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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
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神子、王様に会う。

マリアは苦笑いを浮かべていた。


「神子様、我が国にお越し頂き誠にありがとうございます」


国王、王妃、宰相、近衛騎士団長、魔導師団長、等々

国の要職に就く人物達が自分に頭を下げていたからだ。


部屋は静まり返り、誰も顔を上げようとしない

事前に母様が「頭を上げて、って言うのよ」と言っていた意味が今分かった。


「頭を上げてください・・・」


はあ、とため息が口から溢れそうになるのを必至に我慢した。

全員の視線が刺さる、でも無言・・・

沈黙は数秒程だろうか、漸く宰相さんが口を開く


「神子様、私めがこの場を取り仕切っても宜しいでしょうか?」

「任せます」

「ありがとうございます」

恭しく礼をした宰相さんは王様と私の中間の位置に立ち話し始めた。


内容は・・・


城に来てくれてありがとう。

何か欲しい物無い?何でも手に入れる、しかも無制限。

対価は求めない

ただ出来れば国内に居て欲しい

瘴気と魔物に関して手伝って欲しい、でも強制じゃない。



意外だった

この3年お屋敷で母様と姉様から一般の勉強と共に「神子」についても教えられて来た

その中には200年前の先代神子の功績もあって、まあ端的に言えば「何かをやって国を救け無ければならない」と漠然と考えていた。


実際は神子が現れた時点で瘴気が薄くなり、各地に派遣されていた騎士団からの報告も明るい材料となっていて、それで十分だと言う。

神子(わたし)という存在が楔となって、神様の浄化の力が現世に流れ込んでいる、だから私は居るだけ良い

そういった考えが主流らしい。


そも王国内で最も瘴気が濃かった辺境伯領の魔瘴の森が一時期相当危険な状況だったが

今では討伐も順調で辺境の部隊のみで抑えられそうな功績が大きい。


騎士団の派遣を願う程の危険水域だった辺境が落ち着きを見せたのは神子の功績以外のなにものでもない、と。


更に、私が作り上げた霊薬で騎士団長等の国防の要が命を拾った事もあったらしい。


つまり国としては多大な功を挙げた人物に報いなければと

私に何か欲しいものはないか?

と言う事だとか。



うーん、欲しいものか・・・

正直に言うと無い、だって大好きな家族が居て、優しいみんなが居て、シルヴィーが居る、

「あ」

「何かございますか!」

私が何か思い付いたようだと宰相さんが「何でも聞きましょう!」といった様子でくる


「あー、えっとシルヴィーを連れて歩いても良いですか?」

私個人としては犬扱いしているけど、シルヴィーはれっきとした銀狼

辺境伯領地ならシルヴィーが小さな頃から散歩して歩いたから街の人は慣れている、普通に街中を歩けるし

でも王都はちょっと難しいと思う、人が多いし、子狼の内に出歩いていた訳じゃないしね。


そう言うと宰相さんは眉を寄せてとても困った顔になった

「あ、難しいなら別に・・・」

「ああ、いえいえ違うのです、その程度で良いのかと・・・」

「えっと、じゃあもう1つ」

その程度!その程度ときたか、うーん


「はい!」

「美味しいお肉を・・・」

シルヴィーはいっぱい食べるからね!

特に嫌いな肉は無いみたいだけど、どうせなら美味しいの食べたいだろうし。

ほら、「肉」発言で大人しく待ってたシルヴィーがウキウキした目で見てるし


「・・・」


宰相さんは何とも言えない微妙な顔になって黙ってしまった。


何故?




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