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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子と教会①

教会の方へも1度顔を出して私の意志をハッキリ示さなければならない、毎日が楽しくて完全に忘れていたよ。


気を引き締めて行かなければ・・・、よし!


コツコツと石畳を踏み締め、王都の教会へと来た

ゴードンさんとシルヴィーを引き連れて

入り口に立っている神殿騎士に話し掛ける


「もし、神子マリアが来たと司祭様にお伝え下さい」

「っ、はっ!少々お待ちを神子様!」

「ああ・・・、聖堂内で待ちますのでお気になさらず」


私は感情を押し殺し、クスリと笑って歩みを進める

神殿騎士さんは慌てて走っていった。


「お嬢、その調子です」

「ん」



教会の接触に先んじて、色々と状況を教えられた


現在の教会は聖女派と呼ばれる、多額の寄付を集め贅沢する金満生臭坊主な派閥と

神子派と呼ばれる、清貧を尊び教義に真摯であれとする派閥があるそうだ。


生臭派は聖女アリスさんを橋渡し役として第一王子コーディーさんを次期国王へと押し上げる為に暗躍している


神子派は別に私が何かをしている訳ではないけど

現在生臭派が主流の中、そんな教会と距離を取り

瘴気の浄化に専念していた私を好意的に見ている人達の集まり、らしい・・・



あ、今回は生臭派が相手です。

私はそういう事に関知しませんが、それでも教皇様の手紙を無視するのもアレなので一応相手の顔を立てるという事で教会に来ました。

聖女アリスさんは寄付の寄付を貰い、完全に教会の人間だそうです。



聖堂内の長椅子に座り、そんな事を考えていると

正面から豪奢な法衣を着た小太りな男性が近付いてきた。

法衣は金糸の刺繍が施されており、贅を凝らした物だと分かる。


「ようこそ神子様、私はアルアーデ・ゼイニー大司教、この度教皇様の名代として対応させていただきます」


脂ぎった顔に厭らしい笑顔を貼り付けた如何にもな人だ

事前に父様や母様からは色々と言われた中で

「人は見た目では無いけど、見た目通りの人も居るから」

と言った意味がよく分かる。


首元にはゴテゴテした趣味の悪い金と宝石のネックレス

握手を求めて差し出してきた手にも、大きな宝石をあしらった金の指輪。

これが聖職者? 嘘でしょう・・・


私は握手に応じず、教皇様から戴いた手紙を渡し、言う


「初めまして、私にどういったご要件でしょうか?」


大司教はピクリと頬を引き攣らせたのも一瞬、再び胡散臭い笑顔で続ける


「ここではなんですから、奥へ・・・、おもてなしさせていただきます」

聖堂内(ここ)で聞きます」

「・・・神子様、聖堂内では礼拝に来ている一般人も居ますから」

「構いません、それとも()()()()話せない事でもあるのですか?」

「っ」


言葉を失う大司教

先ず、私は奥に行きたくありません

それだけで神子(わたし)が教会と懇意になったとされては堪りません。

入るは易し出るは難し、な教会だそうでその辺りは警戒しなければいけません。


ぐぬぬ、と言わんばかりの大司教は強硬に奥へ行く事を勧めても角が立つとおもったのか、ではこちらをと1枚の書類を取り出した。

それをゴードンさんが受け取り、私に見せる

中身は予想通り、賄賂の数々・・・

お金、宝石、土地、建物、それもとんでもない額で


「・・・なんですか、これは」

「ほんの気持ちで御座います、どうかお受け取りを」


「要りません」


私のひと言に合わせてゴードンさんは大司教に目録を突き返した。

ポカンと口を開けて固まる大司教


「要件はこれだけですか?」

「あ、ああ・・・」

「ではこれで、ゴードン、シルヴィー帰ります」

「はい」「ウォフッ」


長椅子から立ち上がり、話はこれまでと立ち去ろうとしたけど・・・


「お、お待ちください!困ります!」


顔色を変えて掴みかからんばかりの大司教、その前にゴードンさんが立ちはだかる


「何が、困ると?」

「これらは私共が教皇様から神子様に渡す様にといいつかった物、受け取って貰わねば教皇様になんと言われるかっ」

「それは、そちらの都合でしょう、貴方が困るから私に不要な物を引き取れと?」

「ぐ、いくらなんでも口が過ぎますぞ神子様」

「失礼、でも私には不要ですから」

「ですがっ、ですがっ!」


言い募る大司教、賄賂を誰でも喜んで受け取ると思ったら大間違いです、それ元を辿れば寄付ですよね?

自分達が肥える事ばかりに使わず、孤児院等に回しては?

言いませんけどね。



「仕方ありませんね、ゴードン」

「はい」


ゴードンさんが目録を受け取ると大司教はホッとしたように様子になる、でも貰いません

そのまま大司教の後ろに控えている、此処の教会の司祭様に目録を渡す


「は?」


「教会に寄付を致します、受け取っていただけますね?

ああ、大司教様? 私は現在の教会からは何も受け取るつもりはございませんのであしからず・・・。

司祭様、どうぞ有効活用して下さいませ、では」


固まる二人を置いてサッサと聖堂を出て馬車に乗り込み、私は逃げ切った。



はー、つかれた・・・






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