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聖女②

「地方の浄化活動?」

「はい」


異世界に来て3年、コーディーとお茶の時間を楽しんでいた時に宰相のラディクスさんが現れて言ってきた。

聖女の力で何ヶ所か瘴気の濃い地方を3ヶ月程掛けて回って欲しいと言う。


めんどくさいなぁ・・・


「田舎の神子様は? その人に回ってもらったらいいんじゃないんですか?」


聖女召喚と同時に同じく日本から神子様と呼ばれる存在が田舎の領地に降臨したと聞いていた。

聖女と同じ力があるならその人でもいいじゃん?


「神子様は未だ幼く、手が回りませんので聖女アリス様にお願いしたく存じます」


この宰相さん苦手なんだよね

なんか、何考えているか分からないし、笑った所も見た事ない仏頂面だし・・・


「ラディクス、本当にアリスじゃないと手が回らないのか?」

「はい、光魔法の使い手は希少で、既に各地に派遣した騎士団分で手一杯です」

「城に居る者は」

「・・・城の医療業務を聖女様に担っていただけるのであれば、それで」

「仕方ないな・・・、アリス一緒に行くぞ」

「えー」

「浄化業務と言っても領地の街に泊まるし、楽な行程になっている、只の旅行さ、ずっと城に居るのも少し飽きて来ただろ?」

「コーディーが言うなら良いけどぉ、あ!じゃあ前に言ってた舞台見たい!あと欲しい物有るんだけど」

「構わない、良し決まりだ、ラディクス良いな?」


「・・・・・・はい」


了承を得た宰相は無感情の顔でそのまま下がって行った。

その心の内は冷え込んでいて、第一王子と聖女を見ていたのを2人は知らない。


聖女の評判はあまり良くない

治療は週に1度、それも重傷者は1人か2人治すと気分が悪いとスグに引き上げてしまう

平和な国から来たとは知っていたが、もう3年

いい加減慣れて欲しいという不満がある


異世界から攫ったという負い目があるのも事実だが

既に謝罪を終えて、慰謝料の支払いも完了していた

つまり償いは終わり、後にあるのは聖女の力を借りる対等な関係である。


慰謝料に関しては裕福な高位貴族が一生遊んでも余りある内容になっていた

屋敷、土地、宝石に金銭、これらを召喚に関わった王国と教会で半分ずつ負担。

契約書を何度も確認の上、国王、王妃、宰相、聖女、教会立会の上で召喚の件は清算している。



勿論清算したから追い出すなんて事は無い

保護しなければならない身の上なので城に住まうのは問題ないのだが

ここ最近の出費は、聖女としての活動に全く見合っていない額になりつつあった。


そしてコーディーも王子という立場でありながら

浄化活動を「旅行」と称している

騎士達が命懸けで魔物を倒し、安全を確保した上で土地の浄化に行くのだから、それを知っている筈の王子が「旅行」と口に出してしまうのは些か問題があった。


宰相の見る目が冷たくなるのも仕方が無い・・・





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