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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子、王都満喫。

押しの強い店員さんの店から出て歩いていると


ふわり・・・


両足が地面から突然浮いた

お腹をグッと引かれいつの間にかガウェインさんに引き寄せられて肩を抱かれていた。


「え? え?」


首を回すと空いた右手には木の棒が2本

そして、近くにはポカーンと口を開けた5歳くらいの男の子が2人して立っていた。


「ガウェ、」

「コラお前達、飛び出して棒を振り回したら危ないだろう、女の子に怪我をさせると大変な事になるぞ?」


んーと、どうやら横道から男の子が棒を振り回しながら飛び出して来たらしい

私に当たりそうになったから庇って、それと同時に棒を取り上げたみたいだ。


「ごめんなさい!」


子供達は素直に謝った、するとガウェインさんはニコリと顔を崩す


「広い所で振るんだぞ、ほら」

「はーい!」


男の子達は棒を受け取って元気に走って行った


「マリア怪我は?」

「ありません、ありがとうございます」


それより離してもらえると嬉しいです

肩をホールドで私がガウェインさんに抱き着いたみたいな体勢なので恥ずかしい。

え、お昼近くになって人が増えて来たから肩を抱いたまま移動ですか、そうですか・・・

ガウェインさんて令嬢苦手な割にはエスコートは積極的だよね、手を繋いだり、腰に手を回したり、肩を抱いたり。

ドキドキするよ本当にもう・・・




お昼は生鮮市場の奥、朝に引き返した場所の屋台

パラソルとテーブル、ベンチが一角に設置されていて食べ物を持ち寄れる共用のイートインになっている。


出来立てのホットドッグに絞りたてのグレープフルーツジュース

パキッと良い音をたててマスタードと熱々の肉汁が口の中に広がる

グレープフルーツジュースもその場で絞ったもので、新鮮なフルーツの酸味が香り、喉を潤した。


「美味しいか?」

「はい、とっても」


天気も良いし、青空の下で食べるのもいいよね

代金はまとめてガウェインさんが払ったので自分の分を渡そうとすると断られてしまった。


男性にある程度の支払いをお任せするのも、貴族としてのマナーの一部になるらしい

男を立てる、とかなんとか・・・

勿論ご馳走になりっぱなしでは一方的な関係になってしまう、今度なにかでお返しをしよう、ご馳走様でした!



—————————————————————————



食事を摂ったあとはマッタリとした時間を過ごす

王都にある王家所有の一般に開放されている森林公園

遊歩道を歩いていると、突然ガウェインさんが繋いでいた手にキュッと力を込めて立ち止まる。

え、と振り向くと真剣な顔をしたガウェインさんが懐から小箱を取り出した。


「マリア」

「?、はい」

「これを」

「なんですか?」


手のひらに載せられた小箱、蓋を開けるとそこには花を象った細やかな彫金が施されたシルバーの髪留めが入っている。


花の中心には()()()()()の宝石、あとから知る事になるけど、これはマンダリンガーネットと呼ばれる宝石が付けられていた。


「あ、の・・・」

「良かったら使ってほしい」


ガウェインさんは目を逸らして照れていた

かく言う私も贈られた物の意味を理解して照れる、顔が熱い

だって、これはどう見ても一点物で

ガウェインさんの目と同じ色の宝石が付いたアクセサリーを異性の私に渡したのだから



好意の証



自分の持つ色を相手にも身に付けていて欲しい

そんな意味のプレゼント・・・


「良いんですか? 貰っても」


「ああ、是非使ってほしい、どうかな?」

「可愛い、です、嬉しい」

「そうか」

「はい・・・」


爽やかな風が木々の間を抜け、木漏れ日が・・・

大好きなオレンジ色の瞳をゆらゆらと輝かせていた。


嬉しい、嬉し過ぎて胸がいっぱいだった

ポーチに小箱を仕舞い、手を重ねて散歩を再開したけど

それからどこをどう歩いたのか全く覚えていない

気が付けば屋根の無いタイプの辻馬車に乗って家に着いていた。

ただ、握られた手の暖かさと胸の鼓動だけは覚えている。



また、と次の約束をして・・・






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