表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/210

20_真里姉とクラスチェンジの条件


 生産連盟3人との話し合いが終わったのは、話し始めてから3時間も過ぎた後だった。


 みんな満足げな表情でいながら、これからの事を考えて童心(どうしん)に帰ったかのように目をキラキラさせていた。


 かく言う私も、年甲斐(としがい)もなくだいぶはしゃいでしまった自覚がある。


 だってもしあれが出来たら、夢にも思っていなかったことが実現されてしまうのだから。


 新しい装備は、素材の在庫があるらしく、1日で仕上げるとルレットさんが言ってくれた。


 オーダーメイド扱いを、1日でできるってかなり凄いことなんじゃないかな……。


 別れ際に私が持っていた半分のハンバーグを渡しておいたけれど、今度はルレットさんの好きなものを聞いて作って持って行こう。


 ちなみにそのやりとりをじっとマレウスさんが見ていたけれど、ルレットさんは自慢するように1度私に外に出させてからアイテムボックスに仕舞(しま)い込み、マレウスさんを激昂(げっこう)させていた。


 欲しいならそう言ってくれればいいのに、素直ではないらしい。


 そういうところ、弟の真人に似ているところがあるかもしれないな。



 別れた後、私はカンナさんから教えてもらったスキルを覚えに行くことにした。


 ほとんどがエデンの住人の方に教えてもらうもので、お願いしたらみんな(こころよ)く教えてくれた。


 おかげで私はいくつかのスキルを覚えることができたけれど、カンナさんが死にスキルといっていたものだけは簡単にはいきそうになかった。


 覚えるまでにどれだけ失敗を重ね、どれだけ時間がかかるんだろう……気が遠くなる。


 気を取り直して取得したスキルの確認でもしよう。


 

(スキル:スキルポイント+36→20)

 【操糸】Lv12

 【傀儡】Lv5

 【クラウン】Lv7


 【捕縛】Lv4

 【料理】Lv6

 【下拵え】Lv1

 【促進】Lv1

 【暗視】Lv1

 【瞑想】Lv1

 【視覚強化】Lv1

 【聴覚強化】Lv1



 これまでの共通スキルは取得に必要なポイントは2だったけれど、強化のスキルだけは4必要だった。


 まあ、明らかに有用そうだしね。


 カレンさんからも勧められたし、ポイントも溜まっていたので取得した。


 各スキルの説明はこんな感じ。



下拵(したごしら)え】

  【料理】における下拵えを簡略化できる。下拵えでできる内容はスキルレベルに依存する。



促進(そくしん)

  生産対象における時間の経過を早めることができる。スキルレベルが上がることで消費するMPが減少する。



暗視(あんし)

  暗闇の中でも物を見ることができる。鮮明さはスキルレベルに依存する。



瞑想(めいそう)

  待機状態におけるMP回復速度を向上させる。回復する速度はスキルレベルに依存する。



【視覚強化】

  遠くのものが良く見えるようになり、近くのものはより鮮明に見ることができる。見える距離と精度はスキルレベルに依存する。



【聴覚強化】

  音が良く聴こえるようになる。聴こえる距離と精度はスキルレベルに依存する。



「【下拵え】と【促進】があれば料理が捗るし、【暗視】はブラックウルフと戦った時に苦労したからね。【瞑想】は本人が動かなければ大丈夫みたいだから、【操糸(そうし)】を使える私には相性がいい。【視覚強化】と【聴覚強化】は、あれば役に立つでしょう」


