時人
「助っ人?」
「そうだよ、助っ人の時だけでもやるって言っただろ」
そうだった、適当に流して話したのが裏目に出たかもな
「わかった、行くよ」
カバンを持って鴇の後に続いて教室を出た
鴇と一緒に体育館に移動した
「今日練習試合なんだよ。お前なら加われるだろ?」
「自分が入れよ。俺より上手いだろ?」
「はぁー?お前はどこをどう見てそんな事を言っているんだ?」
「全部」
「嘘つけ!お前の場合面倒だからに決まっているだろうが」
「そんな事をねぇよ」
「いいから、頼むよ」
「わかったよ」
鴇の頼みで臨時にバスケに参加をさせられる
「あいつなんなんだ?」
人の動きが予測出来るお陰で、その間をすり抜ける事など簡単にこなせていた。些細な変化で動きがどう動くかを予測しているお陰で
ピピィー!ホイッスルが鳴り試合終了の合図
「ふぅー、鴇俺は帰るぞ」
「おい!梓月って言ったか。本格的にバスケ入らないか?」
睨みつけている
声を掛けた部長をみる
ビクッ!!
拘縮して黙る
「部長、怖がっているだろうが」
「なんでだよ」
「部長、こいつ睨んだ訳では無いんです。ただ口下手な奴で嫌だと言えばいいのですが言わないもんだからあんな態度になるんですよ」
「そ、そうなのか」
「鴇、余計な事を言うな。俺は帰る」
その場を後にして家に向かって帰っていった
家に到着し、シャワーを浴びる
くそ!汗を掻くのはいいが臭くなるのはなんとかならないか?なんて思っていると
「お邪魔します」
鴇の声が聞こえてきた
「何しにきやがった。俺は忙しいのに」
独り言がシャワーでかき消され――
バン!
風呂のドアが開く
「おい、何しにきたんだよ」
シャワーを止め髪をかきあげた
「何で勝手に帰ったんだよ。こっちはお前の代わりにちゃんと説明をしてやったんだぞ」
「頼んで無い」
珍しく鴇が怒っていた、普段から怒る奴では無いが俺の感性と違う所で怒るのが厄介だ
「お前なぁ、いいかよく聞け。俺はお前は悪い奴では無い事を知っている。だがお前を知らない奴はそうでは無いんだぞ」
「だから?」
「そういう所がダメなんだ。もっと周りを見ろ」
「お前よりよっぽど見ていると思うが」
「はぁー?どこをどう見ても違うだろ。ちゃんと話せばわかってくれるだぞ」
「それ、面倒」
「人と関わることは面倒なんだよ」
「お前に言われるとはな」
「わかっているなら」
「俺はお前だけで充分だ、群れるのは好きじゃ無いのはお前が1番わかっているだろうが」
「はぁー少しは変わったかと思ったが」
「その辺そろそろ諦めろ。それ以外に何かあったんだろ?そうじゃなけりゃわざわざ俺のシャワーを邪魔する意味がわからねぇよ」
「お!そうだった、聞いてくれ」
「いや待て、着替える」
「着替えながら聞け」
はぁー
「なんだよ」
バスタオルで体を拭きながら話を聞く事にした。こいつは俺より頑固なところもあるから一度言い出したら聞かない――と言うよりも話が勝手に進む。そのあたりは昔からなので慣れている
「それが学校の空に女の子浮いていたんだ。お前なら信じてくれるだろ?」
!?、あいつ何考えているんだ
陽鞠の顔が脳裏をよぎる
それと鴇は一度も俺には嘘を吐いたことがない。長年の付き合いだからそこらへんは知っている
「勿論だ、お前は俺にだけは嘘をついた事がないからな」
「やっぱりお前だけだ。俺の話をまともに聞いてくれるのは」
「それより鴇とりあえず部屋で待ってくれ、すぐに行く。続きを聞くからな」
「おう」
鴇は梓月の部屋に入って待つ、しばらくすると
「悪りぃ待たせた、それでその女の子がどうした?」
ベットに座って話を聞き始めた
「それがその女の子が空中で消えたんだ」
あいつにあったら聞かないとな。余計な事を増やしてくれた
その時目の前にいきなり現れた
!?
「お前!」
「え!」
鴇が梓月の目線に気がつき後ろを振り返る
「こいつだよ、梓月!」
「わかっていた、だから部屋に来てもらったんだよ」
「そ、そうか」
陽鞠と鴇が目線を交わす
「やっぱり、貴方、、、そうだったんだ。だから貴方は私が見えたのね」
「?何を言いだすんだ陽鞠」
「梓月、本はある?」
「説明をしろ、何故現れた?」
陽鞠は考え込み中
「梓月こいつ陽鞠って言うのか?」
「そうだ、長話になるから今日泊まっけよ。そうすればゆっくりと話せるだろう?」
「お!それいいな、久しぶりにお前ん家に泊まるな」
「そうだな、家に電話しとけよ」
「そうする」
「俺も母さんの所に電話しておく」
陽鞠はほっておいて電話を2人がし始める
「お袋、梓月の家に今日泊まるから」
(え!悪いからやめなさい)
「大丈夫だって」
「服は借りるからさ」
(仕方ないわね、明日ちゃんと帰って来なさいよ)
「わかった」
「梓月こっちはOKもらったぞ」
首を縦に振りながら電話を掛けている
「母さん今日鴇泊めていいだろ?ってもういるけど」
(いいわよ、棚とか、冷凍庫に何かある筈だから食べなさい。それがお小遣いで何か買って食べて。帰ったら返すから立て替えておいて)
「わかった」
「鴇こっちもOKもらったぞ」
「やりぃー!」
「梓月本は?」
忘れていた
「ああ」
本を取り出した
手をかざし目を閉じる
「わかったわ、それではそのようにします」
⁇
「説明しろって言っているんだ」
「勿論説明はする、だからこの本に手をかざして」
「それと手をかざす意味がわからねぇよ」
「その答えを出すためにするの」
「意味わからねぇよ」
「いいから」
梓月の手を引っ張ってかざした
その途端鴇が宙に浮かび、鴇の意識がなくなってぐったりしている
「いい、私の言葉に続いて言って」
「はぁー?、その前に鴇大丈夫なのか?こんなことならするんじゃなかった」
「つべこべ言わずにやるのよぉ」
勢いよくいわれ
「わ、わかったよ」
「我時の番人、時空を返し者のその記憶と共にここにいる事を許す者」
「…………」
「何やっているのよ、復唱して」
「!?ああ」
『我時の番人、時空を返し者のその記憶と共にここにいる事を許す者』
「時は満ちた汝全ての力を取り戻せ」
『時は満ちた、汝全ての力を取り戻せ』
本が開きページがめくり上がり止まる
「その名は鴇」
『その名は鴇』
光が鴇を包みこんだ