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生け贄


「ふふふ……あははは……」

 凄い……やっぱりこの子は凄い……。

 ついこの間まで荷物を、自重を軽くするだけの魔法だったのに、たった数日でここまで……。

 自分の何倍もある岩を難なく持ち上げ、思った場所に移動する。

 簡単に見えてこれ程困難な事は無い。


 私でも無理、魔法学校で、重力魔法は足止め程度、相手を転ばせる程度しか出来ないと習った。

 重力魔法の詠唱には、自然界、この世の力を変化させる文言を入れなければならない。

 この世の法則を変えるとは、この国の地を……いいえ、世界の地を変化させるという事……。

 重力、物が地面に落ちるという現象はこの世界、この世の全体の力。


 空気を燃やし炎を繰り出したり、水を凍らせたり、その場の自然現象を変化させるのとはわけが違う。

 

 一瞬でも使えたなら、魔法学校ではトップに立てる。いいえ、この国のトップにさえなれる。

 地属性、最強レベルの魔法……それも彼は詠唱無しで……。

 信じられなかった……でも間違いない……彼は重力を完璧に操っている。


 そして半分冗談で、出来るもんならやってみなさいとばかりに、複数展開をさせてみたら……あははは、あっという間に5個展開した。


 それぞれ違う性質、重さ、大きさ、形の物。

 それを苦もなく持ち上げてみせた。

 

 これがどういう事かわかる? 5人を一瞬で行動不能に追い込めるのよ?

 

 ああ、また一個増えた、凄い凄い……なんて力なの?!


 そろそろ生け贄が欲しい……この間の魔物は惜しかった……せめて成獣だったら……。


 でも、新しい村人が出来た……しかもあの子は……あの道具商は……。


 彼は守らなければならない、私とあの子を……。


 大丈夫、ここは危険な土地、魔物も不良パーティーもいつかは訪れる。

 その為に、ここの権利を買ったのだから。


 村造りなんて興味は無い。

 ここはあの子を鍛える場所、あの子の力を覚醒させる場所。


 ふふふ……ここから始める……ここから始めるのよ、私の復讐劇を……あの子を使って私を裏切った家族、家、学校、この国、この世の人々を、魔法を魔法界を滅茶苦茶にしてやる。


 それが私の目標、それが私の生き甲斐……もう私にはあの子しかいない。

 私が生きる為には、あの子が必要……。


 どんな手を使ってでも……この重力魔法を、あの子を、ヨーク・グラビィティを私の物にする。

 

 私は一度死んでいる……だから惜しむ物は何も無い。


 この身体さえも……。


  



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