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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
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神子、辺境へ帰る。

北の森の討伐戦から数日後、私は辺境伯領地へと戻る馬車の中に居た。


ガウェインさんに運ばれて眠っていた私

目覚めると既に屋敷のベッドで寝ていた

姉様に聞くとぐっすり寝込んだ私を起こすのも可哀想だと、屋敷までガウェインさんに抱えられたまま運ばれたらしい・・・

う、御迷惑をかけてすいません・・・。


その後、騎士団長さんらと魔術師団長、そして討伐隊代表でゴードンさんも交えて話し合いが持たれた

瘴気の毒沼に関して、これまでは基本放置していた

私を筆頭に聖女様や光魔法の使い手で周囲の瘴気を地道に浄化していれば瘴気の毒沼が消えると言った考えは実は間違いで、瘴気の毒沼が全ての中心である事。


北の森は1年程前には討伐が終わって治めた土地だったのだけど、この1年でアレだけ瘴気を生み出して強力な魔物を作り出した事を考えるとしっかり瘴気の毒沼は浄化する必要があると結論付けられたのだった。


辺境伯領地にある魔瘴の森は私が来てから3年、そういった事が起きなかった。

それは私が常に領地に居て定期討伐で森の手前まで何度も足を運んでいたから瘴気が一定濃度を超えなかった為に何も無かったのだろうと・・・

現在、私が王都に来て、辺境伯領地を離れて約3ヶ月

北の森の様な出来事が魔瘴の森で起こる、そんな予想が経つのは容易だった。


魔瘴の森は特に濃い瘴気を含む土地

北の森が1年でああいった状態になったので、魔瘴の森は更に短い期間で起こりうるだろう・・・


慌てて準備を整え、急遽辺境へと帰る事にした。


学校にも慣れてきてクラスの人とも雑談出来るくらいに仲良くなってきたから残念だけど、何を優先するかなんて考える必要は無かったと思う。



帰るのは私、シルヴィー、私付きの侍女レイン、護衛のゴードンさん達。

兄様と姉様は学校があるので残り、母様も残る

帰りの馬車には私とレインだけだ、寂しい・・・



出発の日の朝、見送りには兄様姉様母様以外にも結構来てくれた。

第一騎士団長ランスロットさん、王様シロさん、王妃様、王女フィリアさん、そしてガウェインさん


「マリア殿すまない、貴女には不便を掛ける」

「ごめんなさいマリアさん」

「シロさん、大丈夫!故郷を守りに戻るだけですから好きでやっていることです!」

「かたじけない、この恩には必ず報いる」

王様と王妃様は申し訳ないと頭を下げるけど、別に気にしていない。

家を守るだけなのだから



「マリア様、騎士団を代表して御礼を、第一第二共に見送りたい者が沢山居たのですが御迷惑になると思い私だけで見送りさせていただきます」

「ランスロットさん、気を付けてくださいね霊薬は作れるだけ薬師の皆さんに預けましたので」

「はい、ありがとうございます」


「マリアさんと折角仲良くなったのに・・・」

「フィリアさん姉様をお願いします」

「わたくしとしてはマリアさんの方が心配だけど承ったわ、元気でね」

「うん!」



「マリア、様、」

「ガウェインさん・・・、森ではお世話になりました」

「いえ、世話になったのはこちらの方です」

「これ、あげます、」

「これはっ!」

「シー・・・、秘密ですよ?」


チラっとランスロット団長さんと目が合ったけど知らないふりをしてくれた

ガウェインさんに渡したのは霊薬

その効果と希少性からあまり個人に渡すのは良くないと言われている

北の森で私を庇い、大怪我を代わりに負ったガウェインさんが少し心配だったから内緒で手渡す。


「ありがとう、ございます・・・、これでは一生掛けても恩を返せる気がしません・・・」

「恩だなんて、私の手元にあるモノを使っているだけです」

「神子・・・、いえ、、私も本当は良くないのですが・・・」


「え?」


「マリア、貴方に忠誠を」


ガウェインさんは恭しく私の手を取って手の甲に口付けた。


「へぇっ!!?」


突然の事に顔が暑くなった、その後の事は全く憶えていない

気付けば馬車の中、気付けば王都の外・・・


「マリア様、寂しゅうございますね」

「うん・・・」


「まさか陛下まで来られるとは思いませんでしたね」

「うん・・・」


「学校も残念でしたね」

「うん・・・」


「魔瘴の森、心配ですね」

「うん・・・」


「ガウェイン様、とても素敵でしたね」

「うん・・・、・・・・・・っうん!?」


ハッとしてレインを見るとクスクスと笑っていた


「レイン?」

「どうされました?」

「・・・初めてのキスだったから」

家族以外からの、挨拶以外の。


「はい」

「だから、その」

「お嫌でしたか?」

「え、あ、違うの、ただ・・・」

「はい」


「なんか、ドキドキしたの」

「はい」

「あとは、分かんない・・・」


自分のことなのに考えがまとまらない

どうしたんだろう、なにこれ?


「ソフィア様もロイド様もマリアベル様も心配していましたよ、マリア様、全部上の空でしたので」

「だ、だって、ガウェインさんが突然き、き、き、キスするんだもん!」

「ふふ、そうですね」


対面に座っていたレインはずっとニコニコとしていた・・・




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