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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
38/109

神子、またもや力尽きる。

目を閉じて全力で浄化をする、集中集中!

認識票で魔力を確認すると5分の3は残っていたので少しだけ残して全部使っちゃおう。

空っぽにすると気絶しちゃうしね・・・





ザアアア・・・、チチチチ・・・


目を開けると、毒の沼地は消え

青々とした緑が戻り、爽やかな風が通り抜け、小鳥が囀っていた。


「よし!っと、あれ?」

「マリア!?」

「お嬢!」


後ろに居る姉様達を振り返ろうとした瞬間

身体の重さを感じて思う様に足が動かず、その場にへたりこんでしまった。

認識票で魔力を見ると 1800/29400

結構余裕を持って残したつもりだったけど

残魔力というよりは一気に魔力を使うと身体に負担が掛かるみたいだ・・・


「わう!」

「ん、シルヴィーくすぐったい!」

ぺろぺろとシルヴィーがなめてくる


「マリア大丈夫?」

「うん、少しだけ疲れました・・・」

「シルヴィーに乗せてもらおっか?」

「わう!」


いいよ!と明るくシルヴィーは吠えた。

しかし、

「その任、私に任せて貰えませんか?」


ガウェインさんが神妙な顔付きで私を運ぶと言った。

なんと私に危害が及んだ事に責任を感じているらしく

せめてもの罪滅ぼしに自分に任せて欲しいとか。


と言われても完全に不意をつかれた出来事だった

誰が悪いのかなんて


私を完璧に守るなら大盾を持った騎士さん達が周りを囲むしかない、でもドラゴンや大鰐を相手にする為に大盾を持った騎士さん達は前線に居たしで、タラレバを言い出したらどうしようもないのだから。


そもそも数十cmから1mくらいの岩が物凄い速度で飛んで来て、怪我人は出たものの死亡者は居ないのだから、ではダメなのかな?

それに岩が飛んで来て1番大怪我したのは私とシルヴィーを庇ったガウェインさんだったんだよ

私に岩が直撃していたら確実に死んでた、魔物の頑丈な革で作られた装備に身を固めているとは言っても所詮は革

シルヴィーも頑丈と言っても生身だ。

騎士さん達のように金属製の鎧を着ていなければ防げるものでは無かった。

なんてったってガウェインさんの鎧の背中部分は砕けていたのだから・・・


失態というよりは命の恩人なんだけど・・・


「待てガウェイン、今回の事は貴様の責任ではない」


とランスロット団長さんが言っても納得していないようで、結局本人の気が済むならとガウェインさんに運ばれる事を了承した。



「・・・」

「揺れは気になりませんか?」

「だ、大丈夫です」


うん、断っておけば良かったね?

だって衆人監視の中、お姫様抱っこで運ばれてるんだもん。

恥ずかしい・・・

ガウェインさんは鎧を脱いでいた、背中部分が砕けたので前には辛うじて残った胸当てが私を運ぶには邪魔だと外して抱かれている。

父様とは違った、初めて感じる家族以外の人の温度にドキドキする・・・


シルヴィーはガウェインさんの横に付き添って離れない

姉様は少し離れて部隊隊長ゴードンさんと副隊長トーマスさんと何か話していた。

偶にこっちを指さして笑っているのは気のせい?


「本当に申し訳・・・」

「ガウェインさん貴方は命の恩人ですよ、ありがとうございます」

「ですが・・・」

「貴方が居なかったら私はペチャンコになってました、胸を張って下さい」

「はい・・・」


まだ気にしてるのかなあ?

そっと手を伸ばしてガウェインさんの顔に着いた炭や泥を手で拭って言った


「ガウェインさん、私は貴方に感謝しています、それでは足りませんか?」


「っ、いえ、ありがとうございますマリア様」


感じた恩の価値は人それぞれ、ガウェインさんのお母さんを助けた時に母様に教えられた事だ。

もっと上手く言えれば良かったんだけど伝わったかな?

あ、でもずっと逸らしていたオレンジ色の目が合ったから伝わった、よね・・・

つかれた・・・


みんな、いつも、こんなのやってるんだあ・・・


カチャ カチャと歩く音に、程よい振動

ガウェインの腕の中でそのままマリアは疲れに任せて眠った。








「ありがとう、マリア・・・」



頭にそっと当てられた柔らかい感触をくすぐったく感じながら・・・






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