神子のパワフルな姉。
バーーーン!!
「ばあや!新しい家族のマリアよ、私の妹になったの!」
「おやおや、お嬢様どうなさったんですか」
バーーーン!!
「ジョージ!妹のマリア!神子様なの!」
「ええっ!?」
バーーーン!!
「トム!マリアよ、私の妹になったから優しくしてあげてね!」
「はじめましてマリアお嬢様」
バーーーン!!
「きゃーー!」
「ごめんなさいシシー、着替えてたのね」
ベル、姉様は凄い勢いで広い屋敷の中をズンズン進む、部屋の扉をバーンと開けては中に居る人を紹介してくれた。
私は手を握られているのであっちへこっちへと引っ張り回される。
ばあやさんはお祖父さんの乳母を務め、数十年に渡りラフィスタ家に仕える生き字引、何でも知っている。
ジョージさんは料理人で国中の料理を知っている
トムさんは庭師で息子であるカイさんと共に敷地内の管理をしている。
と、どんどん私に知り合いを作ってくれた
ひとりだと思っていた私にとってそれは嬉しく、手を握って引っ張る温もりはとても頼もしかった。
マリアベル、姉様と呼ばないと怒るのでベル姉様と呼ぶととても明るい笑顔で沢山この世界の事を教えてくれた。
「ラフィスタ辺境伯家の御先祖様は200年前、先代神子様と結婚したの、つまり神子様の系譜を継いだ家なんだけど、結構当時の日記とか記録が残ってるのよ。
その中には神子様がニフォンって言う島国から来た事や魔法が無い事、色々と書いてあるの。」
姉様は風と火の魔法に適性があるらしい
大きな広場、訓練場に移動して魔法を見せてくれた。
「見て!」
ヒュゥゥゥと姉様の手に風が集まり始めた、それを遠くの的に向かって撃つと、ドガン!と音を立てて的は粉々に砕け散った。
「凄い・・・」
「マリアも使えるわよ、得意不得意は有るけどね」
「え、私も?」
「ええ」
そう言って私を抱き締めるベル姉様
「姉様?」
「集中して、魔力を流すから」
「うん・・・」
抱きしめられて姉様の体温を感じていると、明らかに体温とは違う熱さを持った何かが体に流れ込んで来た。
「分かる?」
「うん、熱い・・・」
「これが魔力、あとはやりたい事を思い浮かべて魔力を使うだけよ、ただ適性がそれぞれあって全く使えない訳じゃないけど余計に魔力を消費したり上手く発動しなかったりするの、多分マリアは光だと思うからヒールが使える筈よ。
怪我や病気を治すイメージでヒールって唱えてみると良いわ」
「ん、」
抱擁から解放される、熱は体に宿ったままなのでそれを意識して魔法を使ってみた。
怪我や病気を治すイメージ・・・
「ヒール」
言った瞬間、突如パァっと光に包まれた
とても暖かく柔らかい光、心がホッとした気がする。
やっぱり凄いわ!とベル姉様に頭を撫でられ、ほっぺにキスされたので少し恥ずかしかった。
姉様によると魔法の基本属性は火水風土の4属性、そして希少属性の光と闇があるらしい。
光を代表する魔法は癒しと浄化、4属性は適性が無くてもそれなりに扱えるけど、光と闇に限っては適性が無い限り扱えない魔法との事。