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185_真里姉と何度目かの既視感


 王都へ到着すると、王様は待ち構えていた衛兵の方達に囲まれお城へ戻って行った。


 別れ際、リベルタへ送る物資について私達への協力も要請しつつ。


 レギオスとの戦いで依頼されたこともあるし、否やはない。


 私達もホームへ戻り、カンナさんやグレアムさん達に事情を説明した。


 話を聞き唸ったのは、マレウスさん。


「現実にもこの手の問題はあるが、ゲームの中でも起こるとは」


「あら、イベントの時を思い出しても不思議じゃないでしょう? だって、()()()()の人達は生きているんだもの。カドゥケウス社の求めるコンセプト通りにね」


「感想や考察は後ですよぉ。今は手分けして準備をしなければぁ」


 王様の話によると、リベルタで反乱が起こるのは時間の問題らしく、サハルさんからはできるだけ早い支援をと求められたらしい。


 差し当たって私達が手伝えるのは、物資を用意し人手を増やすこと。


 難しいのは人の手配かな?


 私達のクランは、グレアムさん達以外と繋がりがない。


 ただそんな懸念を、マレウスさんが呆れたように切り捨てる。


「お前が冒険者ギルドで募集かけたら、一発で解決するだろう」


「なぜですか?」


 訳が分からず首を傾げていると、盛大に溜息を吐かれた。


「第二陣のプレイヤーの多くがカルディアを選んだのは、お前のPVを見たからだ。そのお前からの直々の依頼となれば、対価がなくともすっ飛んでくるはずだ」


「いやいや、そんなこと……」


 ないです、と続けようとする私の前でグレアムさん達が激しく首を縦に振っている。


 あるんだ、そんなこと……。


「金でもいいが、料理で十分だろう。お前の料理、バフがエグいことになって普通に高値で取引されているしな」


「味も最高ですしね」

 

 マレウスさんからもたらされた衝撃の事実に、グレアムさんが補足。


 そういえば、取引掲示板に載せた料理の売り上げについて、気にしたことなかったなあ。


 食堂から出る利益だけで、日課の分も十分賄えているし。


「ただ物資の手配、今回は量が多いからどうしたものかしらね」


 頬に片手を当て、悩まし気な表情のカンナさん。


「食料についてはお任せください。日頃お世話になっている市場の皆さんなら、快く(・・)協力してくれると思います」


 レイティアさんの頼もしい発言に、場が沸く。


 けれど忘れてはいけない、レイティアさん無双は快く値切らせるのとセットだということを。


 私が個人的に仕入れる分は、特急料金として多めに払おう……。


「しかしこうなるとぉ、私達のクランの弱みが出ますねぇ」


「弱み?」


 思い当たる節がなく、鸚鵡(おうむ)返しになったところへカンナさんが教えてくれた。


「ポーション類の製作ね。必要となる錬金術のスキルはワタシ達も持っているけど、上質なポーションを作るにはスキルのレベルが全く足りないわ」


「でも今回一番必要とされそうなのって、正にポーションですよね」


 そのまま使って傷を癒すのもいいし、MPポーションがあれば魔法を多く使用でき、色んな状況に対応できるはず。


「そっちはワタシがなんとかするわ。ちょっとした(つて)があるの」


 バチンッと音がしそうな勢いで、カンナさんが片目を瞑る。


 女性らしい仕草なのは間違いないけれど、甲高くも逞しい声とのギャップが、相変わらず激しい。


 ただ、おかげで不測の事態にも対応し易くなったと思う。


 その後、私達は次々と運び込まれる素材を相手に料理や製作に明け暮れた。


 ……あれ? 同じようなことを過去に何度もしたような……うっ、頭が…………。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新有り難う御座います。 真里お姉ちゃんにこの言葉を贈ろう。 つ[歴史は繰り返す] 真里「なんの慰めにもなっていませんよ!?」 そして、これがPVとなり、更に人数が増えるのでした! …
[一言] おねーちゃん、トラウマスイッチ入ったかな……??
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