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騎士は考える②

早速父上に婚約の申し込みを伝える。

いくら想いが通じても、貴族としては家と家の契約が婚約だ


「父上母上、婚約を申し込みたい相手が居ます」


食後ゆっくりと紅茶を飲んでいる場で伝えた

母は社交界での噂を知っているのだろう、黙っていたが「やっとか・・・」と言いたげな様子だ。

父は社交、特に女性関係の話に疎いので青天の霹靂

ゴホゴホと噎せていた。


「っゲホ、お前そんな相手が居たのか、私に言ったということは相手は貴族なんだな?」

「はい、本人には告白(プロポーズ)して了承を得ています」

「お、おお、おお!いいんじゃないか? ガウェインが望んで相手が受け入れたなら構わんよ」

「ギル、相手も知らずに了承するものではありませんよ?」


相手を察しているので、心底面白そうに笑う母はわざとらしく父を窘めている。


「そ、そうだな、ゴホンっ!いくら何でも問題のあるご令嬢だとルクシード伯爵家当主として許可は出来ない、で、どちらの家だ?」


父は喜びながらも咳払いをして落ち着こうと紅茶を口に含んだ



「ラフィスタ辺境伯家のマリア嬢です」


ブーーーーーッ!!!


「・・・」

父の噴き出した紅茶を浴びてしまった・・・

本格的にゲッホゲッホと咳をしている

母は予想した通りの父の反応だったのか、父の背中を擦りながら声を上げて笑っていた。






「ガウェイン・・・、本気か?」

「はい」

「・・・今日出掛けたな、その時か」

「ええ、まあ」

「うーん・・・」

「反対ですか?」


「いや、うん、いやー・・・、うーん・・・」


うんうんと父は考え込んでしまう、相手が相手だ

寧ろ「良くやった」と喜ばれるよりは当然の反応と言える。


「キスはしたの?」

「・・・」


「マリアちゃんに捨てられないようにしなきゃね」

「・・・」


母は目をキラキラさせて俺に絡みだす。

キスはしたがいちいち言うつもりはない・・・




「うん、まあ、ラフィスタ辺境伯には申し込むけど、ウチ潰されないかな」

「流石にそれは無いと思うけど・・・」

「娘に手を出したなって怒られたら、夜明けと共にルクシード家無くなったり・・・」

「いや・・・」


しまった、良い雰囲気になってキスしたのは早まったのかも知れない。


「大丈夫よ、ギルは普通に手紙を送ればいいわ」

「え」「は?」

「ソフィア、、辺境伯夫人とは話がついているから」


父も俺も言葉を失う

元々母と辺境伯夫人は学校の先輩後輩で、マリアに馬車事故の時助けられてから積極的に親交を温めていたらしい。

何やら母達の手の平の上で踊らされているような気がする・・・


マリアは違うよな?

彼女は嘘を付かないと思う、とても素直でいい子だ

あの様子でホホホと笑われたら俺は一生女性不信になる自信がある。


「何考えているか分からないけどマリアちゃんは関わってないわよ、ラフィスタ家の意思は娘の幸せ、政略は有り得ないから」


良かったわね愛されていて

続いた母の言葉に顔が熱を持った。



「アイシャ、知ってたなら教えてくれても・・・」


難しい顔をした父が不満げに母に言うが、


「あら、不確定な事を言う訳にはいかないわ、ラフィスタ家の方針は恋愛結婚だもの、貴方もガウェインも女性に関しては不器用だし、マリアちゃんには純粋に相手を見つけてもらいたい、私とラフィスタ家の判断に何か問題でもある?」


「「・・・ありません」」


「よろしい」


ルクシード家の男性はとにかく女性に関してはポンコツよね

母に言われた言葉を否定する材料は俺達には無かった。




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