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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子、舞踏会の次の日。

昨日の夜は色々とあったけど楽しかったなあ・・・

あそこまで着飾る事も無いだろうけど、今後何回か出る予定の夜会も楽しみかも。

あ、でも1人で参加する訳じゃないのか

エスコートは父様か兄様?


知り合いとダンスする事はないのかも








ガウェインさんも・・・







パートナーとして誘ったら来てくれるのかな

ダメか、ガウェインさん夜会とか令嬢苦手って言ってたもんね

片手で足りるくらいしか参加した事ないって・・・



はあ・・・



「マリア様?」

「はい!」

「どうかしましたか、体調でも・・・」


ベッドの淵に座って考えていると、起こしに来たレインが話し掛けてきた。

いつ来たのか全然気付かなかったよ・・・


「大丈夫、少し考え事してただけで」

「随分深刻そうにしていましたが」

「・・・うん」

「昨夜、何か御座いましたか?」

「・・・何か、って言うか、その・・・」

「はい」


レインは真剣な面持ちで私の言葉を待ってくれた

なんて言えばいいんだろうか


「レイン、あのね」

「はい」

「もう一度ダンスしたい人が居たら、どうすればいいのかな、って」

「まあ!」

「え?」


私が悩みを口にした瞬間

普段は物静かなレインには珍しく、とてもいい笑顔で「まあ!まあ!」と目を輝かせた。

なんで?


「マリア様は昨夜ダンスした殿方の中で、今一度ダンスをしたいと思った方が居るのですね!」

「う、うん、その、恥ずかしながら・・・」

「恥ずかしいなんて、そんな、もしかしてガウェイン様でしょうか」

「えっ!?なんで分かっ、あ、うう」


レインは何故か分かっていたみたいだ、折角誤魔化そうと思っていたのに


「うふふ、簡単ですよマリア様、昨夜ダンスをした殿方は国王陛下、旦那様、クラスメート10名、こちらは全て事前の予定通りのパートナー役でしたから」

「う、うん、まあ、何かと立場とかあるからね・・・」

「ええ、それ以外の方となるとガウェイン様としかダンスを為さっておりません」

「あ、そっか」

「はい」


にこにことそれらしい事を答えたレインだが、これは嘘だ。

控え室での一件からダンスフロアでのマリアとガウェインの様子を見て、お互いに気になっているなんて誰が見ても解る。

距離が近いのだ、父クロード、母ソフィア、兄ロイド、姉マリアベル並みにパーソナルスペースの内側に居ることを許す程には想っている

距離を縮めたかと思えば見つめ合い

またその距離を自覚しては顔を染める2人を見て気付かない者は居ないだろう。

特に昨夜のダンスに関してはレインも陰から主マリアを見守っていた


マリアの間合いがいつも練習していた時より半足分パートナーに近い


表情は楽しげに、うっすらと紅潮した様子


何を今更、なのであった・・・



では、何に対して「まあ!」と喜んだのかと言うと

マリアに仕えて8年、漸く主の中に芽生えた淡い恋心に喜んだのである。

いや、昨日の様子を考えるにもしかすると、確かな恋心になっている可能性さえある

いくら神子様とは言え、ほぼ8年辺境に縛られてしまった主には是非とも幸せになって欲しい、そんな思いがレインにはあった。






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