 満足してスキル画面を閉じると、私は”試しの森”の奥へとレベル上げに向かった。


 午前10時にログインしたのに、あれから色々あってもう夜の8時になろうとしている。


 夜の森は相変わらず真っ暗だけれど、【暗視】のおかげで鮮明とは言わないまでも、困らない程度には見えるので助かるね。


 途中襲ってきたブラックウルフは、前回十分相手をしたので必要最低限だけ倒し、どんどん先に進む。


 フォレストディアに遭遇(そうぐう)した辺りにくると、強化された聴覚のおかげか、頭上でカサカサっと風もないのに木の葉が(かす)かな音を立てているのに気がついた。


 立ち止まり、ネロも警戒した様子で上を見れば、わらわらと蜘蛛が降りてくる。


「ナイトスパイダー……ジャイアントスパイダーの元かな?」


 見た目はジャイアントスパイダーをそのまま小型化し、色を黒っぽくしたような感じだ。


 ジャイアントスパイダーが糸を吐いてきたから、その警戒は必要だね。


 1対1ならまだしも、最初から1対多、いや2対多だから慎重にいかないと。


 私の中では定石の糸の結界を張っていると、予想通りナイトスパイダーが糸を吐き出す。


 けれど予想通りだったのはそこまでだった。


「糸を……振り回している?」


 吐き出した糸の先端で石を包むと、前足で器用に振り回し始めたのだ。


 その回転速度はどんどん上がっていき、不穏(ふおん)な音が鳴り始める。


 これってまずいやつかも。


 糸を手放しすぐさま木の後ろに回ると、一瞬遅れてガツンッと硬い音が生じた。


 顔を半分だけ出して窺うと、そこには全てのナイトスパイダーが投石可能な状態で待機していた。


「ちょっ!」


 次々放たれる石の雨。


 ああもう! 点の攻撃に糸の防御は弱いんだよ!


 今はまだ木が()っているけれど、いつまで保つかは分からない。


 以前ブラッディボアが木を圧し折ったのを見ているからね、絶対じゃないと思うんだ。


 それに回り込まれて同じように攻撃されたら成す(すべ)がない。

 

 私は3本の糸を伸ばし、1本毎に【クラウン】を時間差で発動していった。


 全部とはいかないけれど、3本目が発動した頃にはほとんどの注意を引きつけることができ、投石を空撃(からう)ちさせていた。

 

 ここまで状況が整えば、あとは簡単だ。


「ネロ!」


「!」


 伸ばした糸とは反対側からネロが飛び出すと、投石の準備が整っていないナイトスパイダーに接近し、次々と猫パンチを見舞(みま)っていく。


 【傀儡(くぐつ)】のスキルレベルと私のDEXが上がったせいか、ネロの動きは一段と速くなっている気がする。


 異変に気が付いたナイトスパイダーが散発的に投石を行うけれど、余裕で躱し、そのできた隙に猫パンチを叩き込む。


 暗闇の中で光り出したネロの手が、その光を収めるまで5分とかからなかった。


「ご苦労様、ネロ」


「!」


 勝鬨(かちどき)を挙げるかのように、空に向かって大きく口をあけた仕草が可愛いね。

 

 でもそれって、どっちかというと犬科の行動じゃないかな?


 可愛いからいいけれど。


 その後もネロと一緒にナイトスパイダーを倒し続けること、2時間。


 途中ジョブスキルも上がり、そしてついに、待望のメッセージが。



『レベルが15になりました。クラスチェンジが可能です。クラスチェンジはエデンの街のゼーラに認められることで行えます』



 やった!


 でもクラスチェンジには、ゼーラさんに認められないといけないんだね。


 ゼーラさんって、お弟子さんがいる凄い人だよね。


 そんな人に認められるって、何をしたらいいんだろう。


 ハードルが高そうな予感に、私の上がったテンションは一転して下がっていった……。



(マリア:道化師 Lv14→Lv15)

 STR  1

 VIT   3

 AGI   5

 DEX 56→58

 INT   4

 MID 13→15



(スキル:スキルポイント+20→22)

 【操糸】Lv12→Lv13

 【傀儡】Lv5→Lv6

 【クラウン】Lv7→Lv9


 【捕縛】Lv4

 【料理】Lv6

 【下拵え】Lv1

 【促進】Lv1

 【暗視】Lv1→Lv3

 【瞑想】Lv1→Lv2

 【視覚強化】Lv1

 【聴覚強化】Lv1→Lv2



(傀儡対象)

 ネロ(猫のぬいぐるみ) 


いつもお読み頂いている方、ありがとうございます。

土曜はゆっくりお休みできているでしょうか? のんびりお楽しみ頂けたら嬉しいです。

もし仕事をされている方がいらしたら、息抜きになったら幸いです。


新しく読んで頂いた方、本当にたくさんの凄い作品がある中、読んで頂いてありがとうございます。

のんびりと物語は続いていく予定ですので、のんびりとお付き合いくださいませ。


いつものことではありますが、ブックマーク・評価、ありがとうございます。

これからもどうぞ、よろしくお願い致します。


今日は夜にもう一話、アップできる予定です。

お楽しみ頂けたら嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