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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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閑話 ラフィスタ家族会議

「では、第350回マリア会議を始める」


威厳たっぷりに宣言するのはクロード・ラフィスタ辺境伯

王都にあるラフィスタ家別邸の食堂には各部署の責任者と辺境伯夫人ソフィア、息子ロイド、娘マリアベルが集まっている。


既に日は落ち、夕食も終えて支度を済ませ、後は眠るばかりといった時刻にその会議は開かれた

会議名となっているマリア本人は既に夢の住人。



「ゴードン、日中の報告を」

「はい、今日影ながら見たお嬢は——」


クロードに促され、一日護衛をしていた部隊の責任者ゴードンは粛々と報告を挙げる


笑顔でガウェイン・ルクシードと手を繋いで出掛け

朝市では果実を食べさせ合って

それはもう仲良く、寄り添い、まるで恋人達のように・・・



ギリッ


「ゴードン、お前の見立ては聞いていない、いいか? 事実のみを報告すればいい」

「・・・はい」


途中、クロードは歯軋りをして怒りを露わに不機嫌になる。

いつもの様に慣れたものでゴードンは取り敢えず返事をして報告を続けた

隣に居る夫人ソフィアの目がスっと細まり温度を失っていたのを、クロードを除く食堂に居る全員が気付いていた

後程お説教されるであろう、娘離れ出来ない親バカである。


因みにクロードは先程から

「手を繋ぐだと? 5点減点だ・・・」

「アーンだと? マリアの初アーンは私だ、フハハ」

ブツブツと、謎の張り合いをする程には(バカ)である。




報告は続く


とある店では押しの強い店員に困る一面もあった

物はとても良いものがあったとの事で後日屋敷に呼ぶ事

道中、子供が木の棒を振り回しながら飛び出して来て怪我をしそうになったが、しっかり守った事。


ブツブツ・・・

「簪? そうか欲しいのか、よし、余所の男からプレゼントなんてさせない、先にプレゼントして・・・」

「あ な た?」

「・・・」



「子供とは言え接近を許すなど、やはり相応しくないな? 未婚の娘のお腹に触った?私刑だ、私刑私刑、なに? どさくさに紛れて肩を掴み抱き締めていただと!? 処刑だ処刑処刑処刑・・・」

「あ な た」

「・・・、よく考えたら守ったのは確かだな、うん、やるではないか」



報告は、続く・・・


ホットドッグと絞りたてジュースを昼食に

その後は森林公園でガウェインがマリアに何かをプレゼントをして、良い雰囲気で帰宅。


ブツブツ・・・

「安物を奢って媚びを売ったつもりか?」

「クロード」

「ごめんなさい・・・」


ただの悪口、僻みの発言になった時点でソフィアから物理的な冷気が溢れ出た

隣に居たクロードの髪には霜が降りている。



そして護衛ゴードンから侍女レインへと報告は引き取られる


「マリア様は過去最高にご機嫌です、デビューの舞踏会もそれはもうご機嫌でしたが、今日は最良の日でしょう」


森林公園で贈られた小箱には髪飾り

しかも最近王都の令嬢達に人気の、とある職人の彫金にガウェイン様の瞳と同じ色の宝石が。

これは告白も同然! マリア様はご就寝の間際まで髪飾りを愛おしそうに眺めておられ、その姿は正に恋する乙女!

ベッドに入っても髪飾りは小箱に収め、枕元に置いてお眠りになりました。


本日は沢山歩いて、楽しかったのでしょう

ぐっすりとお眠りになっています。



ウットリと、主の幸せは自分の幸せとばかりに報告を挙げるレイン


「アレは本当に良いものよね」と、女性陣は皆ニッコリと頷いた。



明日からは戴いた髪飾りを使いたいから、合わせてくれる?なんて可愛くお願いされています、以上でございます。


と、レインの報告は締め括られた。




ほのぼの(?)とした報告は此処で終わる


ゴードンから教会の監視が増えていると報告が挙がり


ロイドからは城内に居る一部の人間の間に、ある噂が流れているという

聖女派と呼ばれる聖女を御旗に、第一王子と教会が後ろ盾として動き出していると・・・


マリアを王家に、との考えが聖女派にあるらしい

聖女派とは第一王子コーディーと婚約者の聖女アリスの事を指すのだが

聖女は教会と懇意にしていて、このままでは王家内部に教会の権力者が巣食うことになってしまう。


国王シルヴェスター、王妃エリステラはそれを良しとはしていない。

また神子マリアを王家に、とも思っていないので完全に教会の意向と言える行動だった・・・


教会は第一王子を王にして、伴侶を聖女アリス、第二王妃に神子マリアを据えて王家を傀儡にしたいのだ。


王家はそれを許しはしない、情報も掴んでいる

またラフィスタ辺境伯家もマリアを権力闘争に巻き込むつもりは無い、現状の認識ではマリアの恋人(仮)はガウェイン・ルクシードで、二人は今想いを紡いでいる所なのだ、邪魔はさせない。




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