時の番人
No.2
投げつけられたものを手に取るとそれは本だった
「なんだこれは?」
「預かっていたものを返しただけ」
年代物の本を見つめる
これを返した?って事は俺が持っていてそれを貸して返してもらったと言うのとになる。だが俺はこんな本見たことがない。面も裏も筆記体で書かれた得体の知らない文字が表紙を飾り裏には何やら絵が描かれていた。
よく見ると
歯車?砂時計?時計が描かれているのだがかなり薄くなっていて他は見えなかった。何やら絵が描かれているのだけはわかった。お表に戻して本を見つめる
だからなんなんだ?
「それを開いてみて」
「これをか?」
「ええ」
得体の知れない本をハイそうですかと開くバカはいないだろ
そう思い本を女の子に投げようとした時体がよろけて木に手をつける
その途端時が動き出した
「はぁー?話の途中で動くとかあり得ないだろ」
疑問が湧き出る中手にしていた本が見当たらなかった
「あのなぁー」
もう一度桜の木に触れるが反応はしなかった
「やってられるか」
昼休みが終わる前に売店に行くが何も残っていなかった
「あいつのせいだ」
イライラしながら教室に向かう
「おーい梓月」
こんな時に
「どうしたんだよ、そんなにイライラして」
「はぁ!」
「お!怖っ」
笑顔のまま答える鴇
「はぁーでなんだよ」
「そうだったお前今日売店来なかっただろ?だからやる」
「お前はやっぱりストーカーだな」
「お前の事ならなんでもお見通し」
「やめてくれ、キモい」
「嘘だよ、たまたま通りかかった時に見たんだよ。俺はその後保健室に行ってからここにきた訳だ」
「それでどうしたんだ?お前が保健室だなんて」
「いやーさっきさ階段を思いっきり踏み外したのは良かったんだけどその時壁に膝をぶつけて思ったより血が多くてさ絆創膏貰ってきた」
いや、その前によく無事だったな。それに階段を踏み外すのはいいのかよ。ものすごくツッコミを入れたいが面倒になりそうでやめた
「まー膝だけで済んでよかったな」
「あったりまえじゃ、俺を誰だと思っている、運動神経抜群の鴇だよ」
「え!お前自分でそれいうか?」
結局ツッコミを入れてしまう
「何を言っている、俺が言わずして誰が言う」
「そうだな。お前はお前だからな」
「わかってるじゃん、話が逸れたな。これやるよ」
手に菓子パンを渡された
「余りだ、いやーそれなぁ思った以上に甘すぎて食えなかった」
いや余りではなくて要らないの間違いだろ
「いい、悪いから。家に帰れば何かあるし」
「梓月実は2つ買ったのに食えなかったんだよ。余りではなくて要らないんだ」
肩を叩かなが鴇が答えた
「最初からそう言え、バカ」
「捨てればまじでお袋がブチギレるなんとかしてくれ」
鴇のお袋さん確かに食べ物だけはうるさかったな。前に泊まりに言った時なんか俺吐きそうなほどに食わされた記憶が蘇る
「鴇のお袋さんそんなに怖かったっけ?」
「バカ言うな、こないだフライパンを投げようとしていたんだぞ」
「お前何した?」
「いやーそれがさぁ。こないだ母さんにクソババと言ってしまったのがいけなかった」
「あーそれはブチギレするな。俺も中学生の時に言ったら母親に竹刀で頭叩かれ脳しんとう起こしかけたし、その後親父が帰ってきて4の字固めされて気絶した」
「お前ち母ちゃんも父ちゃんも怖いな。それに比べれば俺のところはマシか」
「同じぐらいだろ」
「あの時は流石に母ちゃん心配していたみたいだけどな」
そんな会話をしながら菓子パンを食べ終わるとチャイムがなった
「じゃな俺行くわ」
「おう」
授業が始まり、机から教科書を取り出そうとした時
?
手に触れたことのない厚さの本が触れる
まさか
机からゆっくりと引き出すとそこにはあの時に渡され消え去った本があった
なんでここにあるんだよ
勢いよく入れる
ガタン!
でかい音が教室内に響く、椅子を勢いよく引いたからだ
「おいどうした?」
先生の視線がこっちに向く
「いえ、なんでもありません」
そう答え座り直す
教科書を開き授業を受けながら、再度机に手を入れて確かめる。やはりあの本がここにある
どうやってここに?とにかく情報を整理してみるか
あの桜の木がなんらかの引き金を引いているのは間違いない。それとあの女の子が現れたのももう1つ引っかかる。なんで現れたのかって事だ。まだある、迎えにきたと言っていたのと、生まれ変わりだとも言っていた。最後にこの本だ、これを開けと言っていたには必ず理由があるはず。家に帰ってもう一度確認する必要があるな
チャイムが鳴り授業が終わる。さっさと帰って確認をするか
急いでカバンに本を入れ帰宅路を急いだ