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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子、騎士とお出掛け。

大きく暖かいごつごつした手に握られて歩く、隣にはガウェインさん。

私は今お屋敷から徒歩で王都の散策に出ている


学校生活も楽しく過ごしている中

5年前にガウェインさんと約束した王都近くの湖畔の街へのお出掛け

それを父様に相談した所、


「初めての・・・ートで日帰りと言っても遠くに出掛けるのはダメだよ、まず王都散策とかどうかな?」


と言われた、なんか途中ごにょごにょした言葉があって聞き取れなかったけど

どうやら最初から遠くに行くのはよろしくないらしい

母様は「うふふふふ・・・、あなた・・・」と言っていたけど何かあったのだろうか?

父様はその後具合悪そうにしていたからヒールを掛けたけど効き目が無かったし、私でも治せないものが有るのかと焦ってしまった。


お出掛けの当日

お屋敷にガウェインさんが来て、そこから歩いて行く予定なので、履き慣れた靴に街歩き用のワンピース

髪はそのまま何もせずに下ろした

思えば髪の毛も伸びたなあ

こちらの世界に来た時は肩に届かないくらいの長さだったけど、今では腰の辺りまで伸ばしている。

髪を伸ばすという事は働く必要のない裕福な家庭の人間、つまり貴族である事の証だとか


まあ、その事を除いても母様とベル姉様は黒髪は綺麗だから伸ばしなさいと言うし

レインに至っては毎日の手入れが楽しみなので切らないで下さい、とまで言う。


私個人は短くても良いし、レインにとっても仕事が楽になるんじゃあ・・・、と言った時には

いつも穏やかなレインが血相を変えていたので伸ばしたままだけど。



そんなこんなでマリア・ラフィスタ(わたし)としては、かなりラフな格好でお出掛けだ

黒髪で身元がバレるから帽子を被ろうとすると


「マリア様帽子は要りません、髪を隠すと「良いところの娘」と見られて危険ですから」


との事。

どこぞの誰か貴族のお忍び感を出すより、神子(わたし)だと敢えて知らしめた方が逆に安全なのだとか。




「何か考え事でも?」

「いえ、こんなに大勢人が居る所に普通に出て大丈夫なんだなあ、って」

「ああ・・・、堂々と歩いていれば意外とバレないよ、国王様と王妃様も偶にお忍びで街の様子を見に行くけど、まさか本人とは思わないから」

「そういうものですか? ラフィスタ領地の街だとほぼ私はバレてたんですけど」

「それは住んでいる事を知っているし、ゴードンさんとシルヴィーを連れていたからじゃ?」

「あ、そっか・・・」


そう、私が外へ出る時は必ずゴードンさんが近くに居たし

シルヴィーもほぼ一緒に居たけど、今日は二人共居ない。

ゴードンさんは陰から護衛

シルヴィーは「行くよ」と声を掛けてもチラリと私を見て尻尾をフワッと振るだけだった。

「いってっらっしゃい」ということらしい。


なので、私としては珍しく1人

ガウェインさんと()()()()で、手を繋いでお出掛けしていた。


落ち着かない・・・

いつもそばに居る二人が居ない事もだし、ガウェインさんと二人きりな事もだ。

とてもドキドキする・・・



「さ、何処か行きたい所はある?」

「えと、土地勘が無いのでお任せします」


5年前に王都に来た時は散策なんて殆ど出来なかった

だからどこに行っても楽しめると思う。


「じゃあ、まずは・・・」


ギュッと手を握られたので私も握り返す

ガウェインさんの顔を見上げると、フと柔らかい笑顔にオレンジ色の目が太陽でキラキラと輝いていた。





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