74_真里姉とある親子との巡り合い
【すいません、今日はちょっと色々ありすぎて前書き長めです。予めご承知おき下さい】
いつもお読み頂いる皆様、そして新たにお読み頂いた皆様に、ご報告です。
皆様のおかげで、この度、この物語はなろう様におけるSF部門(VR)において、
日間1位、そして週間でも2位という結果を得ることができました。
累計アクセスも45万PV超え、総合評価現在5357、これがほんの数日で一度に……。
あまりの事に、こうしてご報告の文章をタイピングする指先が震えている私です。
本当に、ありがとうございます。
そしてお読み頂いた皆様の中でも、特に、私が初めてこの物語をなろう様に登録した2020年1月25日から、
爆発的にPVが増えた2020年4月4日まで、ランキングにも載っていない頃からのんびりとお付き合き頂き、
応援してくれた皆様には、やはり特別な感謝の気持ちがあります。
私は、皆様が読んでくれたおかげで、ここまで書き続ける事が出来たと断言できます。
皆様が、この物語はここまで育ててくれたのです。
心から、心からの感謝を捧げさせて頂きます。
ありがとうございました。
そして2020年4月4日以降、この物語を知って頂き、お読み頂いた皆様。
皆様のおかげで、この物語はさらに大きく、飛躍する事ができました。
その結果が、順位という形で明確に表れています。
数多くある素晴らしい作品の中からこの物語を選んで頂いた事、
そして評価、ブクマ、感想頂けた事……その全てが、この飛躍に繋がっています。
本当に、ありがとうございます。
順位やポイントは、移ろうものです。
ですが、こんなにも応援頂いた事を、私は決して忘れません。
その想いで、私はこれからもこの物語を描いていけます。
最後に改めて、お読み頂いた皆様に私からの言葉を贈らせて下さい。
ありがとうございます。
本当に、ありがとうございます。
2020年4月9日 風雲 空
カスレが完売し、お客さんも帰ってようやく落ち着いたホームの中。
私はカウンターに突っ伏し、ルレットさんとカンナさんは長椅子の上にもたれかかり、マレウスさんは支払われた金色に輝く硬貨のGの山に、『都民どんだけ金持ってるんだ』とぶつぶつ呟いてた。
マレウスさん、その一部にはグレアムさん達の分も混ざっていますからね?
彼等が『お布施も兼ねて』という不穏な言葉を呟き、都民の方の数倍は払っていたのを、私は見逃していませんよ?
あの人達、それだけのお金を一体どこで稼いでいるのだろう……。
何かとても悍しい光景が浮かびそうになったので、私はそれ以上考えるのを止めた。
不本意ながら食事処として認知されてしまった以上、どうするか考えないといけないしね。
凄いな、いつの間にか頭の切り替えが早くなっている。
着実に成長しているよ、私!
それは成長ではなく、達観だって?
ふふふ、何を言っているのか分からないなあ。
手分けして食器を片付け、離れに戻る3人を見送った私は、一人また市場へと向かっていた。
ゆっくりと、都街の薄い緑の石畳を歩きながら考えるのは、食事処の扱いについて。
現実での時間の経過に対し、Mebiusの世界では4倍の早さで時間が流れる。
だから私達4人だけで毎日店を開ける事は、ほぼ不可能なんだよね。
それに毎日開けた場合、その分の料理は私が作らないといけない訳で、そうなるとは私は何のためにMebiusの世界へ来ているのか、分からなくなってしまう。
あれ? でもここ数日、既に料理ばっかりしていたような……。
うん、切り替え切り替え!!
ホームには、クラン共有のアイテムボックスがあって、私が許可した人は自由に使えるようになっている。
収納できる容量も多いから、予め料理を大量に作っておき、保管する事は出来るはず。
手の空いた人が店を開け、それをお客さんに提供する形は取れそうだけれど、生産に没頭している3人の事を想うと、あまり負担はかけたくない。
シモンさんの暴走があったとはいえ、私の料理が事の発端になったのは、間違いないのだし。
「ほんと、どうしようかな……」
私の料理を美味しいと言ってくれる人があんなにもいるだけに、全く料理を提供しないというのも心苦しい。
私が料理を作るのはある程度仕方ないとして、代わりに接客してくれる人がどうしても必要になる。
でも、そんな人の心当たりがないんだよね。
一瞬グレアムさん達を頼ろうかとも考えたけれど、接客どころか店を閉めて料理を買い占める姿が容易に想像出来たので、光の速さで却下した。
悩んで頭の中がぐるぐるしていると、正面からこちらに向かって駆けてくる子供の姿が見えた。
ヴァンより少し年上くらいで、けれど都街で住んでいる事が一目で分かる程、上質な服を着ている。
何か急ぎのお使いでも頼まれたのかな? と思っていると、
「マリア!!」
その子が突然、私の名前を呼んだ。
えっ、なんで私の名前を知っているの?
