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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第二章 神子、王都へ行く。
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神子、懐かれる。

「ウォフッ!」

元気良く吠えて駆け寄ってくる白い狼、私はどーんと押し倒されベロベロに舐められる。

その体格は私を遥かに凌駕する体格だ、全長2mオーバーの体にのしかかられてはどうにもならない

もふもふの毛は温かく最高の手触りだ。


「あはっ、ん、くすぐったい!シルヴィー!」


「わふ!」


顔や首筋を舐められる、傍から見たら私は狼に食べられてる状態だ。

実際、最初に押し倒された時は護衛のゴードンさんが慌てて引き剥がそうとしたくらい

でも彼女に敵意は無く、ただ私と遊びたいだけだ


と、思う、多分。


「相変わらず仲良しだねマリア、シルヴィー」


「あ、兄様、きゃっ、シルヴィー待って!やん!」


ロイド兄様が話しかけて来てもシルヴィーは止まらない

最初はこんなんじゃなかった

魔瘴の森から姉様が保護して来たのは2ヶ月前

私がヒールで治療して、真っ黒に汚れていたシルヴィーを洗い世話を始めたのだけど

手の平に乗るくらいの大きさの子犬(だと思っていた)は、2週間経つ頃には大型の成犬くらいになっていて

1ヶ月過ぎると私の身長を超え、最近は2mを超えた・・・


抱っこして散歩をしていたのが、引き摺られるようになり

そして今では私を背に載せて散歩している

意味がわからない・・・


彼女はシルバーウルフ、銀狼という種族の狼で白い毛を持つ

光に当たると銀色に透けて輝くので銀色(シルバー)からもじってシルヴィーと名付けた。


動物は瘴気の影響を受ける、瘴気が濃いとされる魔瘴の森で保護されたとなれば尚更

が、常に瘴気を浄化し続ける神子(わたし)の傍に居る事で魔物化せずに育ったシルヴィー


瘴気による魔物化は簡単に言うと、凶暴化、巨大化、特殊能力開花なのだけど

凶暴化せずに何故か巨大化だけして普通の銀狼として育ってしまった・・・

普通の銀狼は1mくらいの体長らしいので、2mを超えたシルヴィーが普通かと聞かれるとなんとも言えないけど



「お座り」「うぉん!」

「お手!」「うぉん!」

「おかわり」「うぉん!」

「伏せ!」「うぉん!」

「ゴロン!」「ウォフッ!」



私の言葉を完全に理解していて、あまつさえお腹をさらけ出した犬は普通の犬と言っていいと思う。

あ、狼か・・・


父様と兄様は顔が引き攣っていた

姉様は私と一緒にモフった

母様は「あらあら、ちゃんとお世話するのよ」と言っていた。

大丈夫、普通の飼い狼だよシルヴィーは、うん。


私は深く考えるのを止めて、全力でお腹をモフりたおした

体格の差が有りすぎて私がガシガシ撫でてちょうどいい力加減らしいシルヴィーは、グルグルと唸りながら気持ち良さそうにゴロゴロした。


野生はどこいったシルヴィーよ・・・





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