ラフィスタ家のあれこれ。④
報告を挙げて4週間、手紙が届いた。
「む?」
手紙は国王陛下からではない、養子の届け出が通った書類である。
おかしい・・・
神子様を養子になんて、いくら先代神子様の系譜を持つラフィスタ家と言えども有り得ない。
それが何故かあっさり通り、しかも国王陛下からは何も連絡が無い、嫌な予感がするが裏で小細工をする事もなくマリアが正式に娘になった事は喜ばしい。
この1ヶ月、ソフィアは娘が2人になったと張り切っているし
ロイドはよく面倒を見てくれていた、うたた寝する娘達を抱っこして部屋に運んでいた事もある
マリアベルはもうベッタリだ、お姉さんぶって背伸びしているのが微笑ましい
かく言う私も今では本当の娘だと思っている
屋敷の環境に慣れてきたのか笑顔が増えて、使用人とも仲良くしているようだ。
つい先日には討伐部隊長のゴードンの生命を救った事もあり「お嬢」と呼ばれ慕われている、マリアベルは「姉御」
解せん。
さて、今後の事を予想する
国王陛下から何も無いのはおかしい
私としては陛下が直接こちらに赴いて「神子様」に礼を尽くす事もあるかと思っていたが、まさか手紙さえも無いとは・・・
片道2週間の往復4週間、もしかしたら対応を協議していて少し遅れているのかも知れないが、それでも養子の申請が通った事の説明はつかないのだ。
まさか、まさかとは思うが、手紙が陛下の元に届いていないのでは?
養子の届け出は宰相印で済む、国王印は必要無い
「うーむ・・・」
ガリガリと頭を掻き考えるもイマイチ納得の行く理由は思い浮かばなかった。
ひとまずもう少し待つか、王都に居る別邸の家令には召喚された聖女の情報と城内の情報を密に集めろと指示を出してある
どうしても遅れた情報収集になるのは否めない、最新の情報もこちらに届く間に2週間前のものだ。
1度直接王都に行く事も視野に入れるべきだろうな・・・
取り敢えず問題は棚上げして執務室を出る
妹が屋敷に来て1ヶ月記念をマリアベルがやると言い出し、ソフィアも乗り気になった
昼は中庭の四阿にて家族のみのお茶会、夜は少し贅沢な食事にケーキだ
養子の許可状を持ち中庭へと向かう
きっとマリアベルは喜ぶだろう、妹達に甘いロイドも同様
養子に関して言い出したソフィアは驚くだろうか、流石に神子様の養子届け出に即許可が降りるとは思っていない筈だ。
マリア本人はどうだろう
良いのかな?と遠慮した様子で、だがマリアベルに抱き着かれて笑う顔が浮かぶ
家族の笑顔を思い浮かべ中庭へと向かうクロードの足は軽やかなものだった。




