ラフィスタ家のあれこれ②
報告書と養子届けを出してから子供達との時間を多く取るようにした。
勿論マリアの事を知る為だったが・・・
「マリア、こうよ!こう!」
「こ、こう?」
「そうそう!」
中庭でマリアベルがマリアと遊んでいた
それはもう本当の姉妹のように仲がいい様子で。
意外だったのはマリアベル、とてもいい姉として振舞っているのだ。
淑女教育をサボりがち、一般教養もあまり身になっていないと家庭教師から報告が挙がっていた
私も可愛い娘だと少し甘やかし過ぎた事もあり、今後厳しく接して行かなければと思っていたが
「妹」が出来た事で「姉」の自分が立派な手本として教えるのだと一生懸命に勉学に励む様になっていたのだ。
ただし多少強引な所のあるマリアベルに対して、大人しめなマリアとの関係に最初はヒヤヒヤしていたが意外と互いに馬があったのか仲がいい。
距離の近過ぎるマリアベルを適度な距離から息子のロイドが見守る、そんな関係に落ち着いていた。
ロイドは元々マリアベルと言う妹が居たので、一人妹が増えても上手く接している。
「ふむ・・・」
私なりに神子様を観察した結果、彼女は普通の女の子だった。
大人しく控え目、頭は良く、思慮深い
ある日の事、私とソフィア2人で寛いでいる所へマリアベルが花冠をプレゼントしに来た
マリアベルはソフィアに、マリアは私に
「あ、あの、どうぞ、・・・とうさま」
後ろでマリアベルがフフン!と笑っている事から、娘の差し金だと察したが
正直、堪らない・・・
元気な娘マリアベルが「お父様!」と弾けんばかりの笑顔を向けてくるのはとても愛しい
しかし、もじもじと照れながら上目遣い、遠慮がちに「とうさま・・・」と来るマリアもまた愛らしく感じた。
遠慮や戸惑いを多分に含んだ感情が見て取れる、養子に迎えると言っても本人が直ぐに受け入れるのも難しい
だがマリアベルの心遣いは無駄にも出来ないので、私はマリアの頭を撫でて言った
「ありがとう、嬉しいよ」
笑顔など作る必要もない、既に頬は緩んでいるのだから
するとマリアもぎこち無いながらふにゃりと笑った
可 愛 い な ! ウ チ の 娘 達 は !
ソフィアとマリアベルは「いえーい!」とハイタッチしていた
成程、してやられたようだ
ロイドも廊下へ続く扉からチラリと覗いていて、くつくつと忍び笑いをしている。
うむ、神子様と勝手に神格化していたが、その実ただの女の子に強い力が宿っているだけだ。
今後、公の場において「神子様」として立ち回る可能性はあるが、それも大人になってからの話だ
それまでは愛しい娘として成長を見守るのも悪くない
私はそう結論付け、対応の方向性を決めたのだった・・・




