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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第四章 国と教会と神子
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神子と教会③

「なんか大変な事になってるんだね」


自分のことながら、他人事のような感じだ。

教会がここまで強引な手段で狂言誘拐するのもビックリだし、私にそこまでの価値があるかも疑問だよ


レインはクスリと微笑んで言った


「そうですね、本当にくだらない事・・・」


声を顰めていた会話で、更に後半は余計に小さく言われて聞こえなかった。


「では、マリア様失礼します」

「あ、うん・・・、」


言おうとして止めた

先が見えている状況だけど、寂しいと言ったら困らせるだけだ。

ドレスが取られた事も只のワガママになる


「何かございますか?」

「ううん、なんでもない大丈夫、気を付けてねレイン」


レインは小さく頷くと屋根裏に音もなく消えて行った

私に出来ることは無いので寝るしかないけど

結局寝付けたのは日付が変わってから

眠りも浅くて、知らない場所の寝室に独りで居ることがこんなに不安にさせる事を数年ぶりに思い出した。





——————————————————————————



レインは怪我を治療されていたマリアを見て一時は安心していた

喉から手が出るほど欲している神子を、襲撃時に怪我をさせたことを考慮するとマリアは脅しや拷問の類いを受ける可能性もあったのだ。


幸い、貴人専用の部屋で相応の扱いを受けていたようなので、その心配は杞憂に終わったのだが

最後に見せた主人の表情が気になった

何か言おうとしたのは分かったが、呑み込まれた。


何を呑み込んだ?

昨日と何が違う?


場所、環境、服・・・


そう言えばドレスはどうしたのだろうか、アクセサリーは?

ドレスは兎も角、あの状況下のマリア様なら手元に近い所、目に付く場所にアクセサリーを置いている筈だ。

ガウェイン様から戴いた物は大切に扱う

貰ったその日は笑顔で眺め、必ず枕元に置いていたのだから。



・・・取られた?


言おうとしたけど呑み込んだのは、遠慮したのかも知れない

私が夜忍び込んで来たのを見て負担は掛けられないと・・・


水くさい、言ってくれれば良いのに

「取り返して来なさい」

そう言えば良いのに、変な所で気を遣う


主人が宝だと言えば路傍の石でさえ宝として扱う

ましてや愛しい男性から贈られ、大事に、大切に扱うのを見ている此方からすれば、それは宝と言って間違いないのだから。


早めに動かなければならない


教会がマリア様を外部から隔離したがっているので

下手をすると私物に関しては全て破棄される可能性がある

教会が与えた物以外は何も認めない、と言いかねない。


特にドレスは危ない

魔法攻撃で私の制服はボロボロになった

庇ったとは言え、一緒に吹き飛ばされたマリア様が身に付けていたドレスも大なり小なり破損している

着替えさせてそのまま破棄されるかも?


させない、それは絶対に許されない。


ガウェイン様が初めて贈られた、マリア様の為のオレンジ色のドレス

どれだけ喜び、それを着て夜会に参加する事を楽しみにしていたのか知っている




レインはマリアの無事を確認してスグにラフィスタ家へ戻るつもりだったが、踵を返した。

主人の宝を探す為に、闇夜に紛れ教会内を探る事を決めた。








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