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辺境の神子は静かに暮らしたい。  作者: EVO
第四章 国と教会と神子
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王都から神子が消えた日。

神子様が王都、教会から連れ去られた

大型の黒狼に噛み付かれて。


即座に救出・探索を編成され、王城に最低限の警備を残し

騎士団は後を追った。

ラフィスタ家の部隊は既に出ている


こんな日の丁度前日にガウェインが騎士団を辞したのは偶然だろう

ルクシード伯爵家当主ギルバート様とアイシャ夫人がラフィスタ辺境伯領地に向かったのも、辞めたガウェインが姿を晦ましたのも。




んな訳あるかっ!!



教会の自作自演の次は王家とラフィスタ家の自作自演かい!

知っているのは国王陛下、王妃陛下、王太子の第三王子ケビン様、フィリア王女様、宰相様、第一、第二騎士団団長といった所か?


第二王子はそういうのは気にしないタチだからな

あの人は研究してれば他はどうでも良い変人だ。


第一王子は落第、だろうなあ

教会と聖女様の手綱を握れなかった、昔は頭良かったのに女ひとりにここまで崩れるとは・・・


お、キタキタ、大司教サマよ

これからどうするんだい?



潜入した騎士マルセールは一人で愚痴りながら

眼下で行われる大司教と司祭のやり取りを観察し始めた。




「神子が!いや、何故魔物が王都に! こうなっては聖女を使うしか」

「出来ませんよ」

「なっ!貴様どうして外に、騎士よ!司祭を拘束しろ!まだ謹慎は解いていないぞ! お、おい何をしている!私じゃない」


大司教は残った数少ない騎士に司祭の拘束を命じるが逆に拘束されたのは大司教。


「まだ分からないのですか、貴方はおしまいですよ、そして貴方を遣わした教皇もね」

「な、貴様謀ったな!?」

「謀るも何も、他ならぬ貴方の手によって私は謹慎していたので何も出来ませんよ」

「白々しい口を聞くな!」

「貴方はこれから裁かれます、罪はご存知でしょうが」

「私が何を以て裁かれると言うのか!」

「呆れたものですね、神子様を失った責任は全てを取り仕切った大司教貴方が取るべきでしょう?」

「ぐぐ」

「さ、皆、大司教を懲罰房へ、神子様を敬愛していた民衆に殺されたくは無いでしょう?」


神子様を失った責任は教会

特に強引に儀式を押し進めた大司教は、聖堂で辺境伯に叱責された事から貴族平民問わず睨まれている。

それこそ熱心な信者には、今にも飛び掛からんばかりの目で見られている。


死にたくなければ大人しく処分されろ

そんな意図が込められている。


目に感情を浮かべず、しかし笑顔で言った司祭

それを見た大司教は自身が嵌められた事と今後の処遇を理解して肩を落とした。


「私も未熟ですね、ざまあみろなんて他人の不幸に快感を覚えるなんて」


そう思いませんか? と、

誰も居なくなった部屋の天井へと視線を向けながら、司祭は一人言を言った。






とんだ狸だ、大司教の理不尽な指示で司祭は謹慎と称した軟禁をされていたが

実際の所は、神子に関する一連の泥を全て大司教に被ってもらう為に大人しく引きこもっていたのだ。


横暴な大司教により自分達も振り回されたと

王都で穏和誠実な人柄だと評判の司祭が言えば疑う人物は居ない。


引っ掻き回された挙句、諌言も聞き入れなかった

外様の大司教に全て押し付け、またその名において大司教を派遣した教皇にも責は及ぶ。


教会側の筋書きはそういった形に作られたのだった。






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