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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子と薔薇の花束③

「ガウェインさまぁ!どうして近衛騎士の話断ったんですかぁ」


甘える様な口調で横からガウェインさんの腕を掴む女性


聖女アリスさん


「・・・聖女アリス様、離して戴けますか」

「そんな他人行儀に言わないで、ねえガウェイン様」

「離して下さい、貴女には第一王子殿下という立派な婚約者が居るでしょう、それに本日の私は非番ですのでそういった話は後日お願いします」

「ええー?いいじゃない、少しくらいぃ」


ガウェインさんは硬い表情で身を引き、離そうとしている

でもアリスさんは構わずにガウェインさんの腕に抱きついていて

なんか、モヤっとする・・・


「わう」


と、それまで静かに後ろを着いてきていたシルヴィーが小さく吠える

足下に擦り寄って来た感触があるけど、いっぱいの薔薇とドレスの裾で辛うじて尻尾がヒラリと見えただけだ。


「シルヴィー?」


シルヴィーは外では基本的に甘えてこない

なのに今、なぜか思い切り足下にグリグリと構って欲しいと身体を押し付けて来た。

今日は庭園を少しだけしか歩かないという事でヒールのある靴で来た、エスコートも居るからとレインの見立てで。

なので、足下は1人だとちょっぴり覚束無い


「シルヴィー待って、どうしたの? わっ」


止めようとしたけど間に合わずに

じゃれついてきたシルヴィーに足を掬われる

手は花束で塞がっているし、ぎゅっと目を瞑り転倒の痛みを覚悟した。



ぽふ・・・


「あれ?」

「・・・ふう、大丈夫か?」

「はい、ありがとうございます」


しゃがんだガウェインさんに受け止められていた

シルヴィーは横に回って来てキュウキュウと鳴いている


「どうしたの?シルヴィー」

「クゥン・・・」

「大丈夫怒ってないよ、帰ったら遊ぼっか」

「わふ!」


最近は学校に行ったり、出掛けたりで寂しかったのかも知れない

申し訳なく尻尾を垂らしていたけど、すぐにパタパタと元気になった。



「それでぇ、ガウェインさ」


「失礼」

「う、わっ!」


ガウェインさんは私をそのまま抱え上げて立った

待って待って、こんな人の多い所でお姫様抱っこって!


「聖女アリス様、私は今レディーをエスコートしているのでこれで失礼致します」

「ちょっ、待っ、ひっ!」


アリスさんの返事は待たずにガウェインさんは歩き出した

良いのかな? まあいっか・・・


「あのう、ガウェインさん」

「ん?」

「下ろして欲しいんですけど・・・」

「足下見えないだろう? 馬車まで運ぶよ」

「えっ、いや、それはそうですけどね、歩きますよ!」

「危ないから」

「だ、だからって、そうだレインに花を・・・」


持ってもらおうと首を回すと、いつの間にかレインは傍に居たのだけど、その手には中々立派な花束。

貰ったらしい、流石にこの薔薇いっぱいの花束は持てない事が見受けられた。


「じゃ、じゃあゴードンさん!」

「お嬢すまん、俺は護衛だから荷物を持って手を塞ぐ訳にはいかないんだ」


ニヤリと笑いながら、全然すまないと思っている様子の無いゴードンさんが正論を言う。

だよね、護衛に荷物持ちなんて1番させちゃいけない事だよね、知ってた。

ということはつまり、ガウェインさんのお姫様抱っこ(エスコート)が決定したのだった・・・





マリアは気付いていないが

アリスが尚もガウェインに言い募ろうとした瞬間シルヴィーがガウェインマリアとアリスの間にスっと身体を割り込ませ牽制していた。


目の前に2mを優に超える狼が石畳の通路に立ちはだかる

ジッと見詰めて来た事でアリスは怯み、機を逸した。

吠えるでもなく、唸るでもなく

ただ、近付くなと言わんばかりの意思を持った銀狼の瞳に圧され固まるアリス。


その膠着状態は数十秒か、1、2分か

ゴクリと生唾を飲み込むアリスから視線を外すと

シルヴィーは風のような速さと軽やかさでマリアの後を追い掛けて立ち去った。


残されたのは茫然とする聖女

そして、一部始終を見ていた貴族と使用人の冷たい視線であった。







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