また一人になってしまった……。
自称恋愛妹作家です。
本格的な異世界はほぼ初……。
暖かい目で見守ってください(ノД`)・゜・。
「やっぱりか……」
朝、目が覚めると、森の中の小さなキャンプ地で僕は一人になっていた。
僕は割れるような頭痛をこらえテントから顔を出して辺りを見回しそう確認する。
森の中にある小さなスペース、テントが5つ程建てられるこの場所に、昨晩は確かに3つのテントが存在していた。
しかし、今ここにあるのはテントが一つと燻った焚き火の跡のみ。
昨日はこの焚き火の周りで仲間が……仲間と思っていた人達が僕を祝ってくれた。
そう……昨日は僕の誕生日だった……仲間達は今までしてくれた事の無い位に僕の誕生日を盛大に祝ってくれた。
「でもさ……なんか……気持ち悪いと思ったんだよねえ……」
豪勢な料理を振る舞われ、お酒をたらふく飲まされ、久しぶりに一人でテントに寝かせて貰った。
でもそれは全てこういう事だった……僕はパーティーから……追放されたのだ。
僕の職業はポーター、まあ要するに運び屋、荷物持ち……魔物が現れても戦闘には殆ど加わらず、加わった所で足手まといになるだけの職種。
要するに、パーティーの下働き、見習い、正確に言うと……まあ下僕っていう認識で間違い無い。
そんな下僕……下働きに豪勢な料理、ましてやお酒を振る舞うなんておかしいとは思ったけど、勿論立場的に断るなんて事は出来ない僕は、言われるがまま食べさせられ、飲まされ……そして今に至っていた。
「まあ……テントと僕の荷物だけは置いて行ってくれただけ……ありがたい……って思おう……」
身ぐるみ剥がされるのは非戦闘員の僕にとって死を意味する。
追放されたとはいえ、それぐらいの考慮はしてくれたのか?
「まあ……持てないってのが本当の理由なんだろうけどね」
追放されたのに、まだ未練があるのか、元仲間を庇ってしまう自分の弱さに僕は頭が痛い……痛い……いや、これは本当に痛いんだった……。
まだ酔っているのか? 相変わらず頭痛は治らない。更には身体がフラフラする……全身がおぼつかない……ううう、もう少し寝ていたい……でも早くここを出ないと……。
森の中で夜になってしまったら……。
夜になれば魔物が活発化する……強い魔物が数多く出現する。
戦闘力の無い僕が一人で深夜の森にいるのは自殺行為だ。
僕は頭痛と吐き気と身体のだるさの中、急ぎテントを畳み出発の準備をする。
そして7つ道具の入った大きなバックパックから、地図を取り出した。
「確かこっちの方から来たよな……」
木の陰から見栄隠れしている日差しを見て時間を確認。
木の形から方向を確認する。
この森の木々は日が昇る方向に少しだけ歪んでいるので方角を失う事はない。
しかし森自体が広大な為に、昼前には出発しないと間に合わない。
僕は急ぎテントを片すと全ての荷物をバックパックに積めた。
バックパックは特製品……自分の身体よりも大きく大人2人程の重さになるが、僕は難なくこれを背負った。
「さあ……行くか」
また一人になってしまった……でも一人には慣れっこだ。
今まで僕はずっと一人だったから……また元に戻っただけだから……。