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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
31/109

神子、2人になった姉。

「だから!マリアには白だって!」


「いいえ、真紅が似合うわ!」


私の部屋で言い争う2人、ベル姉様とフィリアさん

入学して同じクラスになったそうで

姉様は私からお城で王女様に会っていたと聞いていて

フィリアさんは私からラフィスタ家の事を聞いていた縁でお付き合いする様になったとか。


「赤はマリアの色じゃない!」

「そんな事言ってマリアさんの衣装室の服偏り過ぎよ!」

「似合うのだから良いじゃない!」

「限度があるでしょ!」



うん、フィリアさんとベル姉様似てるなあって思ったけど

やっぱり似ていたね?

喧嘩腰な会話に聴こえるけど、険悪な雰囲気はないから大丈夫、多分・・・

今2人が選んでいるのは私の新しいドレスの生地

毎日楽しそうに学校の話をする姉様に

「いいなぁ・・・、ベル姉様楽しそう」

と、何気なく言ったら


「じゃあマリアも一緒に行きましょう?」


となり、あれよあれよと私の仮入学が決まりました、いいのかな?

私はまだ10歳、学校は12歳から入学で姉様が入学したばかり

兄様は3年生として在学中です。


仮入学なので私は私服で良いらしいのですが

貴族の私服=ドレスなので、新しい私のドレスを作る為の生地選びとなります。

私は手持ちのドレスで良いと思っていたら

それはダメらしい・・・


母様曰く

「新しい舞台に行く時は新しいドレスが決まりなの、特にマリアはね?」


ドレスって驚く程高価だから遠慮したかったのに

神子の立場なら毎日新品のドレスを着ても良いくらいだと言われてしまった・・・

もっとドレスも宝石も買っていい、と。


そう言われても既に衣装室にはドレスやワンピースが100ではきかず

靴も20や30ではない

私の体はひとつだよ?足も2本だよ? と言ったら母様は笑っていた。


貴族は無意に贅沢をしている訳ではなく

お金を沢山使う事で町に国民に還元している

特に公の場に於いての私は、同じドレスを着て行っただけで「神子様の生活は大丈夫なのか?」

と心配されてしまう程だとか・・・、ビックリだよ。


ラフィスタ領では私が来てから3年間で収入が格段に増えている

税率は変えていないにも関わらず・・・


魔物討伐が進み、農業、畜産の魔物被害が減った

物資の輸送も同じ理由から安定。

更には犯罪自体も例年の1割以下になっているらしい

理由は全て神子の降臨によるもの。


神子が現れる、瘴気が減る、魔物討伐が進む、魔物が減る


神子の居る土地で犯罪など畏れ多くて足を洗う、または自首して償う


そして、寄付が増えた。

無い袖は振れない、余裕があるからこその寄付だそう





私、何もしてないけど?

まあみんなが幸せになるのはいい事だけどね。




「あ、これ可愛い・・・、こっちも」


「「え?」」


桃色の生地で落ち着いた色合いだ

こっちの藍色も良いかも知れない、生地を手に取って光を透かして見た。


「ふふ・・・」


部屋に居る侍女レイン、サンディ、そしてフィリアさんの侍女もみんなクスクスと笑っていた。


「どうしたのレイン?」

「いえ、すいません、マリアベル様もフィリア様もそれぞれ生地を選んでらっしゃるのにマリア様はマリア様で別の生地を選んだので・・・」


考え事をしていて目に付いた生地を手に取ったから

ベル姉様とフィリアさんの話を気にせずマイペースに選んだ私がおかしかったらしい。


「まあ、マリアはこれくらいで丁度良いけどね、ううんもっとワガママでも良いと思う」

「確かに・・・」

「分かる?」

「ええ、出会ったばかりだけど父様伝いに聞こえてくる話だけでも無欲が過ぎるもの」

「え、そうかなあ?」


「「そうよ!」」


「無欲かなあ? この間だってシルヴィーの首輪を新調してもらったし・・・、あ!露天で簪3本も買っちゃったよ?」

「これよ・・・」

「あのねえマリアさん、シルヴィーの首輪なんて高く見積もっても金貨10枚もいかないでしょ?

簪も露天の物なら銀貨5枚に収まるでしょうし、せめて金貨数千枚レベルで動かしてから贅沢と言いなさいよ・・・」

「数千枚!?だって税金なんでしょ?私のお金じゃないし」

「マリアの手持ち金だけでも金貨数万枚超えてなかったっけ? レイン」

「ええ!?」

「はい、明言は避けさせて頂きますが回復薬の対価だけでも・・・」

「聞いてない!なにそれ!」

「霊薬を作りだしておいてそれは無いでしょうマリアさん・・・」

「フィリアさん待って、霊薬って1本いくらなの?」

「わたくしも詳しくは知りませんが、材料と準備を考慮して国で年間10本も作れないと言えば分かりますか?」


「・・・」


絶句する、自分は霊薬を毎日2本作れる

しかもC級回復薬にヒールを込めるだけで成分が変質して霊薬になるので、大した事はしていない。

只、込める魔力が1本10000程使うだけの物にそこまで価値があるとは思っていなかったのだ。


「マリアベルさん、妹さんに説明されてないの?」

「え?私は細かい事は知らない、母様なら知ってるんじゃない?」

「ああ、貴女は貴女でそういう方でしたね・・・」


ため息をついて呆れるフィリア


マリアは自身の価値に対して無頓着、しかも贅沢の尺度がとても小さい。

霊薬は良くても騎士500人に1本預けられるかどうかの代物が、安定供給される為に今では小隊に1本支給の上、使用条件もかなり緩くなっているのだ。

これに命を救われた騎士も多く、マリアしか製作出来ない事を除いても正に革命級の量産と言える。


先日の騎士団重傷者はそれを持ってしても霊薬が足りない程の大打撃を受けていたのだが

それさえものの数日でマリアは治療してしまった

恩賞が出ない筈がない。


マリアベルはマリアベルで領地では剣を振り回して討伐に参加して暴れる跳ねっ返り

しかも貴族に有りがちな大して実力も無いのに前に出たがるアホではなく、実戦力として剣を振る令嬢。



ラフィスタ家の令嬢は二人共規格外である事を理解した王女フィリアは少しだけラフィスタ家の先が心配になった。


「これが『天才』というものね・・・」

フィリアは呆れたが、当の本人達はどこ吹く風である。





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