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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第四章 国と教会と神子
95/109

神子は・・・

———————————————ィン


「う、つぅ・・・」


地面が目の前にある、違う倒れたんだ

魔法攻撃だ、全身が痛い

耳鳴りで何も聞こえない、視界はぐにゃぐにゃに歪んでいる


そうだ、レインは?

私を庇ったんだ、でも体が上手く動かない


どうにか首を動かすと近くにレインが倒れていた

頭から血を流している、治さなきゃ・・・


「ヒー・・・」


ヒールを唱えるとレインが光に包まれた

治癒をした手応えを感じながらも結果を見ること無く私の視界は暗転した。






「何を考えているのですか!神子様を害するなど!」

「害してなどいない!保護したのだ!」

「保護!?馬鹿な!攫ってきて置いて何を、」


誰かが言い争っている


私はベッドの上に寝ていた

窓の外は暗い


「おい、神子が目を覚ましたぞ」


言い争う二人の他にも一人男の人が居たみたいだ

どこかで聞いた事のある声、誰だっけ・・・


コツコツコツ・・・

誰かが近付いて来た、視界はぼやけていて人の形しか捉えられない


「申し訳ございません神子様、ただいま治療致します」

「待て!司祭如きが大司教の私に口答えしておいて、話は終わっていない!」

「黙りなさい!神子様の御身を優先する以上の事なんて存在しない!」

「ぐ、貴様」



「ヒール」


「う、ぐ・・・」

暖かい光に包まれた、全身の痛みは治まる

治癒の光に身を委ねて私は眠りについた。




「じゃあ私はこれで、大司教約束忘れるなよ」

「無論だ、城への繋ぎは居てもらわねば此方も困るからな、金はいつもの方法で送ろう」

「ならいい」


ガチャガチャ・・・

具足の音を立てて男は教会から立ち去った。


「まさか城にまで、教義に反しますよ!これは問題にさせていただきます」

「五月蝿い!司祭のくせに大司教の私に口答えするのか!神殿騎士!こいつを懲罰室に閉じ込めておけ!」

「愚かな、このような振る舞い、神は赦さない」



司祭を拘束させ、大司教は眠る神子を見てほくそ笑んだ


「は、神は赦さない? 神子が居ればどうとでもなる」


神職に有りながら教会を侮辱する言葉を吐く

上機嫌になった大司教はシスターを呼び付け、巫女の世話を命じると自室で祝杯を挙げて眠りについた

頭の中ではこれから手に入る多額の寄付に心を踊らせながら。




—————————————————————————




ガチャ・・・


扉を開く音が聴こえる

意識が覚醒してベッドから起き上がると


「おはようございます神子様、お加減は如何でしょうか」

「んー・・・、おはよおレイン、だいじょう・・・」


ハッと気付く、目の前に居るのは侍女レインではなく

僧衣に身を包んだ見たことも無いシスターだった


「誰!?」


て言うか、此処は何処!?

室内の装飾を見る限りは教会っぽい印象、ただ教会の中の割には豪華に過ぎる部屋だ。

天蓋付きでフカフカのベッド、ブランケットもどこかで見た有名織り物で、家具も屋敷で使用している物に勝るとも劣らない代物。

居るのはシスターだし、多分教会だよね?


「申し遅れました、私はミリエラと申します、畏れ多くも神子様の世話係を命じられましたので、誠心誠意仕えさせていただきます」


やっぱり教会だ

でも、昨日は確か・・・

そうだ!何者かから襲撃を受けて、私は気を失って、それからどうなったの?

ガウェインさんは? レインは? ゴードンさん達は無事なのか


「あの、神子様お着替えを」

「え?」


シスターに言われて自分の姿を確認すると、昨日来ていたオレンジのドレスでは無く

総シルクレースのネグリジェだった


「ひ」


知らない内に服が変わっていたということは、着替えさせられたという事だ。

慌てて髪、身体を上から下まで確認する

た、多分何もされてないよね?


「勝手ながら、お召になっていたドレスはボロボロになっておりましたのでわたくし共で着替えさせていただきました、お世話したのは皆女性ですのでご安心下さい」

「あ、いえ、はい、ありがとうございます・・・」


シスターのひと言に安堵するのも一瞬

ドレスがボロボロと言われて泣きたくなってしまった


そんな場合ではないと分かっていても、ガウェインさんから初めて贈られたドレス

一度しか袖を通していないのに、と落ち込んだ。








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