タモンビーチ
まるでハイウェイのような州道1号を走り、繁華街のような賑やかな場所を経由して、10分程度で到着したと思う。その間、運ちゃんの名調子もあり、僕はもう子供のように、あちらこちらに目を奪われたことを素直に白状したい。とっても心はずむ道行きだった。そして――
来た! 西海岸、タモンビーチ!
いやもうエメラルドだ! 奇跡だ! こんな綺麗な水の色が左右いっぱい、そして遠浅に世界の果てまで、ずっと広がっていたのだから! 波はほとんどなく、水は柔らかそうで透明で、砂は熱くてふわふわ。空は青く、雲はまっ白。感動で身がオリハなしで浮き上がってしまいそう。もはや辛抱たまらん。着衣を海パンに変えるや否や、駆けだそうとしたのだった。そのとき――
「どう?」という、少しトーンの高い声。反射的速度で我を取り戻す。いけない、相方を忘却のかなたに置き去りにしてしまったと焦って振り返ると――
心臓を蹴り飛ばされた思いだった。そこに――
そこに、凄い、凄いビキニ姿の美少女が、少し恥じらい気味に、モジモジと立っていたのだから?!
マリだよもちろん!
その、ああ、なんという、1年年上の肉体なんだろう!
僕はもう、耳まで熱くなって、声が詰まって、胸がパンパンで、息も満足に出来ずじまいだ。
「どう?」自信が揺らいでいるのか不安げにまた問うてくる。頑張って感激を言葉にした。
「グアム、最高だぜ!」わざと間違える。しかしすぐに素直になった。
「――いい! とっても素敵だ! なんて可愛い! ――手ェ握っちゃうぞ先輩!」
マリ、本当にうれしそうな笑顔になる。
「ばか1年!」赤らみながらやっとそれだけ言うと、右手を差し出した。




