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60_真里姉と平穏の家出

前話にて書かせて頂きましたが、この度累計PVが100,000を突破致しました。

総合評価が1,000を超えてから、僅か数日です。

正直なところ、書き始めた頃、ここまで皆さんに読んで頂き、評価頂けるとは思っていませんでした。

本当にありがとうございます。



「お久しぶりですマリアさん。お迎えにあがりました」


「グレアムさん? ルレットさんから迎えが来るとは聞いていましたけれど、グレアムさんだとは思っていませんでした」


 グレアムさんって、確か何かの団体の団長さんだったよね?


 そんな偉い人が、わざわざ私を迎えに来るって、どうなんだろう。


「お気になさらず。むしろ全員希望したためバトルロ……平和的に話し合って私が勝……選ばれたのですから」


 なんで私の考えている事が分かったんだろう。


 というか、言葉の中にちょこちょこと不穏(ふおん)な単語が混ざっているよね?


 気にしない方が幸せでいられそうだから、ツッコまないけれどさ……。


「では参りましょう。ルレットさん達、御三方(おさんかた)がお待ちです。道中の安全は()()にお任せを」


「え、我々?」

 

 私の疑問には答えず、グレアムさんが私の少し前を歩き始める。


 それ以上問いかけるタイミングを(いっ)してしまい、私は釈然(しゃくぜん)としないものを抱えながら、その後を追った。



 待ち合わせのお店は、街の中央にある冒険者ギルドから北に進み、少し奥まった所にある。


 教会から向かうには大通りを通って向かう方が早く、いつもならそれほど時間はかからないのだけれど、私の、というより、私達の歩みは遅かった。


 それはなぜかというと……。


「マリアちゃん! 久しぶりじゃないか。街を救ってくれてありがとうよ。()れたての野菜だ、持ってきな(ササッ)」


(つぶ)したてのウサギ肉、良かったら教会の子供達と一緒に食ってくれ(ササッ)」


「美味しいリンゴが入ったんだよ。これ食べて、また顔を見せておくれ。いいんだよお代なんて(サササッ)」


 声を掛けてくれるのは、私が食材を買うためにお世話になっていた住人の方達だった。


 イベントクリアの影響なのか、露店で売っている物を、私が心配になるくらい大量にくれる。


 ジャーキーは食べ切ってしまっていたから、また料理をしなくちゃと思っていた私には、とても嬉しいのだけれどね?


「(ササッ ササッ ササササッ)」


 ……さっきからグレアムさんの様子がおかしい。

 

 ごめん、正確にはグレアムさんと、私に声を掛けてくれた住人の方達の様子もおかしい。


 お店の物をくれたり、挨拶してくれた後、決まって指先で何か規則性のある動きを見せるのだ。


 そしてそれを見たグレアムさんが同じように指先を動かしたかと思うと、しばらく歩いて、立ち止まる。


 するとそこに住人の方がやって来て、私ににこやかに話しかけてくる。


 にこやかなんだけれど、挨拶が終わった後はやはり、指先だけがまるで機械にでもなったかのように素早く動く。


 それに対し、即座に同じような反応を見せるグレアムさん。


 それがもう、幾度(いくど)となく繰り返されている。


 さすがにツッコまずにはいられないんだけれど?


 指先の動きが手旗(てばた)信号のような意味を持っているのは、分かる。


 けれど、どうしてそれをグレアムさんが住人の方達とやっているの?


 え、まさか()()ってそういう事!?


「じゃあ今度バネッサの店でなんか(おご)らしてくれや!」


 何度目かの()り取りで、バネッサさんのお店の常連さんが私に挨拶してくれた、その別れ際。


『マルヒ ニンドウ ナナマイ』


『カクホ シキテン ケイゾク』


 ぼそっとグレアムさんに耳打ちし、グレアムさんもぼそっと返した。


 いやいや、隠す気ないでしょう?


 それにね? さすがにマルヒとかカクホくらい分かるからね?


 っていうかその言葉教えたの、絶対にグレアムさんでしょう!?


 何しているんですか!?


「マルタ……ごほん、マリアさんの安全は確保されています。さあ、安心して進みましょう」 


 何かを言い直したグレアムさんが、良い笑顔を私に向けてくる。


「……そうですか」


 なんだろう、安全っぽいのは分かるけれど、とてもとても、安心出来ないのは……。


 結局目的のお店に着いたのは、いつもの7倍は時間をかけた後の事。


 安全に着く事ができたし、(から)に近かった私のアイテムボックスは、頂いた物でほとんど埋まっている。


 これも(ひとえ)に、私を気に掛けてくれるみんなのおかげ。


 ありがたいと、そう思う。


 ……本当だよ?


 …………ただ、ただね?


 私の望んでいる日常は、こういうのじゃないっ!!


 私は声に出せない叫びをぐっと(こら)え、私の知らない間に家出した平穏が帰って来る事を願ったけれど、その願いが叶う事は無かった……。



いつもお読み頂いている皆様、どうもありがとうございます。

ようやくタイトル通り、のんびりな展開が戻ってきたかなと思います。

もっとも、マリアにとっては穏やかではない日常が決定付けられた回になったようですが……。


ちなみに隠語会話の内容は以下の通りです。

『マルヒ ニンドウ ナナマイ《被疑者(マリアを狙う怪しい人物)を7人、任意同行したぜ》』

『カクホ シキテン ケイゾク《確保だ! そして見張りを継続されたし》』


今回、新たに7人の方から素晴らしい評価を頂き、23人の方からお気に入りに登録頂けました。

本当に、どうもありがとうございます。

物凄くモチベにつながっています。


前書きにも書きましたが総合評価が1,000を超え、累計PVが100,000を超えました。

改めて、これも偏に皆様のおかげです。

本当に、どうもありがとうございました。


もしよろしければ、感想、レビュー、ブクマ、評価お待ちしております。

ご支援頂けると、これからも続けていく活力になります。


引き続きのんびりと、どうぞお付き合いくださいませ。




*** 大台突破記念のマリアの挿絵のおまけです。不要な方はスルーでお願いします ***


挿絵(By みてみん)


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― 新着の感想 ―
[一言] 悪巧みした人達の不幸 護衛人員ほぼ街一つ分 ……………なんであれ成功しどころ無いよね
[一言] ( ̄□ ̄;)!!警察? 残業夜中の一時は警察?
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