咄嗟に周囲に目を走らせ、彼等の姿が無いか確認した私は、だいぶ毒されてしまったのかもしれない。
いや、やらかされたこれ迄の実績を踏まえると、仕方ないよね?
私の前で止まったその子は、息を切らせたまま、途切れ途切れに話しかけてきた。
「はあ、はあっ……やっと、会えた……はあっ、お礼……ポーションに、食べ物……」
やっと会えた?
それって、私を探していたって事だよね?
でも私、こんなちゃんとした服を着た子に知り合いは……。
ん? ポーションに食べ物??
その二つが揃う子といえば……。
「ひょっとして、ライル?」
そう言うと、勢い良く首を上下に振った。
こらこら、呼吸が整っていないのだから無茶しない。
私は近くで売っていた果実水を買ってきてライルに渡すと、大きなコップに並々と注がれていたそれを、ライルは一息で飲み干した。
「ぷはあっ、ありがと」
「どういたしまして。それより、どうしてライルがここに? その感じだと、ここに住んでいるようだけれど」
「あの街に住んでいた俺達を、王様が受け入れてくれたんだ!」
そっか、王様は約束を守ってくれていたんだね。
今は亡き街に住んでいた人達の、助けになる何か。
それを、ちゃんと考えてくれた。
目の前にいるライルを見れば、それが良く分かる。
着ている服だけじゃないんだ。
以前は私達冒険者への憎しみから険のある顔をしていたけれど、自慢気に王様の事を話す今のライルは、別人のように明るい表情を見せていた。
出会ったのは偶然だし、話した時間も長くはない。
それでも、私と関わった子がこうして前より幸せそうな様子を見ると、私が辱めを受け入れた甲斐があるというものだね。
そういえば砂羽さんの件で、辱め倍になるんだっけ…………よし、切り替え、切り替えったら切り替え!!!
「ライル、急に走ってどうしたの?」
私の頭の中で今日、何度目かの切り替え作業が行われていると、長めの髪を右側に寄せて三つ編みにした、二十後半くらいの女性がライルの側に駆け寄ってきた。
「母さん! こいつがポーションと食事をくれたマリアだよ!!」
「まあ、貴女がマリアさん? でもライル、女性にこいつなんて言ってはダメよ?」
『ダメよ?』という口調は、可愛らしく『めっ!』とでも言いそうな感じなのだけれど、その右手の拳は容赦無くライルの脳天に叩き付けられていた。
「痛づぅっ」
おお、なんという迅速な躾。
けれどその鈍く重い音は、躾の範囲をちょっと超えているんじゃないかな?
頭を押さえ蹲るライルに若干同情の籠もった目を向けていると、ライルのお母さん? が私に深々と頭を下げてきた。
「ライルの母、レイティアといいます。見ず知らずの私達のために、貴重なポーションや美味しい料理、ありがとうございました。マリアさんのお陰で、顔を怪我し泣いてばかりいた私は、家から出てまた働けるようになりました。本当に、なんとお礼を言ったらいいか」
「頭を上げて下さい。元はといえば、私達冒険者が原因ですし、それにお礼ならレイティアさんのために行動を起こした、ライルに言ってあげて下さい。行動の仕方はともかく、ライルがいなければポーションも料理も、レイティアさんに届く事は無かったのですから」
「マリアさん……噂通りの、素敵な女の子なんですね」
ちょっと待って、噂通りってどういう事かな?
いったい誰が、どんな噂を流しているのか、私とっても気になるなあ。
何気ない素振りから、バッと後ろを振る。
…………普通に行き交う人ばかりで、彼等を含め怪しい人はいないのだけれど、何だろう、何か引っ掛かる。
「ところで、マリアさんはどちらに行かれるのですか?」
レイティアさんの声が、疑念の渦に呑み込まれそうになっていた私の意識を引っ張り上げてくれた。
「料理の食材を買いに、市場に行こうと思っていたんです。色々あって、食事処を開くことになってしまったので。あっ、でも接客の人手が足りなくて、食事処として開けるかは分からないんですけれどね」
「そうだったんですか……あの、でしたら私にお手伝いさせてくれませんか?」
「レイティアさんに?」
「私は以前、酒場で給仕をしていました。接客なら、問題無く出来ると思います」
「俺も手伝うぞ!」
「レイティアさん、ライルまで……」
確かに経験者にお願い出来るなら、願っても無い話だ。
それにライルが慕うレイティアさんなら、信頼出来ると思う。
私としては頼みたいけれど、3人にも相談しないとね。
クラン向けのチャットで3人に相談してみると、間髪を入れずに『任せる』という言葉が返ってきた。
早すぎる返事に、それが丸投げを意味している事は明らか。
忙しいのは分かるけれど、そういう反応するんだ。
ふーん。
3人共、次の食事は楽しみにしていて下さいね?
