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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子と薔薇の花束①

それは穏やかに家族と過ごしていた日の事だった

久しく家族全員が一日屋敷に居た

父様とダンスレッスンをして、母様と姉様三人でお茶をして 、兄様に勉強を見て貰った。


午後の3時を過ぎて、私室のソファーでシルヴィーの頭を膝の上に乗せて撫でていた私の所にレインがやって来た


「マリア様、ガウェイン様からお手紙が届いております」

「ガウェインさんから?」

「はい、どうぞ」

「ありがとう」


手紙にはお出掛けのお誘い

お城の庭園が大規模改修される為、植わっている花や木も入れ替わるらしい

それで花類は希望者に配られるとの事で、庭園の規模からすると城内の人間だけでは手に余る量になる

枯らして廃棄するよりは愛でてもらった方が余程良いとの事で、一緒に見に行かないか?

と、書いてあった。


レインに内容を話すと、どうやら定期的に城では植え替えをしているらしく有名な話だそうだ。

王城の見事な庭園、花とは言え王家縁の物を戴くのはとても光栄な事なので、とても人気のある催しのような扱いになっている。





——————————————————————————







「足下気を付けて」

「はい」


2日後、ガウェインさんのエスコートでお城の庭園に訪れていた

庭園は確かに大規模改修が始まっている、奥の方は立ち入り禁止になっていて土や樹木が掘り起こされている

と言っても元は広い庭園、一部が立ち入り禁止でも御屋敷数棟は入るほどの広さなので手狭じゃない。


「結構人居ますね」

「ああ、切り花を貰うにしても庭師や担当の侍女が採る必要があるし、城の庭園もこういった時でも無ければ簡単には入れないからな」


なるほど、だから庭師の人や侍女、それに夫人や令嬢にお付の人と賑わっているんだ。



あちらの御方、神子様では?

まあ!では隣の殿方が噂の?


庭園に現れた黒髪の神子、マリアに気付いた貴族はヒソヒソと口元を扇で隠しつつ様子を伺っていた。

露骨に見るでもなく、さり気なく視界に入る位置取りをする

社交界では今一番の注目の的、神子様と恋人だと目されるガウェインを観察していた。




「マリア様」「お嬢あとでな」


そう言ってレインとゴードンさんは離れて行った

レインは元々城の庭園にとても興味を持っていたらしく

一緒に行く?と誘うと、普段落ち着いているレインが珍しく興奮して首を縦に振った。


庭園なら危険は無いし、騎士のガウェインさんがエスコートで居る

シルヴィーも着いてきているので、デートの邪魔はしたくねえとゴードンさんはレインに着いて行ってしまったのだった。


最近はガウェインさんの事を意識し過ぎて上手く話せない事が多いから一緒に居てほしいんだけど・・・

今日だってエスコートの為に手を重ねると、手の向きをクルっと変えられ、「え?」と思っていたら手のひらに口づけされたのだ。


最近は母様から()()()()()()やゴニョゴニョを教わる事もあって知っていた。

手のひらへのキスは恋人になって欲しい、自分の事を好きになって欲しい、という懇願を意味するものだ・・・



私は、ガウェインさんの事が好き、だと思う

ガウェインさんも多分そう、だと思いたい

瞳の色の宝石の髪飾り、優しさ、笑顔・・・

でもガウェインさんから好きと言われたことは無いので分からない

もう少しだけ今の幸せを噛み締めたいとも思う

だって告白して振られたら元の関係では居られない


ごめんなさい、臆病で

いつか必ず言うから、だから今だけは隣に居させて、手を握っていて欲しい・・・


ギュっと少しだけ手に力を入れると、ガウェインさんから返ってくる感触にもう少しだけ甘えさせて。







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