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59_真里姉と穏やかにならない日常

これまでの皆様のおかげで、総合評価が1,000を超えました。

本当にありがとうございます。


 ここ数日は毎日のようにログインしていたせいか、2〜3日ログインしなかっただけで、Mebiusの世界はずいぶんと久しぶりに感じられた。


 でも考えてみたら、Mebiusの世界では1週間以上経過しているのだから、あながち間違いでもないか。


「さて、まずはステータスの確認でも……ん?」


 私がステータス画面を開こうとすると、フレンドリストの下に、メールを表す小さなアイコンが点滅していた。


「なんだろうこれ、ってうわ!?」


 アイコンをタップすると、リスト上に大量の通知が表示されていた。


 通知の送り主の名前には、ほとんど心当たりがない。


「迷惑メールみたいなもの、じゃなさそうだなあ……」


 名前の隣、どうも本文の冒頭(ぼうとう)部分が表示されているようなんだけれど、以下こんな感じ。


『イベント凄かったです。お疲れさ』

『フレになってください!とっても』

『乗り物の取得方法について情報を』

『ジャーキー売って。お金なら相談』

『可愛いよマリアちゃん!ぜひ僕と』

『マリアたん……ハアハア、マリアた』


 ……私はそっとリストを閉じた。


 窓の外を見れば、綺麗な青空が広がっている。


 ふぅ……今日は良い天気だね。


 取り()えず、今のは見なかったことにして私はルレットさんに個人チャットを送ってみた。


 すぐにルレットさんが出てくれて、私がログインしないことを心配していたと告げられた。


『ちょっと体調を崩してしまって、控えていたんです。心配かけてすいません』


『気にしないでいいですよぉ。それよりぃ、体調はもう大丈夫なんですかぁ?』


『はい、おかげさまで。ただ数日ぶりにログインしたら、見知らぬ人から大量の通知がきていて……』


『あ〜、やっぱりそうなりましたかぁ。マリアさんの時間が合えばぁ、よければ今から会えませんかぁ?』


 やっぱりってなんだろう?


 まあ、会って話を聞けばいいかな。


『分かりました。どこに向かえばいいんですか?』


『場所はマレウスやカンナと初めて会ったあの店ですよぉ。マリアさんはまだ教会ですよねぇ? 今から迎えに行きますからぁ、()()()1人で出歩かないでくださいねぇ?』


『え? 迎えって』

 

『それでは後ほどぉ』


 それきりルレットさんとのチャットは切れてしまった。


「迎えとか、出歩くなとか……一体何が起こっているんだろう」


 不安に駆られながら部屋を出て1階に降りると、子供達と一緒にお祈りをしているエステルさんが目に入った。


 その穏やかな光景はイベント前と何も変わらなくて、私は正直ほっとした。


 プロモーションに起用とか、さっきの通知とか、出歩くなとか、これ以上の変化はもうお腹いっぱいです。


 静かにお祈りが終わるのを待っていると、やがてエステルさんが顔を上げ、そして目が合った。


「お久しぶりです、エステルさん。みんな元気でしたか?」 


「マリアさん!」


「マリア!」


「「「マリア(ねえちゃん)(おねえちゃん)!!!」」」


 駆け寄ってきたのはエステルさん、ヴァン、そして子供達、って教会にいる全員!?


 そんな全員で来たら支えきれないよ!


 案の定、私のSTRで支えられたのは数秒も無く、みんなで折り重なるように床に倒れ込んでしまった。


「ぐっ、重い……」


 1番下で私が呻くと、


「そんな! 私は重い女なのですか!?」


 吐息がかかる程の距離で、エステルさんが泣きそうな顔をしてそんなことを言う。


 体重のことだよね? 体重なら年齢的にみて重くは無いと思うけれど、何か違う意味を含ませてないよね、そうだよね?


「「「「おもいおんな、おもいおんな!!!」」」


 こら子供達、どうしてその言葉だけ繰り返す。 


 ほら、言われる度にエステルさんの表情がずーんと沈んでいっているじゃない。


 おかしい、さっきまでの穏やか光景はどこに行ったんだろう。


「ああ、もう……ネロ! クーガー!」


 収拾(しゅうしゅう)がつかないので、私は2人を()んでみんなをどかしてもらった。


 子供達はわーわーきゃーきゃー言っていたけれど、ネロとクーガーが現れたのを知ると、あっという間に私への興味を失ったようだった。


 ……重かったのから解放されたし、いいんだけれどね?


「重い女、私が重い、女……」


 まだ解放されていない人が1人いたか……。


 私はその後、迎えの人が来るまでエステルさんに『そんなことない』『大丈夫』という言葉を延々(えんえん)と言うはめになった。


 昔接客のバイトをしていた頃に見た、失恋した女性を(なぐさ)める軽そうな男性のことが脳裏(のうり)に浮かんだ気がしたけれど、きっと気のせいに違いない。

 

 そして迎えに来てくれた人を見た時、なぜか分からないけれど、私は嫌な予感がした。


 何か、とても疲れる何かが、起こる気がする。


 そしてそれが間違いではなかったことを、私はすぐ後に知ることになる。


 迎えに来てくれた人物。


 それはイベントで一緒に戦ってくれた、グレアムさんだった。



いつもお読み頂いている皆様、どうもありがとうございます。

新章2話目となりましたが、すいません、ゆるやかといいますか、

タイトルからして穏やかにはなりませんでした。

次もマリアにとっては、穏やかではない日常が繰り広げられる事になります。


今回、新たに1人の方からご感想を、3人の方から素晴らしい評価を頂き、11人の方からお気に入りに登録頂けました。

どうもありがとうございます。

本当に、励まされています。


そのおかげといいますか、前書きにも書きましたが総合評価が1,000を超え、

累計PVも近いうちに10万に届きそうです。

届いた際、改めて前書きにてお礼を述べさせて頂こうと思っています。



もしよろしければ、感想、レビュー、ブクマ、評価お待ちしております。

ご支援頂けると、これからも続けていく活力になります。


引き続きのんびりと、どうぞお付き合いくださいませ。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 読み返して話の流れを思い返してみたらグレアムさん嫌な予感の集大成とかトドメみたくなってる……………… [一言] 表示されてるメールが最後の方ヤバい(主人公に興奮する変態が居るのは物語あ…
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