が住む予定のメインの家の材木作りは終わり、後は組むだけ。

 近くの沢から水を引き、リン君のお店、宿屋と……まだまだ先は長いけど。


「ほらボケっとしてないで、リン! とりあえず今日は休みなさい」


「あ、はい……」


「あ、えっとリン君……」


「あ、大丈夫です! さっきジェシカ様に聞きました。ヨーク様の魔法は他言しません! って言うか……良くわかっていないんですけど」

 そう言ってあはははと笑う……魔法、特に隠している魔法に関して詳しく聞かないのが礼儀……ある程度はわかっているのだろう……。

 

「うん……ありがとう」

 そう言うとリン君は「えへへへ」と笑った。

 まるで女の子の様に可愛く笑うと、「少し休みます」と言ってテントの中に入って行った。


「話は終わった? じゃあ次は応用よ、バカの一つ覚えで浮かべるだけだと行き詰まるわよ」


「いや、家作りさせてよ」


「家の基礎、土台作りに応用出来るわよ?」


「土台?」


「そう杭を埋め込む、石を埋める、圧力をかけ石を割る、全部あんたの魔法で出来るじゃない」


「応用って……今度は圧力でもかけろって事?」

 今までは0重力、つまり無重力状態、無重量状態を作り出していた。

 でもジェシカは逆をしろ、プラス重力過重量状態にしろって言っている。


「それだけじゃない、あんたの魔法はとんでもなく応用が効く、頭を使えば何だって出来るわ……」


「な、何だって?」


「そう、何だって出来る、この世の、この世界の法則だって変えられる……ううん……この世を終わらす事さえ……」


「この世を……」

 ジェシカはそう言い僕を見つめている。思い詰めた様な顔で……僕をじっと見つめ続けていた。

 




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 真面目に感想すると、この小説はジェシカという師により主人公の開花を描いたものだと解釈しています。 道具屋のリンは大きな伏線で、主人公にこれから関わって来るのではないかと思います。 [一言…
[良い点] 取り柄のないと思ってる主人公が助言で力の使い方を学ぶことで成長しようとしているのをどう描くか楽しみ。 [気になる点] ジェシカが復讐劇に流れてしまったのが勿体ない、 普通に続けてたら良かっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