「ありがとうございます。仲間からの許可も出ましたので、良ければお願いできますか? 勿論、お給料は出しますので」
レイティアさんは貰えないと断ってきたけれど、仕事には対価は必要だし、対価があることで、やる気や責任感の向上にも繋がるからね。
それに王様が、亡き街に住んでいた人達の生活をいつまで補助してくれるかは、分からないはずだ。
鉱脈が掘り尽くされれば、その時点で神託の効果は消えたものとされ、補助が打ち切られないとも限らない。
蓄えは、多いに越した事はない。
現実で真希の負んぶに抱っこな私が言うと、説得力0なんだけれどね。
そして短くない遣り取りの末、レイティアさんとライルは、給料を受け取る事を渋々納得してくれた。
よしよし、ちゃんと食事処を経営するなら、ホワイトな職場にしたいからね。
その後はレイティアさんとライルの勧めもあって、市場での買い物を手伝って貰う事になった。
私はそこで、レイティアさんの隠れた一面を目の当たりにし、戦慄する事になるのだった……。
前書きに想いの丈を書かせて頂きましたので、こちらはいつも通りに。
今話をお読み頂いた皆様、どうもありがとうございます。
ようやく、イベント前に起きたある出会いについて、そのフラグを回収する事ができました。
ここまで随分とかかってしまいましたが、王様とのやりとりから、
登場を予期された方もいらっしゃったのではないでしょうか?
この物語、フラグは立ちますがあまり隠しません。
そういう意外性や驚きよりも、フラグに直面したマリアの反応とやりとりこそ、
楽しんで頂けているのではないかあと、そう思うのです。
次話も、比較的ほっこり目です。
マリアにとってどうかは……(遠い目)
今回、新たに4人の方から温かいご感想を、103人(驚き過ぎて言葉が出ない……)の方から有り難い評価を頂き、636人(事の大きさに脳の処理が追いつかない……)の方から嬉しくもお気に入りに登録頂けました。
またルビ謝りの誤字報告も1件頂けました。それに伴い他にも1話ルビ誤りがあったので、修正しています。
言わずもがなですが、1話更新の合間に頂いた評価と、お気に入りに登録頂けた人数、どちらも過去最高です。
ゆるりとした展開ではありますが、皆様に飛躍させて頂い感謝を胸に、これからも3章を描いていこうと思います。
よろしければブクマ、感想、レビューお待ちしています。
また評価につきましては、
「小説家になろう 勝手にランキング。〜 のんびりお楽しみ頂けたら幸いです。」の↑に出ている
☆をクリックして頂き、★に変えて頂けると嬉しいです!
昨今の緊急事態宣言の影響がかなり現実に色濃く出ておりますが、皆様の周りはいかがでしょうか?
不穏な情報ばかりが飛び交う中で、日常を例え一瞬でも忘れられる時間をご提供出来たなら、
こんなにも嬉しい事はありません。
また、今回はちょっとした宣伝もあります。
この物語、小説家になろう様の他に、アルファポリス様、ノベルアッププラス様にも投稿させて頂いています。
その中で、アルファポリス様での感想板が、もはや感想板という名の枠を超えた、
もう一つの物語として展開されています。(頂いた感想と、私からの返事で既に10万字超えているんじゃ……)
よろしけば、皆様に楽しんで頂いた物語が、他の方にはどんな風に感じられたのか、
そちらもお楽しみ頂けたら幸いです。
特にキリ番500のお祝いをされている方の近辺に、昨今の情勢からとても心痛む現状を綴っていらっしゃる方がおります。同じよう、溜め込んだものを吐き出せない時、感想板はいつでも皆様をお待ちしています。
そんな時は、マリアがふっと、降りてくるはずです。
【以下アルファ様での感想板アドレス】
https://www.alphapolis.co.jp/novel/314726385/96345294/comment
いつも通りと言いつつ、やっぱり長くなってしまいましたね。
反省はしますが自重はしません。
そしてなろう様にて頂いた4件のご感想、これからお返事書かせて頂きますね。
そちらも、お楽しみに!
今後とものんびりと、どうぞお付き合いくださいませ。