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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第三章 平和、そして2度目の王都。
55/109

神子はツルツル。

いきなり変な事があったけど気を取り直して身支度を始める。

あ、聖女様には格好を揶揄されたけど、どうせすぐ着替えるんだからと簡単なワンピースで来てたんだよね。

安物みたいな言い方されたけど金貨1枚もする服

ジェラート換算50個分、決して安いものじゃないよ!


お城の侍女さんはとてもパワフルだった


「きゃあ!神子様ったら本当にお綺麗ですわ」


「お肌はスベスベできめ細かく、御髪も漆黒でサラサラ、羨ましいですわ」


それはもう揉みくちゃにされた

数人がかりで体を洗われて、その後オイルマッサージやら何やらボディーケア、ツルツルにされた。


「神子様に触っちゃった!うふふ!」


無用のお触りがあるのは気のせいじゃないよね?


拒否権は無い

途中軽食を摂りつつも侍女さん達の手は止まらず髪や爪のケア

朝から夕方までそれは続き、ドレスを着させられた時には空は真っ暗になっていた。


姿見で自分の格好を確認するとそこには美少女が立っていた

自分で言うのもなんだけど滅茶苦茶化けた


髪はエンジェルリングで光り輝き

肌はしっとりスベスベ、

頭に戴くはプラチナとダイヤモンドのティアラ

純白のドレスは金糸の刺繍と細やかな意匠のレース

胸元には真紅の薔薇の生花で出来たコサージュ

耳には自分で選んだオレンジ色の宝石、ガーネットのイヤリング


何が凄いって、ともすればバランス悪い不格好になりそうなものが不思議と調和して綺麗なんだよね

お城の侍女さん達の腕が凄い・・・

そりゃあ、ふー、とやり切った表情にもなるよ。


「ありがとうございます、とても綺麗にして頂いて・・・」

「そんな!こちらこそ神子様のデビュタントをお世話出来るなんて、生涯・・・、いえ末代までの誉れでございます!」


末代と来たかぁ・・・

いや、うん、200年に1人の神子だから大袈裟ではないけどさ、気恥しいけど侍女さん達が皆満足しているし

私が水を差すのもアレだ。


「ありがとう、皆様に心からの感謝を」


笑顔で御礼を言うと部屋に居た侍女さん全員が逆に頭を下げ返して来たので、これはキリがないなとお礼もそこそこにした。


——————————————————————————


「マリア様、本当にお綺麗ですよ」

「ああ、お嬢綺麗だ」

「ありがとうレイン、ゴードンさん、父様達は?」

「間もなく到着すると思います」


部屋にはレイン、ゴードンさん、シルヴィーが居る

トーマスさんは「ちょいと確認に行ってきます」と言って何処かに行ってしまった、確認?


話をしていると父様より先に王様シロさんと王妃様エリーさん、朝出会った第一王子コーディーさん?、第三王子ケビン様?、王女フィリア、もう1人は第二王子様かな?


「失礼する、おお・・・マリア美しくなったなぁ」

「ええ、本当に」

「ありがとうございます国王様、王妃様」


声を掛けられたので、ちょこんとドレスを摘んでカーテシーで返す

するとシロさんエリーさんは目を丸くして笑い始めた


「ははは、これは本当に素晴らしい淑女になったようだな」

「ふふふ、シロさんお久しぶりです、エリーさんも」

「お久しぶりね、マリアさん」


「マリア!綺麗、神子様みたいね!」

「一応、神子だよ? フィリアさん、それにフィリアさんも綺麗」

「ありがと、でも今日の主役はマリアだからね頑張りなさい?」


王族一家も皆正装で着飾っていた

5年間文通をしていて、自然と敬称がなくなった気軽な呼び方になった人が何人か居る。

シロさんやガウェインさん、クラスメートの何人かも気安い仲になった。


今回のパーティーは辺境の平定記念と成人15歳のデビュタントに神子のお披露目を併せた夜会になる。

そこで最大の功労者ラフィスタ辺境伯、私は15歳かつ神子なので、主賓として参加するのだった。


ん?なんかコーディー王子とケビン王子がポケーと口を開けて止まっている


「貴方が神子マリア?」

「はい」

「貴女が作り出した回復薬、とても興味深かった、また研究に協力してくれないかな?」

「へ?」

「フリードリヒ先に挨拶をしろ! すまんマリア、こやつは第二王子のフリードリヒ、見ての通り変わり者なんだ」

「あ、いえ」

「霊薬は再現不可能だったけど、回復薬にヒールを込めるのは画期的だった、お陰で品質が向上して助かった者も多かった、ありがとう」

「そうなんですか?」

「うん」

「フリードリヒ、今日の所はそれくらいにしておけ、マリア今度暇な時にでも少しフリードリヒの薬の研究に付き合ってくれないか、魔物討伐は終わりかけていると言っても薬が良くなって困る事はないからな」

「はい、私で良ければ・・・」

「違う」

「?」

「マリア、君でなければダメなんだ、君しか・・・」


「・・・」

なんか、プロポーズみたいな事を真顔で言い出したよフリードリヒさん。


「フリード兄様、それではプロポーズしているみたいですわ、誤解を与えますから気を付けになって下さい」

「ん? ・・・分かった気を付ける」


確かにフリードリヒさんは悪い人じゃないけど、シロさんの言う通り少し変わった人かも知れない。

うん?


ふと第三王子ケビンと目が合うマリア


「・・・マリア、嬢、」

「・・・はい」

「あの時の俺は本当に馬鹿な子供だった、改めて謝罪する、申し訳ない・・・」

「あ、いえ、別に気にしてません、()()()()


にこり、いや本当に気にしてないよ

だってあの場でケビン王子はフィリアにボコボコにされて両頬真っ赤に腫らしたからね

寧ろ心配したくらいだ。


「うっ、すまない、本当に勘弁して欲しい、様はやめてくれ・・・」

「はい、ケビンさん、で良いですか?」

「あ、ああ!」


ぐっと噛み締めるように気まずい顔をしていたケビンさんは、ニカっと笑った。

5年前は凄い我儘王子って感じだったけど、今は18歳?

とても大人になった感じがする、何かあったのかな?



「これなら全然いけるな・・・」

第一王子コーディーさんとは特に話す事もなく何やら小声でぶつぶつ呟いていた、聞き取れなかったけどなんだろ?




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