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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
37/109

神子の守り手。

「———アッ!」


うー?


「リア!」


「マリア!」


「・・・姉様?」

「ああ、良かったマリア・・・」


目を開くと目の前には姉様が心配そうに覗き込んでいて

ホッとした表情でおでこを撫でられた

シルヴィーもクーンと鳴き私を舐める。

あれ?なんでこんな事に・・・


「姉様?」

「憶えてない? 魔物を焼き払って、マリアが魔法を唱えた後にあっちでたたかっていたドラゴンが暴れて岩を尻尾で砕いたの、その破片がこっちまで飛んで来たのよ。

それでシルヴィーが覆い被さって、更にガウェインさんがシルヴィーの背を守るような体勢だったんだけど、3人とも数m宙を舞ったから血の気が引いたわ・・・」

「あ・・・」


そっか、目の前がシルヴィー銀の毛に覆われたのは覚えている、そこに衝撃があった感覚も残っていた。


「ガウェインさんは?」

起き上がろうとしても視界が歪んでクラクラした

そんな私を姉様が押し留める


「大丈夫、怪我はしてるけど回復薬を口にしたから命に別状はないわ、それよりマリアこれを・・・」


姉様が差し出したのは私が作った霊薬だ

ラフィスタ家は使用人を含め全員に霊薬が行き渡っている

勿論シルヴィーの首輪にも1つ提げて、いつでも使えるようにと。

自分の物はと、胸元を探るとびっしょり濡れているので割れてしまったみたい

シルヴィーの首輪に下げている霊薬を見ると、そちらも割れていた。


「私より他の怪我人に・・・」

「ダメ、マリアが飲んで、それに回復薬が足りてないから、これを飲んでからマリアが皆を治してあげて、ほら!」

「ン・・・」


グイと無理矢理姉様に飲まされる

クラクラとした目眩と吐き気が収まって立ち上がれる様になると周囲の状況に驚いた。


姉様は砕かれた岩の破片と言ったけど、近くにあるのは数十cmから1m近い岩そのもの

ドラゴンからは100mは離れていた筈なのに、こんな物がここまで飛んで来た事に驚く、そして周囲に居た筈の騎士さん達にも複数大怪我した人が出ていた。

骨が折れていたり、鎧がベッコリへこんでいたりと相当な速度で岩が当たった事が解る。

あんなものが私に直撃していたら多分死んでいただろう・・・


姉様とシルヴィーは汚れているけど怪我はしてなかった事に安堵、気を持ち直して治療を始めた。

ガウェインさんは鎧の背中側が完全に砕けていた

頭からも血を流している


「ガウェインさん!」

「マリア・・・?無事で、良かった・・・」

「はい!ありがとうございます、すぐ治しますから!ヒール!」


魔力を多めに注いでしっかり治す、他の騎士さん達も同様に・・・

その間にドラゴンは倒されて慌てた様子でゴードンさん達とランスロット団長さん達が戻って来た

岩が直撃したのは見えていたけどもドラゴンで手一杯、こちらに救援を回す余裕が無かったらしい


前線を下げると怪我人に近付いてしまう、出来るだけ速く倒していくしかない。

そう言うゴードンさん達も流石にドラゴン相手のせいか怪我をしていたので治す。


「お嬢、魔力は・・・」

「浄化分はあると思う、任せて」


とは言え、凍らせた毒の沼地は結構広い

深呼吸して残りの魔力を使い、浄化を始める

肌には重苦しい空気、感覚的には森に入る前に使った浄化の風では足りない



「んんっ!」


マリアの全身から真っ白な光が溢れる、神の力にして浄化の力

並の人の身にはまず宿らない強力な浄化の光が周囲を照らす。


騎士もゴードン達も、姉のマリアベルでさえも息を飲み驚く

光を浴びた紫色の毒々しい瘴気沼が消えて草花が姿を見せたからだ

枯れ果てた倒木からも新芽が芽吹き、メキメキと育って森が再生されて行く



通常の浄化とは一線を画す力だった。





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