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クロード・ラフィスタ辺境伯②

「気に食わんな・・・」


上がってきた報告書に目を通したクロードは吐き捨てる様に言った。


「何か問題でも?」

「・・・見ろ」


ゴードンが見せられた報告は毒沼の調査結果、ではなく


「ガウェイン・ルクシード報告書」


そこにはありとあらゆる本人の詳細な情報と交友関係等が書かれている。

ゴードンとセバスはサッと斜め読みで目を通したが、特に何も無い、犯罪歴も女性付き合いも、交友関係も全くもって問題のない人物だというのが分かる。


「何が気に食わないんですか、18で上級騎士なんて凄いし、性格も身の回りも問題ないように思うのですが?」

「・・・これでは潰せない」

「「・・・」」


まだ引っ張っていたのか、この人は・・・

と2人は呆れる。


「旦那、お嬢は何も自覚してませんよ、せいぜい近所に居る格好良いお兄さんぐらいの・・・」

「く、しかし!」

「奥様に、ご相談しましょうか」


セバスのひと言にビクリと肩を揺らして固まるクロード

そう、マリアの前に12歳になったマリアベルの婚約者話についても似たような事を言い出したクロードは妻ソフィアに完膚無きまでにお説教されている。


「旦那、そんな事より」

「そんな事だと!」

「・・・お嬢がつまらなさそうに本読んでました」

「奥様とマリアベルお嬢様と離れるのは初めてですからね、寂しいのかもしれません。

レインも「旦那様の所へ行っては?」と勧めたそうですが、「父様は忙しいから・・・」と言っていたそうですよ」


その話を聞いたクロードは徐ろに立ち上がり無言で執務室を出ようとする


「旦那様?」

「週に一度は必ず空けろ、あと可能な限り午前か午後どちらかは空けるように調整してくれ、今から出掛けるからゴードンも来い」


そう言い残してサッサと出て行く、行先は決まっていた。

ゴードンとセバスは見合わせ、苦笑して動き始めた。




その後、毎週の様に街を歩く父娘の姿があったのは言うまでもない

隣には大きな銀狼も付き従っていたそうな・・・





街に居る誰もが好意的な目で見守っていた

神子の地には日に日に増える観光客に商人、移住者が増え

それに反比例するが如く、魔物被害が減っていく

領地で疫病が流行ってもスグに終息する


誰が何をしているのかなんて確認するまでもないと皆理解していた。

だから変わらず、それらしい人物を見掛けても話し掛けたり、野暮な事はしないと暗黙の了解が出来上がっていった。


食事に行くと盛りに盛られた料理が出て来たり

神子様が好きだと言うジェラートが山盛りであったり

ソフトクリームが10巻きで渡されたりというのは気の所為である。

お忍びしているのだから誰も知らない、何も知らない


そうして5年が過ぎる。






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