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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
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神子、王都へ行く。

ガッタンゴットン。

馬車に揺られて王都に向かっています

馬車にはソフィア母様、マリアベル姉様、私の3人。

屋根にシルヴィー。

父様は領に残って仕事、辺境伯はそう簡単に領地を離れられないらしい


後ろにはそれぞれ専属の侍女が乗った馬車

周りは第一部隊ゴードンさんを筆頭に、第10部隊の魔導師部隊の護衛陣。


母様は付き添い

12歳のベル姉様は王都の学園に入学する為

兄様は2年前から王都の学園に通っているので既に王都の別邸で暮らしている。

私は10歳だけど、どうやら魔瘴の森の討伐がこの3年でかなり進んだらしく、それに貢献したとして王様から表彰されるらしい。


私は治癒魔法と回復薬製作しかしていない

表彰されるなら実際森で戦っている討伐部隊のみんなだと思うんだけど・・・

それを言ったら、一応第一部隊隊長のゴードンさんが討伐部隊を代表して表彰されるらしい。


それにしても馬車って疲れるね

お尻痛い・・・

道中は2週間掛かる予定だって聞いたけど、こんなのがずっと続くの?


「ベル姉様、お尻痛くない?」

「痛い!いっつも痛い!」

「ふふっ、マリアは長時間馬車に乗る旅は初めてだものね」

「うん・・・」


お尻が痛いからって止まる訳にもいかない、魔物が存在する世界で野宿なんて怖すぎる・・・


宿に到着、ヨロヨロと馬車を降りる

先に降りた姉様が伸びをしながら言った


「ねえマリア、ヒール掛けてよ」

「え?あ、そっか」


言われて気付く、靴擦れとか股擦れは怪我だ

勿論お尻がジンジンヒリヒリするのも・・・

ついでだ、全員に掛けちゃおう。

護衛のみんなも1日馬に乗りっぱなしで疲れてるだろうし、後ろの馬車に乗っていたサンディーやレインもきっとお尻が痛い筈。

母様は平然としてるけど痛い、よね?


という訳で、治癒魔法をバーっと適当に周囲に広げて放つ

「ヒール!」


すると突然私が魔法を使った事でギョッとしたゴードンさんが駆け寄ってきた

「お嬢!どうしました」

「や、その、痛くて・・・」

「痛い!?怪我でもしたんですか!馬鹿な、護衛に問題は・・・、どこです見せて下さい!」

「・・・」「・・・」「・・・」


「だ、大丈夫、・・・りが痛いからヒールしただけで」

「なんだって?お嬢どこが痛いと?」

「だから、ぉ・・・りが痛いから」

「えっ!?」


「だから!お尻が!痛いから!みんなにヒールを掛けたの!」



結局大声で言う羽目になってしまった

恥ずかしくてごにょごにょ誤魔化していたのに、これくらいは察して下さいゴードンさん!

それを聞いた護衛陣、特に筋肉モリモリ隊の第一部隊は

「ケツ?痛かったか?」

「いや・・・」

「ばか!お嬢達はそれはもう柔らかいお尻をしてるんだ、俺達みてえな硬いケツじゃないんだよ!」

「はっはっは!俺達ゃ、鉄のケツを持ってるからな!」


と、最低な事を言い出したのでベル姉様が足下に風魔法の空気弾をドバドバ撃ち込んで黙らせた。

うわぁー!と護衛は慌て、馬はヒヒヒーンと嘶き

女性陣から護衛陣には冷たい視線が注がれ


「レディの前でお尻とかケツとか言うな!」

「ベルも、ケツとか大声で言わないの・・・」


母様は静かに怒りの雰囲気を噴き出し

なんとも混沌とした宿入りになってしまった。


シルヴィーは屋根の上で「グア・・・」と大きな口を開けてアクビしていた。




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