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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
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神子、再会する。

国王一家と入れ替わりでガウェインさんが部屋に来た




「マリア、成人おめでとう」

「ありがとうございます!」

「それと・・・」

「?」

「とても綺麗になった・・・」

「ふあっ!?」


突然ガウェインさんに言われて顔が熱くなる

変わらないオレンジ色の瞳がそこにはあった


「あ、あ、ありがとう、ございます・・・」

「ああ・・・」

「・・・」

「・・・」


いけない、5年ぶりに再会して、色んなこと話したかったのに真っ白になって何も思い浮かばない、えと、えと・・・


「あ、そ、そうだ!ガウェインさん騎士団副団長就任おめでとうございます」

「ありがとう・・・」

「・・・」

「・・・」


会話が続かない、


「まいったな・・・、手紙に書ききれなくて話したい事が沢山あったはずなのに上手く言葉にならない」

「わ、私も・・・」


2人でおかしくなって笑いあった

ガウェインさんの顔を見ると頬に爪痕が・・・


「ガウェインさん、頬の」

「ああ、これは討伐任務でね」

「良かったら治しますよ」

「お願い出来るかな、俺は気にしないんだけど母上が気にしていてね」

「はい、任せて下さい」


そっと右手でガウェインさんの頬に触れてヒールを掛けた

傷痕は跡形もなく消えたのでホッとした。

近くにはオレンジ色の瞳が、ああやっぱり綺麗だなぁ





「ま、マリア・・・」

「え?」

「近い・・・」

「?」


ふと、自分の体勢を確認する

右手は頬に、左手はガウェインさんの胸板に添えていて

ハッと気付く、まるで恋人が寄り添うような体勢になっていた。


「あわわっ、ごめんなさい、つい」

「い、いや、・・・つい、とは?」


「あ、私、ガウェインさんのオレンジ色の瞳大好きなんですよね、とても暖かい気持ちになります」

「っ!?」


カッと目を見開くが、意地で持ち堪えるガウェイン

瞳が好き、と言うのは口説きの常套文句である

普通は男性から女性へ言うのであるが・・・


しかし、無慈悲にも無自覚にもマリアは追い打ちを掛ける


「だからほら、オレンジ色のガーネットのイヤリング選んだんです」


マリアの耳にはオレンジ色の宝石が付いたイヤリング

無論、自分の瞳の色を知らないガウェインではないので、激しく動揺する。


アクセサリーの贈り物の定番に、自分の髪の色か瞳の色の宝石をあしらったアクセサリーを贈るというものがある。

これは好意を伝える表現のひとつで

そのアクセサリーを受け取り、身に付けて来るというのは

貴方の好意を受け入れますよ、私も貴方の事が好きですよ、という暗黙の了解であった。


つまりマリアの言葉の裏を察するに

『好き』と告白されているに等しいものであった。


マリアは宝石と色の関係を知らないので告白したつもりはないのだが

この部屋に居るレインは無表情を装い

そしてマリアを磨いて待機していた城の侍女5人は目を爛々と輝かせて今の状況を脳に焼き付けていた。


神子様がガウェイン様に好意を抱いている!


鼻息が荒くなるのを堪え、一字一句聞き逃さないと集中していた。

外から見れば無表情に澄ましているのだが、その中身は大興奮している、城の侍女の優秀さが発揮されていた。



ガウェインは片手で口を覆い、真っ直ぐな好意を示したマリアを見られず視線を逸らしながら言った


「お、れも、マリアの瞳は好きだ、」



なんとか口にした言葉、それは想いを受け入れる言葉に相違なかった。



(((((きゃああああああ!!)))))

侍女達は内心悶えた、無自覚に好意を伝えるマリアにも

耳を真っ赤にして不器用に応えるガウェインにも


(なんなの!?これ!!はーーもーー!尊い!ムリ死ぬ!)

甘酸っぱい青春を繰り広げる2人に、それはもう生温い視線が注がれたのは言うまでもない。

娯楽が元々少ないので噂話も立派な娯楽

侍女達は恋バナが大好物だった・・・







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