167_真里姉と絶句する通知
ひたすらモンスターと戦い、過酷なレベル上げを行うこと二週間。
私達は無事……なのかは疑問だけれど、レベルの上限に達した。
感動より解放される安堵感が勝ったのは、きっと私だけではないはず。
クラスチェンジの通知は届いていたけれど、カンナさんもマレウスさんも、内容も見ずに王都へ戻ることを優先したくらいだしね。
私は一日ゆっくり休んだ後、ホームの自室で通知の内容を確認した。
『レベルが50になりました。クラスチェンジが可能です。クラスチェンジは国王が取り仕切ります』
「……」
通知を読み、思わず無言になる私。
私のクラスチェンジに、どうして王様が絡むのだろう。
しかも取り仕切るという、不穏な言葉を添えて。
何となく嫌な予感がしていると、示し合わせたかのように扉が激しくノックされた。
「マリアさん、マリアさんっ!!」
切羽詰まったような、レイティアさんの声。
前にもこんなこと、あった気がするなあ。
心の準備をしてから扉を開けると、慌てた様子のレイティアさんが立っており、その後ろには……。
「ようやく次の段階へ進む時が来たようだな、マリアよ」
腕組みして得意げな顔をしている、王様が居た。
「…………」
本日二度目の、無言。
予想はしていたけれど、部屋の前に居るとは思わなかった。
しかも王様は、予想外の言葉を放っている。
内容から、クラスチェンジのことを指しているのは明白。
ただ、なぜ私が条件を満たしたことを知っているのだろう。
疑問に思っていると、心を読んだかのように王様が教えてくれた。
「明けの頃、神託が降りお主の状況を知らせてきたのだ。余の力が必要だともな」
「神託!?」
神託とは、国の行く末に関わる大事なことを知らせるものだったはず。
それが私の事情を伝えるために使われるなんて、一体何を考えているのだろう。
私はごく普通の冒険者でしかないのに……。
えっ? 普通の解釈が間違っている??
そんな指摘は聞こえないなあ。
益体もないことを考えている間に、通知が示したように王様の仕切りによって事態は進む。
手を繋がれドナドナされた行く先は、もはや王様の別室といっても過言ではない、一階にある小部屋。
そこから絨毯の下にある隠し通路に入り、暗く細い道を歩く。
【暗視】があっても微かに先が見える程度の闇の中、けれど王様の足取りは軽い。
何度も道を曲がり、三十分は歩いただろうか。
不意に王様が足を止ると、目の前に獅子をあしらった重厚な扉が現れた。
ただそこに鍵穴は見えず、どうやって開けるのかと思っていたら、王様が獅子の口に手を入れた途端、思いがけず滑るように扉が開く。
中に足を踏み入れると、そこは暗闇に無数の光が瞬く広いドーム状の空間だった。
「これは……星空?」
「を模した場所で、古くから大星堂と呼ばれておる」
改めて見上げても、その夜空は本物と見紛うばかり。
私が感嘆のため息を漏らすと、王様は一人奥へ。
そこには王様の他に、人影が二つ。
人影はどちらも私がよく知る人物、エステルさんとゼーラさんの形をしていた。