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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第一章 神子、異世界に現る。
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神子、神の遣いらしい。

開けた扉の陰から恐る恐る外を見ると、そこには剣を持った大柄な男の人が二人居た、薄茶色と焦茶色の髪で顔付きはどう見ても日本人ではないのでやはり此処は外国なんだろうか?

あれ、でも日本語を話しているし・・・


「あ、貴方様は、神の遣いでしょうか?」








「え?」


え、としか言い様がない、髪の使い? 紙の使い? あ、神の遣い?

訳が分からない、気付けば見知らぬ家に居て、外に出たら神の遣いと呼ばれる、なんて言えばいいんだろう。


「お、おい・・・」

「っ、失礼しました!」


黙り込んだ真里亞を余所に二人組は今気付いたとばかりに足下に剣を置いて片膝をついて頭を下げた


「へ?あ、の、・・・」

「神の遣いか、など愚問でした!どうか御許しを!」

「や、あの、違います、よ?」

「いえ!黒髪黒目、封印されし館からお出でになられた貴方様は確かに神の!」


どうやら黒髪黒目でこの館から現れると神の子らしい

その理論で言えば日本人の大半は神様になるんだけど・・・


「それに御身には常人では有り得ない魔力が、間違いありません!」

「魔力?」

「は!」


???、本当に訳が分からない

何を聞いても男の人達は怯えた様子でまともな会話にもならず困ってしまうし、どうしよう・・・



「まあまあ!可愛らしい神子様!」


そこへドレスを着た綺麗な女の人が現れた、ふわりと裾を広げてしゃがみ目線を合わせてきた


「初めまして、私はソフィア・ラフィスタ、貴方様のお名前は?」


そう言って目を合わせると宝石のような翠色の瞳が輝いている、髪の毛は栗色で吸い込まれそうな瞳にポツリと言葉がもれる


「綺麗・・・」

「あら?ふふ、ありがとう」


にっこりと笑った顔はとても優しそうに見えた

名前を告げると場所を移して話をしようと提案された、何もわからないのでお願いする

ソフィアさんは私が抱えている箱が気になったのか


「その箱はなあに? 手が塞がって危ないわ、代わりに持ちましょうか?」

「あ、・・・その、これは・・・」

「ん?」

「お父さんと、お、母さん、で・・・」


ポタリと箱に水滴が落ちた



「お葬式、終わって、ひっく・・・」



突然両親を亡くし、悲しむ暇も無いままお葬式になり



「お家に、帰っ、ぅぅぅ・・・」



家に帰って来てひと息つく間も無く知らない場所に放り出された真里亞。

出来るだけ意識しないように努めていたのに改めて腕の中にある箱を指摘されてはもう限界だった

ボロボロと涙が堰を切ったように次から次へと溢れて来て止まらない。


両親は、もう居ないのだと、悲しくて、寂しくて

泣いても解決しないのは分かっていても泣くしかなかった・・・




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