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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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閑話 王妃専属侍女

パタリと扉が閉じられる

先程まで神子様とガウェイン様が居た部屋にはマリアを磨いた侍女、王妃が手配した侍女5人が残る。


人の気配が遠ざかり、5人の侍女は深呼吸した


スーーーー・・・




ハーーーー・・・





「「「「「きゃあああああああーーー!!!」」」」」


同時に皆叫び声を上げた。


「ねえねえ、見た!?」

「見た見た!」

「はあー、もー、神子様はガウェイン様がお好きなのね」


「『ガウェインさんのオレンジ色の瞳大好きなんですよね』」

「『とても暖かい気持ちになります』」

「『だからほら、オレンジ色のガーネットのイヤリング選んだんです』」


侍女が口々にマリアの言葉を繰り返す


「遠回しな表現の筈なのに、なんて真っ直ぐな好意なのかしら!」

「自分が言われた訳じゃないのに、あの時の神子様抱きしめたくなっちゃったわ!」

「私も使っちゃおうかな!?」

「ムリムリ!あーんな純粋な印象で伝えられるなんてムリよ」

「だよねぇ、神子様だからこそ?」

「普通に言ったら媚びてるように聞こえちゃうわ」

「ガウェイン様もあの様な顔を為さるのねぇ」

「初めて見たわよ、サンドラとかコニーがガウェイン様に詰まるようにアタックしていたけど」

「ガウェイン様、殆ど苦笑いで引いてましたものね」

「やっぱり決まりなのかしら?」

「決まりでしょ!『俺も、マリアの瞳は好きだ・・・』なんて、耳朶まで赤くなって返したのよ?」

「神子様は宝石と色の意味とか、口説き文句とか知らない様子よね?」

「ガウェイン様は絶対気付いていたわ!」



目の前で繰り広げられた甘い青春の一場面に皆大興奮で話す。



「そもそもガウェイン様のお顔の傷痕を癒す時も距離が近かったし」

「胸に飛び込んで頬に手を当てて、見つめ合っていたものね!」

「アレで好きじゃないなんて嘘よ!」

「わたくしキュンとしちゃったわ」

「わたしもよ!」「私も!」


「はあ、でもガウェイン様も売り切れかあ・・・」

「お城一番の優良物件が・・・」


爵位は継がないが伯爵家出身の次男ガウェイン

18歳で上級騎士、23歳で騎士団副団長に就任した彼はとてもモテた。

サラサラの金髪、温かみのあるオレンジ色の瞳で美形

生来、ルクシード伯爵家の血がそうさせるのか女性は基本苦手な彼は令嬢に言い寄られても適当に流せなかった。

そんな彼を見て「押せば行ける」と思う侍女令嬢は少なくない。


「御相手が神子様じゃ、張り合うのもねえ?」

「無理でしょ、神子様の立場を抜きにしてもラフィスタ辺境伯家令嬢だし」

「何より、ガウェイン様のあんな表情見たことないもの、お二人の間に入るなんて不毛よ」

「そうね・・・」

「サンドラとコニーに教えなきゃね」

「可愛そうだけど・・・」


その日からガウェイン(23)は令嬢に言い寄られる事が激減する

代わりに弟ハルシオン(21)に熱い視線が送られる事になるが、それはまた別のお話。





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