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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
25/109

神子、騎士団を助ける。

早速だけど頼まれた、怪我人を治療して欲しいと。


騎士団の療養所はお城から少しだけ離れていた

大きな城壁に囲まれている敷地内、騎士団寮と併設して並んで建っている。

前を行くは第一騎士団団長のランスロットさん


「こちらです」

「この部屋が?」

「はい、一部屋100人、この部屋の団員が最も・・・」

生命の危機のある怪我だと、

部屋をサッと見回す、殆どの人がベッドに寝たきりで静まり返っている

意識が無いか薬で眠らされていて、全員が包帯でぐるぐる巻き。


ラフィスタの討伐部隊でも隊舎横に建てられた療養所でこういう光景を見た。

この世界に来て1番最初に父様に頼まれた事は再起不能に近い怪我や死にかけている隊員の治療だ

辺境の討伐部隊は精鋭100人で行う、精鋭だけあって怪我する人はとても少ない

それでも私が隊舎に行った時は10人程が手脚を無くしていたり、明日明後日にも生命が尽きようとしている人が居たので慌ててヒールを掛けて回った。

血の匂いに震え、失われかけている命を前に怖かった事を覚えている。

回復薬は効かず、他の治癒魔法の使い手でも歯が立たない程の怪我

もし、私でも治せないと・・・



今回は約100人の重傷者、怪我人となると更に400人近い騎士が居ると言う

こんな人数の怪我人が居ると人が足りないのでは?と思ったら、騎士団は第一、第二、近衛と3つあって

第一第二騎士団がそれぞれ1000人前後、近衛が200人程の規模なので大丈夫との事

取り敢えず、目の前の人から順にヒールを掛けて癒していった。


大半の騎士に意識が無いので感覚的に癒したと判断したら次に行く

血を止め、腕を生やし、脚を生やし、生命を生かす。

怪我の度合いが酷いほど魔力を消費する

辺境領地に居る時はこんな多人数に対してヒールを使った事が無い、部隊の規模と騎士団の規模を較べるべくもないけど

最低でもこの部屋の人は今治さないと危ないと思ったので頑張る。


80人を超えた辺りから体が重くなってきた

「っ」

「マリア顔色が・・・」「お嬢」

「だい、じょうぶ」

一緒にそばに居る母様とゴードンさんから心配の声が掛かる

魔力を確認すると2割を切っていた、これまでの治癒の経験から多分ギリギリ間に合うと判断。

指先の感覚が薄くなってくる

最後、魔力はギリギリだった


全身を覆う脱力感に立っている事が出来ず倒れ込むマリア

床に倒れ込む前にソフィアに抱き留められ、暖かさに身を任せたまま意識を失った。



ソフィアは魔力を使い切り倒れた娘を抱きしめ苦笑する

「もう、無理して・・・」

「お嬢は、優しいですから」

「だからって倒れる迄魔力を使い切っちゃうなんて」

「申し訳ございません我らが不甲斐ないばかりに・・・」

「ランスロット、この重傷者の数、聖女様が居るのだろう?どうなってる」


聖女という光魔法に長けた存在が城には居る筈なのに重傷者は多数

軽傷者を合わせると500人もの騎士が怪我人として療養しているのはどう考えても異常だ。


「は、すいませんゴードン団長」

「俺はもう団長じゃない、お前が・・・」

「そういう話の前に、マリアを休ませたいのだけど?」

「は!直ぐに手配を!」

「ゴードンも1度屋敷に戻ってレインと着替えの手配

交替の護衛を連れて来て頂戴、この状態のマリアを馬車に乗せる訳には行かないわ、今日はお城に泊まらせて貰いましょう」

「はい!」




数刻後、騎士団療養所の部屋からは歓喜の雄叫びが上がる事になる。

目覚めたら元の身体に治っていた奇跡に皆感謝を捧げ、マリアは「いつも通り」以上の感謝を今後向けられる事になるのを知らない。





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