時の番人
No.3
家に到着し入ろうとした時
「梓月、お前も帰りか?」
後ろから声をかけてきたのは親父だった
「親父か?どうしたんだ早いな」
「ああ、今日珍しく早く終わったからな」
親父はとびの仕事をしているんだがいつも遅くまで帰ってこない、それが今日は早く終わったようだ
「そうか」
そのまま家にはいる
「おかえりなさい、あらあなたも一緒?」
「俺は珍しく早くに仕事が片付いてそのまま帰ってきたからな」
「よかったわね。たまにはゆっくりできて」
「まぁーな」
2人の会話を聞きながら部屋にいこうとするがまたもや呼び止められる
「梓月、今日早く帰ってきたのならご飯食べに行かない?」
「お!それいいな」
俺は行きたくないんだよ。こっちは考え事や確認作業をしたいんだよ。
「いや俺は行かない。2人でたまには行ってくればいいだろ。俺は家にあるものでいい」
「え!」
母親の顔が赤くなる
「なんだ?たまの親子水入らずもこないのか?」
母親の目ががっかりしていたのがわかり
「それもいいけど母さん嬉しそうだけど?」
「わ、私はいいのよ。そうよ親子水入らずは大事よ」
慌てて修正の言葉を発していたのだが意味を持たない
「本当に俺は大丈夫。俺が生まれてからどこにも2人で出かけていないだろ?だから行ってくればいい」
「俺に気を使うな」
「親父に気を使うよりも、母さんを喜ばせてやりたい」
そう言って二階の自室にはいる
「生意気なこと言いやがって」
親父が怒ろうとした時
「あなた、滅多にないから」
そう言って親父を止めていたので俺は難を逃れた
「そ、そうか?ならどこに行く?」
などと会話を始めた、それを聞きながら扉を閉めた
ようやくこれで本が確認できる
そう思い本を取り出そうとして手を入れる
!?
ない!
カバンをひっくり返してみるがない
確かにここに入れたのはあの時確認している、なのになんでない?
状況を確認し始めた
第1に桜の木に触れると時が止まる、第2に本は勝手に移動をする、第3にあの女の子存在、第4に昼休みの時間でなければ発動していないという事。
これらの現象が、今自分に降り注いでいるのだ
解説するには、再度あの場所に行くしかないのか
「はぁー」
風呂でも入ろう
湯船に入り頭を空っぽにしてゆっくり浸かる
こういう時は一回頭の中を空っぽにするに限るな
湯船から上がり部屋に戻る
親はさっき出かけていったようだ
布団に潜ると、色々あったせいか眠りについた
翌朝
目が覚め布団からでて学校に向かう、頭がかなり楽になったお陰で気分が良い
学校に到着した梓月は席に着き授業が始まる。変わらない日常が昼まで続きチャイムかがなるとすぐに席を立ち桜の木に向かった
ここだったな
梓月は木に手を触れると時が止まると、後ろから声が聞こえた
「ちょっとなんで昨日勝手に時を進めたのよ」
「進めた?もしかして俺がしたのか?」
「えー気がついてないの?本は開いた?」
「いや、その前に名乗りもしないで何で怒られないといけない?」
「あれ?名乗らなかった?その前に名乗らなくても、本を開けばわかるのよ」
「それが本がなくなって」
「何いっているのよ。あなたの足元にあるでしょう?」
言われて下を向くと本がある。
「なんでだ昨日家に持ち帰ったのに」
「その本は意思があるからね」
「この本に意思があるのか?」
「ええ、開けばその答えも意思も消えるわよ。だから先に本を開いて、話は全てそれからするわ」
「俺になんのメリットがある」
「その答えも本の中」
要はこの本に何が隠されているのはわかった
「これ開いて死ぬとか?呪われるとか、支配されるとかあるんじゃ」
「バカねぇ、自分で作ったものにそんなの仕込んでどうするのよ」
そうだった、こいつ、いわく俺が所有者って事だったな
「それでどうやって開くんだ?」
「だってここに鍵がついているんだが?」
よく見ると小さな鍵がついていた
「え!」
女の子に見えるように本を立てて指を指す
「ココだ」
「あーそれは、その鍵を握って」
「握れば良いんだな」
「そう」
梓月は鍵を握る
パッリン!
音がして光の泡となり消えた
!?
「それで開くわ」
話が進まない状態なら明日になっても変わらないなら
梓月は本をゆっくりと開き始めた途端本から砂時計、時計、歯車が飛び出して組み合わさり始め巨大な時計塔が姿を現し起動を始めた
カーン、カーン、カーン!チクタクチクタクチクタクチクタク
秒針の全ての針が逆に動き始め時計に封印されていた記憶が梓月の目の前に現れ始める
時計が梓月を記憶の彼方に飛ばして行った。
「行ってらっしゃい。帰ってきたら全てがわかってここに舞い戻るわ。それまでもう少しここで待って居ます」
そう呟き女の子はテーブルと椅子を異空間から取り出して座りながら待つことにした
俺どうなっているんだ?異空間を飛んでいる状態で先が全く見えない
筒状の空間をひらすら飛んでいるのだが全く着く気配がない
いつまでこうしているんだろう?
その時、カーン!カーン!カーン!鐘の音が聞こえた時光に梓月が包まれゆっくりと目を開けると目の前に巨大な時計塔が現れた
え!さっきの?そう思い辺りを見るが見覚えのない風景が広がっていた
ここどこだよ!
後ろを振り返る梓月
梓月の目の前に街並みが一望できていた
スゲー!めちっちゃ眺めいいじゃん、街並みの奥はきっと海なんだろうな
それにしてもここに時計塔があるという事は何かあるって事だよな
梓月は時計塔の周りを見ると時計塔の後ろに小さな桜の木があった
もしかして、この桜の木って
そう思い手を桜の木に触れた