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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子と舞踏会①

結局、近衛騎士団長は苦虫を噛み潰したような顔で了承した。

私も殆ど知らない人に手とは言え口付けはされたくないからゴードンさんと近衛騎士団長さんの会話中は黙っていた。


今は舞台袖から玉座の前に立っているシロさんが話しをしているのを見ていた、そして


「神子、マリア・ラフィスタ辺境伯令嬢、御入場ーー!!」


コールマンの声が響き渡る

よし!出番だ!

エスコートされて表へ出る、玉座前にシロさん達王族が待っていて私を迎えた

エスコートは近衛騎士団長からシロさんに替わり、前を向いて後悔した


う、見なければ良かった・・・


眼下には数百人の貴族が全員頭を下げて微動だにしない

玉座は数段高い場所になっていて、その全てが見渡せた

人、多すぎぃ、ひいっ

緊張で膝が震えるもシロさんの握った手に少し力が入ったので、なんとか堪えられた

フィリアと目が合うとニコリと笑顔で親指を立てた


うん、大丈夫、大丈夫・・・

悟られないように小さく息を吸って言った


「皆、楽に」


なんとか声が震えずに言えた!

私のセリフはおしまい、もうムリ・・・

一斉に数百の視線が刺さるし、もう眼下に目線落とせない遠くを見ておこう・・・


ザワザワ・・・

(あれが神子様・・・)(とても華奢ね・・・)(アレで15か)

(可愛い・・・)(二フォンの人は本当にお若いわね)

(ワンコ居る)(でけえ狼だな・・・)(襲ってこないのかしら)


呟きが沢山聴こえるけど、そんなの気にしない・・・


「皆、彼女が神子マリア様である、彼女の協力により瘴気の大半は祓われ、魔物の討伐も進んだ、そして彼女自身も魔瘴の森へと直接赴いて浄化を行った。

此度の国の危難を救った立役者である彼女に、国を代表して国王シルヴェスターが御礼を申し上げる、皆も彼女に拍手をもって感謝を伝えようではないか!」


シロさんがそう呼び掛けると、会場からは割れんばかりの拍手が巻き起こった。


「マリア、本当にありがとう」

「自分の家を守っただけですから」

「本当に謙虚だな」

「もう、こういう場に出ませんよ? 私には荷が重いです」

「はは、神子様にも苦手なものがあったか!」

「目立つのはちょっと・・・」

「分かってる、クロにも娘を衆目に晒すなと口酸っぱく言われたからな、無理に出る必要は無い、あとはダンスだ」

「はい」


シロさんのエスコートで階段を降りる

音もなくサーっと人波は割れ、その中心で止まりシロさんが片手をあげると楽団の演奏がはじまった。

曲に合わせて踊り始める


「マリア、これから大変だが・・・」

「ま、待ってシロさん、話しかけないでっ」

「ん?」

「私っ、話しながら、踊れる程、器用、じゃないから!」


10歳辺りから淑女教育も本格的になったけど

運動神経があまりいい方ではない私はダンスにとても手こずった。

5年続けてた事で最低限、本当に最低限身に付いてはいるけど、こんな数百人が凝視する環境で披露するほど立派なダンスじゃなかった。


「はっはっは、上手い下手をマリアに説く奴は居ない、間違ったら男のせいにすれば良いんだ」

「え、ええっ!?」

「淑女に恥をかかせた男が悪い!だからマリアはパートナーのリードに体を任せれば良いんだよ」

「は、はい」


シロさんはやっぱり王様とあって、とてもリードが上手だ

次はこう、その次はこう、と流れが分かって迷わない。

漸く調子が出てきたところで1曲目が終わった。


拍手が再び起こる、既に近くにはケビン君にエスコートされてエリーさんが来ていた。

私はシロさんから父様にエスコート役が代わり

シロさんはエリーさんの手を取って、2組でダンスを踊り始める。


神子(わたし)のデビュタント、ファーストダンスについては相当揉めたらしい


「マリア、本っっっっ当に綺麗だ・・・」

「ありがとう、父様」

「ああもう、こんなマリアを虫共に見せたくない・・・、減る、マリアが減る、いや、やはり虫は・・・」

「??」


なんか父様がブツブツ呟いたけど何を言ったかは聞こえなかった。

父様とは1番ダンスをしていたのでホッと力が抜けて

話す余裕もあった。






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