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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子と舞踏会②

デビュタントのファーストダンスは人によって意味合いが変わる。

婚約者の居る人は勿論婚約者と、決まった人が居ない人は想いを寄せる人と

但し、貴族の婚約は往々にして利益が絡む

無難に親族兄弟姉妹とファーストダンスをする人も多い。


神子(わたし)がデビュタントで誰かとダンスするのも色々と問題があるという事で、此方も無難に父様とファーストダンスを終えた。


「ふう・・・」

「お疲れ様、マリア」

「ありがとうございます兄様」


家族の元へ移動すると兄様が苦笑しつつシャンパンを渡してくれる

冷たい飲み物が喉を通り、本当の意味でひと息ついた。


「ひとまずゆっくり出来るねマリア」

「うん」

「クラスの皆は全員来ているから、後で会えるよ」

「楽しみー」

「5年ぶりだものね、ほら」


姉様が視線で指した方向を見ると何人かクラスメートが居た、クラスメートと言っても姉様と同い年の17歳でデビューは終わっている。

今日の夜会はデビューの夜会でもあるし、国の慰労や対魔物の戦勝も兼ねているから

貴族当主に夫人、15歳のデビューの人以外にも嫡子にあたる人なども参加出来るのだとか。



父様と母様は国王シロさん達に挨拶に向かった

通常は爵位順で国王に挨拶するらしいのだけど、今回は辺境の平定祝いも有るので1番最初の挨拶らしい。

私は兄様と姉様、3人で話しつつ待つ

一人になった瞬間大勢に囲まれるから・・・



「マリアさん、久しぶり」


そう言ったのはクラスメートの一人

それに合わせて他のクラスメートも全員集まった


「綺麗になったなあ、5年前は小さな妹って感じだったのに」

「あはは、ありがとうグランくん」

「折角慣れてきたのにスグ辺境に戻っちゃったもんね」

「うん・・・、タイミング的にはギリギリだったから間に合って良かった」

「話には聞いていたけど怪我はしてませんか?」

「あ、大丈夫だよエメラダさん」

「良かった・・・、みんな心配していました、まあマリアベルさんが1番心配していたんだけど」

「ちょっとエメ!余計なこと言わないでよ」

「あら、うふふっ」


この5年、手紙でずっと文通していたからみんなとは気楽なやり取りが出来た。

特にクラスメートの手紙は姉様が全部まとめて送ってくれたので、そこにシロさんとエリーさん、母様、兄様、そしてガウェインさんへの分も併せて文通していた。


「ね、マリアさん今回はゆっくりしていけるの?」

「うん」

「てことは学校も?」

「通うつもり、1年だけになるけど」

「お、1年って事は俺達のクラスに入るのか」

「うん、よろしくお願いします!」


姉様達のクラスに再編入の予定になっている

本来なら12歳で入学、6年間学んで18歳で卒業になる学校だけど、私は年齢通りに編入すると3学年に入る事になる

それはそれで良いんだけど、やっぱり全く知り合いの居ない学年に入ると気も使うし、何より安全の確保が中々に難しいのが理由だった。

なので、前回仮入学の時と同じ様に2学年上の姉様とフィリアのクラスに再び入る事となる。

勉強は5年間で2学年分追い付いた筈なのでなんとかなると思う、特に兄様が帰って来てからのこの1年間は勉強を教えて貰ったから自信があった。


ニイサマ イガイト ヨウシャナイヨネ


(スパルタ)に勉強を教わった時の事を思い出してマリアは遠い目をした・・・



「さて、ダンスのお誘い受けて頂けますか、神子様?」

「はい、受けてもよろしくてよ?」


グランくんが少しおどけた様子で誘って来たので、私もそれにのって手を重ねた。


ラフィスタ家の予想では、大人数にダンスを誘われにかねないので事前にダンスの相手は決められた。

王様、父様、そしてクラスメート10人

クラスメートは全員公爵、侯爵、伯爵家の出身で親交があるのでデビューの夜会での相手として不足無いとの理由だった。


見られている視線はやっぱり多い

でも1番緊張するシロさんとのダンスに比べれば楽なもので、休憩を挟んではクラスメートのみんなと近況を話しつつダンスを踊りきった。





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